「私、失敗しないので」のキメ台詞とともに、米倉涼子演じるフリーランス外科医の大門未知子が、次々と難手術を成功させる医療ドラマ『ドクターX』(テレビ朝日)。

昨年10月から放送されたシリーズ第4弾も、平均視聴率20.4%(ビデオリサーチ調べ)をマークし、同シリーズの人気の高さを証明して見せた。

このドラマで初めて「フリーランス医師」の存在を知った人は多いだろう。フリー医師はリアルにいるのか、その稼ぎっぷりは?などの疑問に明快に答えてくれるのが、『フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方』(筒井冨美/光文社)だ。

著者で麻酔科医の筒井冨美氏は、大学病院勤務医を経て2007年からフリーになり、これまでに100以上の病院を渡り歩いてきたという。

そんな筒井氏による本書は、医師の働く環境、キャリアパス(出世)、年収の推移などが、病院や医師のタイプ別に明かされているほか、フリーランス医師の世界についても詳述されている。

「フリーランス医師には2つのタイプがいる」という。

ひとつは、専門スキルを武器にいろんな病院を渡り歩く真正の「フリーランス医師」。著者もそのひとりで、1回の手術ごとに報酬契約を結ぶ。もうひとつは、専門スキルはないが医師免許はあるという「フリーター医師」だ。

最近、医師免許を持つお笑い芸人などもいるが、本業がほかにあるフリーター医師は暇なときに、医師免許を活かしたアルバイト(予防接種・健康診断・忙しくない病院の当直など)をするそうだ。

しかし予防接種などのアルバイトでもその報酬は、「半日3~5万円、1日5~8万円」が相場であり、年に200日ほど働けば年収1000万円超えが可能なのだ。では、「フリーランス医師」の収入はどうか。

フリーになった後の収入の増減に関して著者は、「独立初年度(2007年)の年収は、大学病院時代の3倍になった」という。その報酬はスキルによって異なるが、半日5~8万円、1日10~20万円などが相場だという。

では、何科の医師がフリーになれるのかというと、「多いのは麻酔科医で、稼げるのは帝王切開のできる産科医」なのだそう。つまり、限られた医科の医師しかフリーにはなれないのだ。

その理由は「(麻酔科医は)患者の主治医にはならない後方支援的な業務なので一日単位でのアウトソーシングが可能」だからだ。加えて麻酔スキルは専門性も高いため、多くのフリー麻酔科医が全国の病院で活躍しているという。

産科医の帝王切開スキルも、その特殊性・希少性からフリーになる医師が多いそうだ。

では『ドクターX』の主人公のような外科医は?著者の答えは「外科医でフリーランスというのはフィクション」。

外科医は、患者の担当医をする/長期対応も必要/他の医師とチームワークで仕事をする、などの理由から、勤務医にならざるを得ない。ただし、「病院に籍を置きながら、アルバイトで出張手術をして稼ぎまくる凄腕外科医は多くいる」そうだ。

こうした本書の少々、ゲスな活用法としては、例えば合コンなどで出会った医師の属性を聞けば、およその年収や出世コースが概算できるアンチョコになる。

また、医者になるにはいくらかかるか、各種の医大解説などもあり、医師を目指す子を持つ親の必携書にもなる。さらにコラムでは、大学病院の様々な肩書の医師たちを、「会社でいえば~職」と教えてくれるため、医療ドラマをより楽しむガイドにもなる。

まさに“オールアバウト医師”な1冊だが、一般ビジネスマン向けに「自身の働き方・キャリアパスを考えるヒント」としても使えることも加えておきたい。

権利侵害申告はこちら