デスクワークの多いみなさん、「疲れたな」と思った時、首や肩、手の指など身体の関節をポキポキと鳴らすと気持ちいい、スッキリした気分になるという人はいませんか?

人によって鳴らすと気持ちいいと思う箇所に違いはあれど、それは思い過ごしかもしれません。

一体どういうことなのか、ご一緒に詳しくみていきましょう。

「関節が鳴る」ってどういうこと?

最近、「関節が鳴る」メカニズムが映像として確認されました。

カナダのアルバータ大学、グレック・カウチャック博士率いる研究チームが、関節の“ポキポキ”音のもとを解明したと2015年に発表しました。

特別な機器を使用して指を引っ張る様子をMRIで撮影した研究を、雑誌『PLOS ONE』で発表したのです。ポキッと鳴った瞬間に関節で起きていることの全てを映像として記録したとのことで、次のことが判明しました。

・関節が急激に引っぱられると、滑液(かつえき)という関節のまわりを包んでいる粘り気のある液体の圧力が下がり、ガスの気泡が生じていること

・下がった圧力を戻そうとする力が働いたある瞬間に、滑液が一気に隙間へと流れ込みポキッという音が生じて気泡が消えること


・上記以外に、音を生じさせうる要素は確認されなかった

これまで一番有力となっていたのは、1947年のイギリスの研究チームの説でした。

指に力を加えて関節を伸ばしていくと、数ミリ伸びたところで音が鳴ることが、X線画像で確認されたのです。関節が伸ばされたことによって滑液の圧力が下がって気泡が生じ、鳴る音とされ、次回鳴るまで数十分かかると結論づけられていました。

今回のグレック・カウチャック博士らの研究では、音の原因が関節内で生じた気泡ということだけでなく、その気泡に滑液が流れ込んで消える時に音が鳴るということまで映像として確認できた、というわけです。

関節を鳴らすことによる影響

明確な答えは出ていないのですが、何度も鳴らすことでダメージが蓄積される可能性は否定できないと考えられます。

ポキポキと音が鳴る原因を研究した際に、関節を引っ張る時にかけた力が数キロの重りで、いわば無理矢理関節を伸ばしてはじめて音が鳴るとわかったことからも、ポキポキと鳴るたび余分な圧力が関節にかかっていることは確かなようです。

関節のそばには、血管や神経も通っています。

とくに首は大事な神経や血管が近くにありますから、余分な圧力が何度もかかることでの影響はないとは言いきれないと考えます。

また、同じ理由から靭帯や軟骨に傷がつくことも考えられます。

ポキポキ・ゴリゴリしたくなるのはどうして?

ポキポキ・ゴリゴリと鳴ったら気持ちがいい(という思い込み)、コリがほぐれた(ような気になる)、癖になっている、などのことが、鳴らす理由としてあげられるでしょう。

ところが、経験してわかるように、たとえ首をゴリゴリと鳴らしたとしてもコリは解消されませんよね?

鳴ったその瞬間は、「気持ちいい!軽くなったかな?」と感じるかもしれませんが、音の正体は、関節内に生じた気泡と滑液です。

指や首を、鳴るまでひねったり曲げたりを何度も繰り返すのは、心理的な要素が大きくかかわっていると考えられます。

関節を鳴らさずに解消しよう

「首や肩が凝ったな」「関節が重たく感じるな」というときには、関節を鳴らすのではなく、まわりの筋肉をほぐすようにします。

軽く力を入れてから脱力する、机から離れて少し歩いたり、軽い体操をするなどして、血行を良くすることを意識します。

また、蒸しタオルなどで温めたりすることも有効です。

執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

<執筆者プロフィール>

井上 愛子(いのうえ・あいこ)

保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン。

<監修者プロフィール>

株式会社 とらうべ

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