「あなたは今の人生に満足していますか?」

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人は誰しも人生の岐路に立たされるときが必ずあり、悩み選んだ道の先に“いまの自分”があります。でも、こう考えたことだってあるはず。

「もしも違う人生を選んでいたらどうなっていただろう、と」

2月24日に放送された『人生が二度あれば 運命の選択』(日本テレビ)は、ナビゲーターがさまざまな理由があってスポーツ界を離れる決断をしたアスリートたちの元に出向き、人生の岐路に立たされた際の選択の裏に「どんな背景や思いがあったのか」を本人に尋ねるという、人気のドキュメンタリー番組。

今回、その中には元サッカー日本代表のエースにして「史上最も才能に恵まれたアジア人」とも評された孤高の天才、中田英寿さんの姿があったのですが、番組内で語られた彼のメッセージがとても印象に残ったので紹介します。

中田英寿(Hidetoshi Nakata)

1977年生まれ。山梨県立韮崎高校卒業後にJリーグ ベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)に入団。96年アトランタ五輪出場、98年フランスワールド杯出場などの実績が認められ、イタリアセリエAのA.C.ペルージャへ移籍。その後、ASローマ、パルマ、フィオレンティーナなどの名門クラブでプレー。日本人選手の海外移籍への門を大きく開いた先駆者的存在。

2006年ドイツW杯のブラジル戦を最後に、29歳で現役を引退。引退後は世界を旅し、世界の問題点をできることから解決しようと2008年に「TAKE ACTION!2008+1」キャンペーン」を立ち上げ、代表理事を務めるなど実業家としての手腕、評価も高い。

2007年には日本人初のFIFA親善大使に任命。また、昨年からは国際サッカー連盟(FIFA)の諮問機関である国際サッカー評議会(IFAB)の諮問委員も務めている。

中田さんのラストゲームとなったドイツW杯グループ予選、対ブラジル戦

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圧倒的な攻撃力を誇るブラジルに善戦するものの、スコアだけを見れば1-4の完敗。日本はグループ予選敗退で大会を終えることに。

試合終了後、他の選手達が足早にピッチを後にする中で、倒れ込んで空を仰ぎ、大粒の涙を流していた中田さん。その後、彼は29歳という若さで現役を退くことに。

号外が配られるなど日本中を震撼させた天才の電撃引退。「チームでの孤立、確執に嫌嫌がさした」「選手としての致命傷になるほどの大ケガ」「実業家、ビジネスへの関心が引退を早めた」など、当時はあらゆる憶測が飛び交っていましたね。

あれから11年、中田さん自身の口から語られる引退理由の真相とは何だったのでしょうか。

ナビゲーターは、芥川賞作家にしてお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さん

出典 http://www.ntv.co.jp

又吉さんはサッカーの名門・北陽高校のご出身で、インターハイにも出場した経験をお持ちの芸能界屈指のサッカー巧者。実際に中田選手の試合を生観戦していたこともあるそうで、「めちゃくちゃ上手かった。引退は綾部の渡米よりも衝撃が走った。綾部よりも中田さんの引退理由の方が興味ある」とコメント。

いつもと表情こそ変わらないものの「世界のNAKATA」との対面ということで、ずいぶんと緊張されていた様子がうかがえました。

中田さんと対面を果たした又吉さんは、開口一番で「体型全く崩れていないですね!」と驚愕。引退から10年以上が経過し現在40歳ながら、服の上からでもわかるほどの引き締まった体型に言及すると、中田さんは「体型は崩そうと思わなければ崩れない」とウィットに富んだ返し。これには筆者も思わず「ごもっとも」と苦笑いが。

――サッカーをやってた頃から、いろいろなことに興味があった?

核心である引退理由の前に、まずはこんな質問を投げかける又吉さん。中田さんは少し考えてから「うん。昔からそう。中学生の頃からなんだけど、スポーツやってると『○○バカ』とか周りに言われるのがすごく嫌で、スポーツもできて、勉強もできる“嫌なヤツ”になりたいと思っていた」と回答。

何だか「あ〜」ってわかるような気もしますね。「嫌なヤツになりたい」という表現も中田さんらしいですね。

ちなみに中田さんの高校時の成績は学年トップクラスで、中田さんの同級生の話では「会計士になりたい」と周囲に話していたこともあったのだとか。

中田「当然、一番の興味はサッカーだった。だけど…」

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ジュニアユース、ユース、五輪代表、年代別の日本代表に選出され続けてきたサッカーエリートは、若くして日本代表の中心選手へ。しかし、活躍すればするほどに、大好きだったサッカーへの思いは少しずつ変わっていったのだといいます。

