【PTAに火が点いた】

「PTA」(ピーティーエー)。多くの方が、一度は耳にした言葉だと思います。

「PTA」とは、いわゆる「保護者会」です。基本的には「学校ごと」で組織され、保護者と教職員の情報交換や、子供の為のボランティア活動などを行う団体です。

このPTAに関し、ネットを中心にして騒ぎが起こっています。注目されたのは、とある匿名ブログです。

上記匿名ブログの内容を、筆者なりにまとめると、以下の様になります。

・自分の子供が小学校に入学するので、保護者会に出席。そこでの説明が理解不能。

・必要物品を揃えるのが難しい。学校側で業者を呼んで、物品の購入機会を作るそうだが、開催日時が平日の昼間。仕事をしている親は、まず参加できない。

・PTAについての説明もあったが、「PTAへの加入届が無い」「会費を教えてくれない」とのこと。

・「PTAって、保護者の意思に関わらず、勝手に加入させられるのか?」と思い、加入したくないと言った。
すると、PTAサイドから「非加入なら、あんたの子供がプリント配られないし、イベント参加できないし、お菓子を貰えない」と言われた。


・まるで、アダルトサイトの請求みたいだ。PTAって、会員・非会員で差別するのか?。

【ネットメディアが動き、テレビにまで至る】

時期を同じくして、TwitterでPTAやめたの私だ」とのタグが浮上。PTAに関し、多種多様な声が挙がりました。

この話題に触れたからでしょうか。各種メディアが、PTAに関する話を伝えています。先ず動いたのは、ネットメディアです。

PTAが入退会自由な組織であることは、あまり知られていない。任意加入であると周知しているPTAが少ないからだ。

2016年3月にタレントの菊池桃子さんが「PTAは任意参加なのに、全員参加することが暗黙の了解となっているケースが多い」という趣旨の発言をしたことが話題になった。

出典 https://www.buzzfeed.com

(2017/01/29付、『BuzzFeed』より。)

ほとんどが共働き世帯である現在、平日の昼間に動くことが多いPTAの仕事に対する負担感は増している。

「専業主婦が多かった時代のまま」という意見もあるが、子どもの安全を守る等の観点から、昔よりもやることは増えている。また、専業主婦でも暇なわけではない。介護など様々な理由があって働けないケースもあるのに、役員を押し付けられて困るという人は少なくない。

出典 https://news.careerconnection.jp

2017年2月2日付、『キャリコネニュース』より。

ネットメディアだけではなく、フジテレビで放送されている情報番組「とくダネ!」
でもこの話題が取り上げられました。

「PTAやめたの私だ」という一言が今、ネットで話題になっている。「どういうことなんでしょうか」と司会の小倉智昭が少しけげんな表情で伝え始めた。

学校の親と教師でつくるPTAって入らなくてもよかったのかという驚きが広がっているらしい。

出典 http://www.j-cast.com

(2017/2/1付、『J-CAST TVウオッチ』より。)

反響はどれも「やめていいの?」「知らなかった」という気づきだ。

実は、PTAはもともと任意団体で、加入も脱会も自由だった。それがいつの間にか加入義務があるように思われていた。働く母でもある梅津弥英子アナも「知りませんでした」と驚きを隠せない。

出典 http://www.j-cast.com

(2017/2/1付、『J-CAST TVウオッチ』より。)

【PTA入会に関し、裁判も起こる】

上記引用にもある通り、「PTAは強制的に参加しなければいけない団体ではなく、加入・脱退が自由な任意団体」です。しかし、実際は半ば強制加入団体と化しており、勘違いしたままの親御さんも多い様子です。

この事に関しては、以前から専門家の指摘がありました。

保護者や教職員に対してPTA参加を義務付ける法律は、日本には存在しません。しかし、学校に子どもが入学すると、参加が強制される、あるいは参加を前提として役員就任を強制されることや、会費が徴収されることは珍しくありません。

出典 https://lmedia.jp

2014年4月27日付、『シェアしたくなる法律相談所』より。寺林智栄(てらばやし・ともえ)弁護士の寄稿。

また、熊本県では「PTA加入に関する裁判」まで起こりました。PTAが「揉め事の種」になっている…という悲しい現実があります。

【時代は変わるが、PTAは変わらない】

PTAは、何十年も前から存在している組織です。歴史ある活動なのですが、これだけ変化の激しい現代において、組織が柔軟な対応をしきれていません。特に「働く事との両立」に関する話が、注目を集めています。

上記記事は、「なぜ働く母親にとって、PTA活動が負担になるのか?」について述べられたものです。この中に、3点の鋭い指摘があります。筆者なりに要約すると、以下の様になります。

