あなたは、次のどれかに当てはまるだろうか。

(1)ものを「きちんと整理」しなければならないという過剰な意識がある

(2)言葉や文句をくりかえし読んだり、書いたりしてしまう癖がある

(3)ひとを刺すといった暴力的な考えを実行に移すのではないかという不安がある

(4)皿など、家庭内にあるものが汚れているとか、洗っても「ほんとうにきれいに」ならないという不安がある

(5)ドアに鍵がかかっているか、電化製品などのスイッチが切れているか、くりかえし確認する癖がある

(6)儀式的なまばたきや注視の癖がある

出典『新装版 不安でたまらない人たちへ:やっかいで病的な癖を治す』

『新装版 不安でたまらない人たちへ:やっかいで病的な癖を治す』(ジェフリー・M.シュウォーツ:著、Jeffrey M.Schwartz:原著、吉田利子:訳/草思社)によると、上記の(1)~(3)は「強迫観念」の、(4)~(6)は「強迫行為」の一般的な症状だ。

強迫観念は、行動こそ伴わないが、何らかの思いがくりかえし襲ってきて、自分で止められなくなる。強迫行為は、ばからしいと思いながらも同じ行動をくりかえさずにはいられない。

そして、この両症状に悩まされる病気が、「強迫性障害(強迫神経症)」と呼ばれる。

本書は、強迫性障害と闘う患者の気持ちを「やれば地獄、やらなくても地獄」と代弁している。強迫性障害の人が行う“儀式”は、遂行をしても何の喜びも感じられない。しかし、やらずにはいられない。苦痛しか伴わない。

じつは本書は、20年前に初版が出版された新装版。20年たっても強迫性障害に悩む人は後を絶たない。本書は、初版で解き明かした強迫性障害の原因と、それを乗り越える「四段階方法」を、再び世に紹介している。

詳しくは本書に当たってもらいたいが、簡単に紹介すると、強迫性障害の原因は「脳の主要な機構がロックされてまちがったメッセージを送り始め、本人はそれが間違ったメッセージであることに気づかないこと」であり、これを乗り越える「四段階方式」は次のようになっている。

第一段階
ラベルを貼り替える。
…「ばかばかしいことはわかっているけれど、もう一度手を洗わなければならない気がする」ではなく、「わたしは強迫観念に悩まされている」と考えるようにする。

第二段階
原因を見直す。
…「この衝動は病気の症状だ。それでは、どうすればいいのだろう」と考えるようにする。

第三段階
関心の焦点を移す。
…「この衝動は間違ったメッセージだ」と心のなかでくりかえし、別の行動に関心の焦点を移すようにする。

第四段階
価値を見直す。
…症状が起こっても、「これはたいしたことではない」と考えるようにする。

出典『新装版 不安でたまらない人たちへ: やっかいで病的な癖を治す』

強迫性障害を克服するためには、症状の原因を「気のせい」や「思い込み」でなく、「脳の機能不全」という物理的なものであるとはっきりと認識することが重要なようだ。

例えば、子どもが何時間も手を洗っているのを見ながら、気のすむまでやらせるのは、まずい対応なのだ。

「四段階方式」は、摂食障害や薬物依存症、強迫的賭博などの抑制にも効果を発揮する。

これらの行動は、行動療法理論では「一次性強化因」と呼ばれる性格を持っている。強迫性障害とは違い、「行動の一面を当人が心から楽しんでいる」。

そのため、「四段階方式」に移る前に、「ほんとうの自分、ほんとうにこうありたいと思う自分と、食べたいとかハイになりたい、賭博をしたいという衝動とのちがいをはっきり認識しなくてはいけない」という。

このときのポイントは、自分のなかで「できるかぎり公平な観察者の目をはたらかせること」。

自分の買い物癖や飲酒癖に悩んでいる人は、本書に目を通してみてもらいたい。

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