精神障害による、子供の引きこもりや家庭内暴力は後を絶ちません。また、親が疲弊しきっているケースや生死の危機があるときもあります。

このような状況にならないためには親としてどのような子育てを行っていけばよいのでしょうか?

今回、Spotlight編集部では、精神障害者の強制拘束を否定し、対話と説得によって患者を医療につなげる「精神障害者移送サービス(株式会社トキワ精神保健事務所)」押川剛さんにお話をうかがいました。

3月1日、新潮文庫より「子供の死を祈る親たち」を出版。そして、押川さんの活動が漫画『「子供を殺してください」という親たち』として月刊コミック@バンチで連載がスタートし、注目を集めています。

【2日連続公開インタビュー】
・押川剛が語る「子供の死を祈る親たち」の共通点
・オール3でヨシ。自分の子供に“特別”を押し付けてはいけない

「オール5」と「オール1」は同じ

ーー子育てを行う上で気になるのが子供の成績。押川さんのところに来る方々はどのような子供が多いのですか?

押川:成績が悪い=オール1をイメージする人は多いと思います。しかし、私が対応してきた精神障害者の子供たちはオール5だった子供も多いです。特に親に押し付けられて無理やりオール5をとっていた子供たちなんかは危ないです。

オール1の子とオール5の子の共通点は「厚化粧」をしていることです。オール1の子は幼い頃からタバコや酒や化粧なんかをして周りより大人っぽく見せている。無理やりオール5の子たちも無理して知識をつけて周りよりも大人っぽく見せようと必死なんです。

酒やタバコ、勉強の知識なんかは歳を追うごとに当たり前になっていき、大人っぽく見せようとしてきた人たちは追いつかれます。でも幼い頃から培ってきた自己顕示欲は簡単には無くならないので、大人になっても「学歴、結婚相手、年収…」などに振り回されて結局、「厚化粧」をやめられないのです。

等身大の自分を受け入れることが大切

ーーでは、子供たちはどう育っていけば良いのでしょうか?

押川:先ほど述べたようにも、「厚化粧」をしない。つまり、「等身大の自分」を受け入れる子がいいですね。普通でいいんですよ。

オール3の資質をもち、なおかつそれを親にも否定されずに育ってきた子たちはしっかり、自分を受け入れているので、歳をとっても無駄に着飾ったりしないし、素顔の自分で生きています。

そういう人の方が仕事も一生懸命やるし、包み隠さず悩みを打ち明けたり、人からも信頼されています。そして、案外お金にも困ってないんですよ

子供の携帯は見ていい

ーー押川さんにとっての理想の子育てとはどういうものですか?

押川:自立した子を育てることです。単純に家を出るとかそういうことではなく、重要な決断が迫られた時、「親に聞いてみないと…」「旦那に聞いてみないと…」「女房子供に…」という人に自由や覚悟は感じられません。

そういう人に大事な仕事を任せたいとは思いませんよね?

そうならないためにも、子供に本当の「自由」を与えないとダメです。放任するのではなく、責任のある「自由」を。「決断できる人間」に育てるのです。

ーーそのために注意しておくべきことを具体的に教えてください。

押川子供が何を考えているかをよく知っておくことが一番大切です。何が好きで、どんな友達がいて…ということをね。

簡単に見抜く一番の方法は、子供のスマホを見ることです。「え、いいの?」と驚く人もいると思いますが、勘違いして欲しくないのは、それを見ていちいち説教したり縛り付けろということではないです。

子供のことを知る手がかりにもなるし、いざというときに「お前は、こういう人間じゃないか!」と言える切り札になりますからね。

だから私たちが精神障害者に対応するときは、必ずパソコンやスマホを徹底的に調べて、その子供がどういう人かというのを理解するとこから始めています。

自分の子供に「特別」を押し付けてはいけない。普通に育ち自分の意思で決断できる人間になることが一番だと押川さんは語ります。今一度、自分の子育てについて振り返ってみてはいかがでしょうか?

【押川剛(おしかわたけし)プロフィール】

1968年北九州市生まれ。専修大在学中に川崎市内で警備会社を起こし(トキワ警備)、大学は中退する。従業員の統合失調症発病を契機に精神障害者の説得移送に事業を転換する(トキワ精神保健事務所)。これまでに1,000件以上の移送を完遂。精神障害者や、薬物・アルコール依存症の対象者と対話できる貴重な人材として、日本テレビの報道番組やTBSテレビ水トク!「THE説得」などにおいて、たびたび特集される。

この記事を書いたユーザー

Spotlight編集部 このユーザーの他の記事を見る

Spotlight編集部の公式アカウントです。

権利侵害申告はこちら