(問題1)集まるのが「平日の昼間」ばかり。
昔なら専業主婦ばかりだったのかも知れませんが、今は働くお母さんも増えています。
当然、平日の昼間に働く人は多いので、PTA活動に参加しづらくなります。

(問題2)手間がかかり、労力に見合った成果が出ない。
児童数や保護者数は減少しているのに、PTAの仕事はあまり減っていません。先述の様に「仕事で時間の無い親が増えている」という事情もあり、負担が増す一方なのです。

(問題3)強制的要素が抜けきっていない。
PTAは、強制加入の団体ではありません。入る・入らないは各保護者の任意です。これは、先ほど書いた通りです。
しかし、実際は「雰囲気的に断れない」という状況があります。「空気読め…という同調圧力」「暗黙の了解」とでも言いましょうか。
このプレッシャーがあり、なかなか断りにくい実態があり、負担感が余計に増します。

【会計の甘さ】

また、PTAを舞台にした犯罪行為も報告されています。主には「PTA会費を着服した」という横領事件です。

熊本県立玉名工業高校は4日、平成27年度までの約5年間のPTA会計に、総額約2850万円の使途不明金があると明らかにした。

同校PTAは同日までに、一人で会計を担当していた女性(54)が生活費に流用した疑いがあるとして、業務上横領容疑で県警へ告訴状を提出した。

出典 http://www.sankei.com

(2016.2.4付、『産経WEST』より。)

住宅ローンの返済などのためにPTA会費約330万円を着服したとして、大阪市教委は24日、同市北区の市立中学校の男性教頭(54)を懲戒免職処分とした。

出典 http://www.sankei.com

(2016.8.24付、『産経WEST』より。)

生活費などに充てるためPTA会費20万円を着服したとして、大阪市教育委員会は14日、市立小学校の男性教頭(55)を懲戒免職処分とした。

ひそかに返金するため通帳を金庫から持ち出した当日、直前に発覚した市立中学校教頭のPTA会費着服を受けた抜き打ちチェックが入り、明るみに出た。

出典 http://www.sankei.com

(2016.9.14付、『産経WEST』より。)

半ば強制的に加入させられ・PTA活動が負担になり・最終的に会費横領では…。これでは、誰もPTAには入りたがりません。

【PTAのメリット】

しかし、「PTAは必要」「PTAは良い」という声もあります。

PTAは、本来「保護者と教職員の交流団体」です。子育ての為の情報交換や、他の親との交流を促す為の団体です。

他人との繋がりが薄くなりやすい現代において、PTAは「貴重な集まり」である事は否めません。一人で悩んで解決しないことでも、仲間の助けがあれば解決する場合があります。

【教員もギリギリ】

PTAの置かれた状況も変わっていますが、先生・教職員の環境も変わっています。

学校教育は、本来は「学校で行われるもの」です。しかし、学校の先生が抱える負担は、年々増しています。

かなりの長時間労働・部活顧問はボランティアみたいなもの・保護者のクレーム処理が増加…など、教員にも余裕がありません。

調査の結果、週に60時間以上働くと答えた教員の割合が、小学校で72.9%、中学校で86.9%にのぼった。

また、所定労働時間について「知らない」と答えた割合は小中学校ともに半数を超え、管理職による勤務時間の管理も「把握しているかわからない」「行っていない」が合わせて半数近くを占めた。

出典 https://www.bengo4.com

(2017年2月5日付、『弁護士ドットコム』より。)

小中学校の教員が「負担だった」と答えた業務は、

「保護者・地域からの要望・苦情への対応」(小学校教員の84%、中学校教員の81.8%)、

「国や教育委員会からの調査・アンケートの対応」(小学校教員の82.8%、中学校教員の80.3%)、

「児童・生徒の問題行動への対応」(小学校教員の77.9%、中学校教員の79.3%)、

「学校徴収金(給食費など)未納者への対応」(小学校教員の64.7%、中学校教員の79%)

などだった。

出典 http://www.huffingtonpost.jp

(2017年1月27日付、『The Huffington Post』より。)

また、教職員の側からも「匿名ブログ」に意見が投稿され、PTA問題と同じ様な騒ぎになりつつあります。

ブログ記事は17年2月7日、「はてな匿名ダイアリー」に投稿された。タイトルは「教育困難校に勤務してるけど、もう無理」。

「毎日、授業にもならなくて、毎日、ババアとかブスとか、死ねとか言われまくって、ちょっと強く言ったら、教育委員会に言うぞとか、体罰だとか騒がれて、でもそれが教員の仕事でしょ、って言われて、そういう子に情熱を傾けるのが教員でしょ、それがやりたくて教員になったんでしょ、って」

