2月23日、皇太子さまは57歳の誕生日を迎えられました。

誕生日に先立って行われた記者会見では、昨年8月8日に公表された天皇陛下の退位の意向がにじむおことばを受け「お考えを真摯に重く受け止めますと共に、常に心に留めつつ務めに取り組んでまいりたい」と述べられました。

民間から初めて皇太子妃として皇室に入った美智子さま。現在の皇太子さまである浩宮徳仁親王さまがお生まれになった時、これまで皇室の慣例になかった親子同居に踏み切り、養育係を置かずご自身での子育てを選択なさいました。お二人が子育てについて語った言葉で、印象的なものがあります。

『幸せな子』を育てるのではなく、どんな境遇に置かれても『幸せになれる子』を育てたい。

出典海竜社「歩み―皇后陛下お言葉集」宮内庁侍従職 著

美智子さまが皇太子さまのために作られた『ナルちゃん憲法』

浩宮さまが生後7ヶ月の時のことです。日米修好百年記念のお招きを受けて、ご夫妻で16日間の訪米旅行に出かけられることになった美智子さまが自身が留守にする間、お世話をしてくれる人たちのために書き残して行った育児メモがあります。

それが、浩宮徳仁親王さまの「徳(なる)」からとった『ナルちゃん憲法』

憲法と言っても、お留守の間にいつも通りの暮らしができるようにというご配慮や、特別扱いせず「悪いことは悪いと厳しくしかってもらえるよう」という思いでルーズリーフに書かれたシンプルなメモ。

多忙な美智子さまは公務で長く海外へ行くことも多く、その都度新たにメモは書き足されていきました。

牛乳がお嫌いな浩宮さまが飲めるように

幼い頃は牛乳がお嫌いだった浩宮さま。好き嫌いはなくしたいとお考えになられた美智子さまの考えたのが「ナーイ」作戦。低すぎず高すぎない小さな目標を作って子どもにできることの喜びを感じてもらうのです。

「牛乳をコップに少しだけ注いで『ナーイにしてちょうだい』と言うと一生懸命飲んで『ナーイ』と見せてくれます。また少し足します。食器がからにできると『ナーイ』と言って、とても自慢そうです。『ナーイ』になったら、たくさんほめてあげてください」

出典日本文芸社『ナルちゃん憲法』松崎敏弥著

先回りして大人が話さない

したいことがある時はできるだけ口で言わせるようにして下さい。言葉を早く覚えます。

出典日本文芸社「ナルちゃん憲法」松崎敏弥著

子育て中は、常に時間に追われている感覚もあり、子どもとずっと一緒にいると何がしたいのか、どうして欲しいのかわかってしまって先回りしてやってしまったり、言ってしまったりすることも。でもそこはグッと我慢して、できるだけ動作ではなく言葉で本人の口から言わせるように。自分から言うことで、考える力がつき、言葉も早く覚えるのです。

ひとり遊びを邪魔しない

「ひとり遊びは続けさせてください。おとなは適当に動き回ってお仕事をしているほうがいいようです」

出典日本文芸社『ナルちゃん憲法』松崎敏弥著

何かに集中している時は、それを尊重する。ひとつのものに集中して遊ばせることで、様々な角度で見ること、掘り下げ考えることを学ぶことができます。それを大人が誘導するのではなく、自分の力で見つけることが大切なのです。

すべてのものは当たり前ではない

「食事などでも魔法みたいに自然にテーブルに出てくるものだと思い違いさせないでください」

出典日本文芸社『ナルちゃん憲法』松崎敏弥著

社会勉強に力を入れらおられた美智子さまは、料理を作ってくれている厨房を見せたり、青物市場やハム工場、製薬工場などへ見学に連れて行ったりもしました。小さな子どもでも自分の目で見ることで、自分が使ったり、食べたりするすべてのものは、誰かが一生懸命に作ってくれているもの知ることができるのです。

「聞き分けの練習」のために辛抱強く説明を

「聞き分けの練習が大切と思われますので、ナルちゃんなりに納得のいく説明をして、してよろしいこと、してはいけないことがわかるように教えてください」

出典日本文芸社『ナルちゃん憲法』松崎敏弥著

日本では「なんでお母さんの言う事聞かないの!」と押し付けてしまう場面も多いけれど、子どもがわかるように辛抱強く話すことが大切だと綴っています。なかなか聞いてくれない時には、親の方もイライラしてしまいがちですが「聞き分けの練習」という言葉にハッとさせられます。

抱きしめることは最高の愛情表現

「1日に1回くらいはしっかりだいてあげてください。愛情を示すためです。あなたのことを大好きな人がたくさんいるのよ」

出典日本文芸社『ナルちゃん憲法』松崎敏弥著

深い愛情と忍耐で子どもの心を育てる

昭和35年の記者会見では深い愛情と忍耐で子どもの心を大事にそだてること」と子育ての指針を語られた美智子さま。

3人の子どもが幼稚園に行く時には、着替えが出来るまで手を出さずに見守り続けたそうです。つい手を出してしまいがちな場面ですが「できなければやってもらえる」という依存心が芽生えてしまわないように、けれど見放されたと不安にならないように、ただそっと見守るのです。

また、自転車の練習でヤブの中に突っ込んで転んでしまっても、すぐに助けには行かず自分で出てこられるまでジッと待って、どうしてもダメな時には助けに行ったといいます。

子育て中の美智子さまは、ご自身の育児方針を振り返っては、これでよいのだろうか?と繰り返し熟考されたそうです。

「人の批判から自分を守るための外向きの厳しさや、自己満足のための厳しさを持ちたくない。私はむしろ、大勢の人のさまざまな要望におびえてしまって、自分がナルちゃんに、子どもとして十分な愛情を注いであげられないことのほうが、よほどこわい」

出典日本文芸社『ナルちゃん憲法』松崎敏弥著

美智子さまは、平成18年のお誕生日に際し、文書で『ナルちゃん憲法』は「本来は家庭の中にとどまっているべき」メモであり「浩宮の教育に関し最も大切に考えていたのは、昭和天皇と今上天皇のお姿に学ぶこと」であったと回答しています。

家庭の中にとどめるべきメモという存在だからこそ『ナルちゃん憲法』からは、立場など関係なく子どもを思う気持ちは同じ、そんな1人の母親としての姿が感じ取ることができます。

3人の子どもを育てながら、多忙な公務を積極的にこなされてきた美智子さまの「子どもの自立を即す『ナルちゃん憲法』」は、働く女性として子育てをする共働きの多い現代の母親にも、大いに参考になるのではないでしょうか。

こちらの記事もオススメです

この記事を書いたユーザー

Mucoco このユーザーの他の記事を見る

これまでご愛読ありがとうございました。感謝です!
過去記事の一部をブログで公開予定です。
ゆっくりとした更新となると思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします^ ^

権利侵害申告はこちら