人には歴史がある。たとえどんな人にも。この世に誕生し、何を考え、どんな行動をしてきたか、確実にこの世のどこかに刻まれ、歴史として永遠に残り続ける。同じように地球にも歴史がある。

地球が生まれて46億年。人間とは比べ物にならない大変化を遂げながら、確実に歴史を刻んできた。そして現在わたしたちが住んでいる日本列島にも歴史がある。当たり前のように踏みしめている日本列島だが、その歴史をひもとくと、驚きの過去があった。

『日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語』(山崎晴雄、久保純子/講談社ブルーバックス)は、日本人なら誰もが知っておきたい「日本列島史」を紹介している。

なぜ関東平野は広いのか

関東平野は日本一広い平野だ。その面積は約1万7000平方キロメートル。日本の国土の約5%、日本の平野部だけに限ると約18%も占めている。そりゃ人もたくさん住むわけだ。しかし、なぜ関東平野はこれほど広くなったのだろうか。

本書の内容を非常に簡単に説明しよう。地球の表層には、それぞれ異なった動きをする何枚もの「プレート(板状の岩盤)」が存在する。海洋プレートがもう一方の大陸プレートの下に沈みこんだり、すれ違ったり、動きは様々だ。

海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んだ時に起こる現象があるのだが、ややこしいので、エスカレーターの降り口のステップにゴミがたまっている状態を想像してみてほしい。

同じように、プレートの上には堆積した地層があって、その地層はプレートの沈み込みの中には入れず、たまり続ける。

そのゴミのようなものを「付加体」と呼び、次々と運ばれてくる堆積物によってどんどん大きくなる。やがて、「前弧リッジ」と呼ばれる高まりになり、大陸側から海へ流れてくる堆積物をせき止めてくれるのだ。すると、「前弧海盆」と呼ばれる平面を作る。

この「前弧海盆」は本来、海の中にある存在なのだが、その「前弧海盆」がたまたま陸上に出来上がり、それが関東平野となったのだ。

なぜ陸上に「前弧海盆」ができたのかは、「伊豆バー」が本州にぶつかり続けた話をせねばならないので、気になる方は本書でチェックしてほしい。

念のため言うが、「伊豆バー」はアイスではない。ぶ厚い火山性地殻のことだ。もう1つ言うと、「伊豆バー」という名のアイスが発売されたら、私はそのアイスを買うだろう。

富士山の美しさのヒミツ

本書には富士山の美しさのヒミツも紹介されていた。富士山は「カテナリー曲線」と呼ばれる曲線状の斜面を持った「成層火山」であり、山裾に谷がなく、非常になめらか。富士山が美しいと言われる理由はこれだ。

では、なぜこのような美しい形になったのだろうか。その理由は3つの火山の存在とマグマにあった。

現在の富士山の位置に、かつて「小御岳(こみたけ)」と呼ばれる火山があった。10万年前、この小御岳の上に「古富士火山」と呼ばれる火山が活動を始める。軽石、火山灰、溶岩などを大量に噴出したそうだ。

そして1万7000年前になると、現在の富士「新富士」への移行期が始まる。古富士の爆発的な噴火と新富士のダラダラ溶岩を流す噴火が繰り返されていたらしい。

そして美しさの最大の要因は、マグマにある。富士山のマグマは玄武岩質と呼ばれるもので、大きな爆発はしない。

高温で粘り気がないので、山頂からマグマが噴出しても、なめらかに流れてきれいな斜面を作り、円錐形の美しい姿を形成する。3つの火山が重なり、噴火を繰り返すことで、今の美しい富士山ができたのだ。

本書は、講談社の歴史あるレーベル「ブルーバックス(BLUEBACKS)」の通巻2000冊目の記念タイトル。それにふさわしい日本列島史が紹介されていた。

他にも「琵琶湖は今も移動している」「かつて京都は海だった」「日本列島が弓状の形をしている理由」など、日本人なら一度耳に入れておきたい話が山もりだ。

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