「公務員の給与プラスアルファで、朝7時から夜9時まで、昼休みなんて、パンを体内に詰め込む5分くらいで、クレームにうまく対応しながら、全く学校に行かない日なんて月に2、3日でも、休みの日だって狭い生活圏で、あの人は先生だって周囲に見られながら生活して」

と生徒とのコミュニケーションの難しさ、仕事の辛さをぶちまける。

出典 http://www.j-cast.com

(2017/2/11付、『J-CASTニュース』より。)

この投稿も、PTA問題と同じく「匿名ブログ」が発端になっています。匿名なので、詳しい事情は分かりません。しかし、日々のニュース等と重なる部分があり、いろいろと察する事はあります。

寂しい表現ですが、先生も「労働者」なのです。

【PTAに期待されること】

学校教育は、学校の教職員が中心になって行われるべきものですが、悲しいかな上記の様な事情もあり、「教育の完全お任せ・丸投げ」は難しい状況です。

そもそも、教員の教えられる事には限界があります。教育の中心は、親子です。子供は親を「一番身近な大人・手本」として見ます。
親子関係の中でこそ教えられる事もあり、最も重要な教育の場と言えるでしょう。

その「親子と教員の橋渡し役」としてPTAの存在があり、期待されてもいます。

しかし、「仕事との両立が難しい」「同調圧力がある」などの理由で、PTAを嫌がる保護者も存在するのは事実です。このままでは、いずれ「PTA参加者」の方が少数派になり、教育に悪影響を及ぼしかねません。何らかのPTA改革は必要だと思われます。

ただ、活動内容の再考、組織のあり方、会費の管理方法…等々、検討すべき問題は山積みなのが本当のところです。「一気に解決」は難しいでしょう。

また、PTAは「学校ごとに存在する」のが基本であり、なかなか長期間の在籍はありません。「小学校なら6年、中学・高校なら3年間やり過ごせばよい」となってしまい、問題解決が先送りになりがちです。

こういった問題・障害に対する解決方法について、様々な意見が出ています。その中でも、筆者が特に興味深いと感じた意見を、ひとつ紹介します。

上記記事を書かれたのは「岸裕司」さん。PTA改革に関わった経験をお持ちの方ですが、実際に何をやったのかについて、具体的に記述されています。要約すると…

・会議の日を、保護者が参加しやすい「土曜日開催」に。
・個人や少数を大切にし、意見は何でも言ってよい。タブー無し

・すべてに開かれたPTA父親の出番づくり。
・何でも言いやすい、テーブルを囲んだ「口の字型会議」。
・司会者を固定せず、毎回変える。
・都合の合わない保護者は、代理出席が可能。
・校長と早朝会議。

…上記の様になります。

これらに共通するのは、「言いたい事は自由に言えるし、頭から否定されない」「親が忙しい時には、代替案がある」「母親以外の参加もアリ」「役の押し付け合いが無い」といったあたりでしょうか。
「やらされているのではなく、自らやれる雰囲気が大事」という事でしょう。

教育の目的は、子供の健全な育成です。PTAは、その一翼を担える存在です。消極的な姿勢では、現場は良くなりません。子供の教育にも良くありません。良くなる為には、少しずつでも変えていく事が必要です。

【最後に】

この様に、教育にはそれぞれ得意分野・不得意分野があり、教員で出来る事とPTAで出来る事には違いがあります。
それぞれが、お互いを助け合う形で活動できれば、とても理想的です。

その為には、現場単位での努力も必要ですが、やはり「役所などの上位機関」の姿勢を直さないと難しいでしょう。

先生は労働者であり、従業員です。その命令系統を辿っていくと、最終的には政府・文部科学大臣・文科省に到着します。彼らの姿勢・活動に対して、

「現場の問題に対し、プロジェクトチームを組むが、肝心の話が進んでいないのでは?」

「先生がイジメに参加など、教育現場の非常識が野放しになっている。いいのか?」
「自分達の天下り先開拓は熱心にするが、教育問題の改善は二の次か?」


という疑問の声が多々あり、強烈に問題視されているのは事実でしょう。

保護者が出来る事は、各PTAの現場などにも沢山あります。が、「選挙の投票者として、教育問題に関心を持つ候補に投票する」という事も忘れてはなりません。

「誰がなっても、何も変わらない」なんて諦める前に、候補の主張や実績を調査したり、実現可能性を考えたり…など、個人でも出来る事はありませんか?。

子供に「勉強しなさい」と言うのは当然として、親も勉強する必要があるとは思いませんか?。

そういう「努力する姿勢」は、ほぼ確実に子供に伝わります。自ら努力する姿を子供が学んでくれたなら、これほどの教育はありません。

「先ず隗より始めよ」です。

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