いじめを原因とする子供の自殺が絶たない中、その「現場」である学校や第三者委員会がいじめを認めようとせず、遺された家族が大きな苦しみを抱えるという事例が多く見られます。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、6年の歳月を経て、先日ようやく和解に至ったといういじめ自殺事件の裁判を取り上げ、学校側の頑なにいじめを認めない対応を批判するとともに、文科省へ適切な対応を求めています。

いじめの認定

先週、遺族が起こしたいじめ自殺の裁判が、6年の歳月をかけて、ようやく和解したという報道がありました。

今回和解した裁判は、群馬県桐生市で小学6年生の女の子が自殺したことをめぐり、「学校でのいじめが原因だ」として遺族が死亡見舞金の支払いを求めた裁判です。

遺族は他にも市や県、加害者の家族を相手取って裁判を起こしていましたが、これらは2014年までに和解が成立していました。

今回の裁判の相手は、学校での事故などに見舞金を支払う独立行政法人「日本スポーツ振興センター」で、同センターは学校でのいじめが原因とする死亡も見舞金の支給対象としているが、桐生市が自殺との因果関係を否定する文書を同センターに送ったため、センター側が支払いを拒否し、遺族が裁判を起こしたものです。

6年もの歳月がかかった原因として、遺族の代理人である弁護士は記者会見で、「桐生市が一貫して、自殺の主原因はいじめでないと当初から最後まで繰り返していたことが、大きな原因と考えている」「市の第三者委員会の調査がずさんだった。人選について、遺族側の意見は聞き入れられず、桐生市が勝手に選任した委員が判断し『自殺の主原因がいじめだと言えない』と結論を出したので、最後まで尾を引いた」と桐生市の対応を批判しました。

いじめ自殺の場合、いじめは認めてもそれが自殺の原因であると認めるケースは少ないのが現実です。多くの場合、自殺の原因は、家庭環境などいじめ以外の問題があり、そちらが主たる原因であると主張するのです。

しかし今回の裁判では、「理不尽な悪口や仲間はずれなど、いじめは客観的にみて残酷で深刻なものだった」としていじめと自殺の因果関係を認めたものでした。

学校は、当初いじめの事実を認めていませんでした。しかし教育委員会がその後のアンケートを基にいじめの存在を認めました。

そもそもいじめとは、学校や第三者委員会が「認める」ものなのか

どうして、このようにいじめを認めたがらないのでしょうか?

原発いじめの横浜市教育委員長
も、同級生との間の金銭授受に関して、第三者委員会の結論に基づいて、いじめと認定していなかったものが、世の中の多くの批判にさらされて、ようやく認めたものです。

そもそもいじめとは、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」であり、学校や第三者委員会が認めるようなものではなく、被害生徒がいじめられたと感じた段階で、いじめなのです。

なぜなら、苦痛を感じるのは、学校でもなく第三者委員会でもなく、被害生徒本人だからです。

いじめ問題は、早期発見早期解決がなにより大切です。学校がいち早く、いじめの事実を認め、それに対応していくことが大事なのです。しかし、そのスタート地点で、学校がいじめを認めないことで、多くの被害生徒が苦しい毎日を送っています。

学校が認めない、教育委員会も認めない、第三者委員会も認めないという事実が、至る所で起きていることに文部科学省も目を向けて、いじめ認定に関する施策を立ててもらいたいところです。

私達も、シンポジウムなどの活動を通して、文部科学省に提言していきたいと思います。皆様のご協力をお願いいたします。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
事務長 丸山秀和

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