身近なコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介する当シリーズ。

前回の「おでん販売の裏側」に続き、今回取り上げるのはミントタブレットのシェア争いについて。フリスクとミンティアが長年繰り広げている激しい競争の歴史と、それによってコンビニが受ける“おいしい影響”について解説しています。

フリスクの牙城を崩したミンティア

コンビニ内の売場の各所で繰り広げられている、商品のシェア争い。なかでも長年に渡って、2つのブランドがシェア独占を巡ってしのぎを削りあっている商品カテゴリーといえば錠菓、いわゆるミントタブレットではないでしょうか。

この錠菓カテゴリーですが、コンビニにおいては長らくフリスクシリーズ(クラシエフーズ)の天下が続いていました。

ところが、そんな一人勝ちの状態に待ったをかけたのがミンティアシリーズ(アサヒグループ食品)で、両者が激しく争った結果、フリスクがシェアを落とし、ミンティアが売れ筋商品上位を占めるようになりました。今から10年ぐらい前のことでしょうか。

ミンティアがこの戦いを制したのには、「低価格」「新商品発売スピードの速さ」「フルーツフレーバーの導入」という3つの要因がありました。

昨年、商品誕生から20周年を迎えたミンティアですが、アサヒグループ食品の前身会社がその販売権を獲得したのが2002年のこと。

日本の市場、ひいてはコンビニ市場を知り尽くしている同社の高いマーケティング力が、シェア逆転の原動力となったと言えるでしょう。

しかし、フリスクも黙ってはいません。ミンティアに奪われたシェアを取り戻すべく、満を持して投入したのが、新シリーズの「フリスクネオ」でした。

この「フリスクネオ」は、従来のフリスクよりも高単価ながらも、従来商品より重量が5倍とひと粒ひと粒が大きく、爽快感もアップ。また容器も、高級感のあるメタル製のものを採用することで、ミンティアとの差別化を図りました。

そんな「フリスクネオ」ですが、競合のミンティアには無かったレモンミント味が爆発的な販売となったほか、後に追加された新フレーバー・グレープ味も大いに人気を博しました。

この「フリスクネオ」の成功によって、錠菓カテゴリーには「低価格帯のミンティア」「高価格帯のフリスク」という棲み分けができたのです。

フリスクが発売以来の全面刷新をしたワケ

さて「フリスクネオ」の登場で、やや存在感が薄くなっていた従来までの「フリスク」ですが、2016年9月に発売以来となる全面刷新を敢行しました。

「フリスク120%ブースター」というキャンペーンスローガンのもとリニューアルされた新しいフリスクは、1粒あたりの重量が120%アップし、大きさも変わったところが大きな特徴。

この動きは、ミンティアとの差別化が明確になった上での、クラシエフーズなりの戦略ではと筆者は考えています。つまり「低価格=ミンティア」「高価格=フリスク」の棲み分けをより明確化するため、定番商品をよりプレミアム化路線に走らせたのです。

また、ライバルであるミンティアシリーズのプレミアムラインで、売価が「フリスク」と同じである「ミンティアブリーズ」の存在も、全面刷新のきっかけとなったのではと思われます。

つまり、定番商品をリニューアル(しかも大きさが変わるという分かりやすい形で)することで、消費者の意識に刷り込みを図ったのでしょう。

激しいシェア争いに大喜びのコンビニ

コンビニにとって喜ばしい商品とは、「売れる(販売数が多い)」「儲かる(原価率が低い)」「売り場効率が高い(同じスペースでも売価が高い)」といった条件を備えた商品です。この3つの条件を、錠菓カテゴリーの各商品で見てみると、

◆売り場効率が高い:フリスクネオ、フリスク、ミンティアブリーズ

◆売れる:ミンティア

出典 http://www.mag2.com

…という風に分類ができます。以前にも取り上げましたが、ここ数年はガムの不振が続いており、そういった面でもコンビニが錠菓カテゴリーに寄せる期待は、とても大きいものがあります。

また、激しいシェア争いが展開されることで、新規商品・新フレーバーの登場が頻繁になることも、コンビニにとっては非常に好ましい状況と言えます。

なぜなら、こちらも以前お話しましたが、コンビニでは商品の新陳代謝の激しいカテゴリーほど売上が好調に推移するからです。

今後の錠菓カテゴリーは、「新フリスクvsミンティアブリーズ」の戦いから目が離せません。お互いに新商品や新フレーバーを開発・発売してくるはずですので、消費者・コンビニ双方にとっては楽しみな展開になりそうです。

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