そこにはトップを走り続けてきた彼だから見える景色、抱える窮屈さがあったようです。

「1998年に代表に入ったときは一番下(当時20歳)の方で、とにかく好きに遊んでやってればイイ。あの時は一番楽しかった。

でも2006年になると、年齢も一番上になっているし、周りの目線が『おまえ、少しはまとめた方がいい』へと変わっていった。
まとめるのは僕の性格に合わない」

出典「金曜ロードSHOW!特別エンターテインメント『人生が二度あれば』より参照

年齢、経験的にも自分が周囲を引っ張り、まとめていかなくてはならない立場に立たされてからは苦悩も多かったと話す中田さん。

スポーツの世界に限った話ではないですが、年齢がある程度上になったり、経験が豊富な人が周囲をまとめていくのは当たり前という空気って、やはりどこにでもあるように思います。

当時の日本代表において、中田さんの実績と存在感は群を抜いていましたが、周囲が期待するビジョンに自分をあてはめていこうとするのは窮屈だったようです。

そして、当時日本中が本人の口から直接聞きたかったこの質問に対しては…

ーーなぜ、引退したのか?

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「ケガが原因ではないのですか?」と尋ねる又吉さんに、「あのときはもう治っていたし、肉体的にどうってことではなかった」と答える中田さん。そして少し間を置いてからこんなことを仰っていました。

「自分はサッカーを好きでやってるわけで、でもその“好きの部分”が楽しめなくなっていた時期が長く続いていた。だったら一旦休んだ方がいいなって。

もしかしたら何年後かに戻る可能性だってあった」

出典「金曜ロードSHOW!特別エンターテインメント『人生が二度あれば』より参照

また楽しめるようになれたら、復帰する可能性だってあったと話した中田さん。これには正直驚かされました。

中田さんは現役を退いた後も、サッカーに関わった活動もされていますが、現役選手としてのサッカーとの向き合い方とでは、やはり大きく違ってくるのでしょうね。

やがてトークも終盤になり、最後にこんな質問が…

――人生が二度あれば、引退or現役続行、どちらを選ぶ?

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「もし人生が二度あって、あのときに戻れるなら、現役続行と引退、どちらを選びますか?」

又吉さんの究極の問いかけに、「いや…」と少し長めの間を置いてから中田さんはこう答えます。

「やっぱり自分の生き方や考え方を、自分が尊重してあげないと良くない。29歳に戻れても、やっぱりサッカーじゃない、それ(引退)は変わらない」

出典「金曜ロードSHOW!特別エンターテインメント『人生が二度あれば』より参照

人生に「もしも」や「たられば」なんてない。29歳当時の自分が下した決断をいまも否定することなく、「変わらない」と断言する中田さん。

それから「環境を変えるのって勇気がいったと思いますが…」と言う又吉さんの問いに、静かな口調ながらも強い意思表示を示します。

「勇気じゃないんだよね、覚悟。それは何に対しても責任をもってこそ、自由があって。でもその分、より楽しめる」

出典「金曜ロードSHOW!特別エンターテインメント『人生が二度あれば』より参照

中田英寿が誰よりも自由で、人生を謳歌しているように見えるのは…

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引退後は、旅人として世界中を回り、サッカーを通じた活動だけにとどまらず、東ハトの執行役員、ファッションブランド「AXE BLACK LABEL」や日本酒のプロデュースなど、実業家としても多岐にわたる活動を続ける中田さん。

傍目には、彼は誰よりも自由で、人生を謳歌しているように見えるかもしれません。が、それは彼が強い覚悟と責任をもって、全身全霊で目の前に仕事に取り組んでいるからこそ得られる自由と喜びがあることを知っているから。

自分が「楽しいと思えること」をずっと続けていくのは大変です。時には、環境や仕事、大切な人との別れだったり、なにかしらの変化が必要とされる岐路に誰もが立たされるときがやって来ます。

後悔しないために考え抜いてその場の選択をするわけですが、数年後にどんな結果になっていたとしても、誰かのせいにも時代のせいにもせず、受け止める覚悟と責任が自分にあるのか?そこを考えて、いまを選んでいかなくちゃなと教わった気がします。

おまけ♪かりゆし58「嗚呼、人生が二度あれば」

出典 YouTube

最後に番組のテーマソングとして流れていて、頭から離れなくなったかりゆし58さんの楽曲を張っておきます。胸にこみ上げてくるものがある名曲です。

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