結婚後は家庭に入るのが当たり前。そんな時代と今は違います。なのに私が働く職場は結婚、妊娠で退社する。そういった職場の雰囲気があり、多くの先輩たちが辞めていきました。「本当は働きたいんだけどね…」と本音を漏らしながら辞めていく先輩も。

その言葉を聞くたび思ったのは、誰かが道を作らなければ現状は変わらないということでした。もし私が道を作ったら、後が続くかもしれない。不況のなか苦労して入った会社です。努力して積み上げてきたキャリアを手放すのももったいない。

そう感じた私は結婚、妊娠をしても働き続けたいと強く思いました。

私は28歳で結婚、29歳で妊娠しました。当初結婚をして働く女性すらいませんでした。周囲から図太いやつだなと思われていたかもしれません。しかし仕事を続けるかどうかなんて自分が決めること。私は強い意志を持つようにしたんです。

安定期に入ったころに上司への妊娠報告をしよう。そう考えていたのですが体調の優れない日々が続き、周囲にも迷惑をかける日々。やはり早めに言うべきだと感じ、流産のリスクが低下する妊娠10週ごろに妊娠報告をすることにしました。

とは言っても、どうやって上司に切り出そう。タイミングや言葉が見つかりません。周囲の目も気になり、なかなか行動を起こせません。

考えた結果、社内メールでアポイントを取ることに。上司は思いがけない私からのメールに驚きながらも、話し合いの場を設けてくれました。

商談室に入り椅子に座るやいなや、「もしかして…?」と上司が言ってきました。なんとなく察していたようでした。「そうなんです。妊娠したんです」。私がそう言うと「おめでとう!」と笑顔で手を叩き祝福してくれました。

張り詰めていた緊張の糸が切れ、ホッとしたのを覚えています。

ところが次に発せられた上司の言葉に衝撃を受けることに。

それは「辞めるんでしょ?」という言葉です。ショックと言うより、苛立つ気持ちの方が大きかったです。なんで勝手にそう思われるの?むしろ図太く職場に居続けてやる!とさえ思ったほど。

私は上司の言葉の上から被さる様に「辞めるつもりはないです!」と返しました。私の予想外な言葉に上司は驚いた様子でした。すると「前例がないからねえ…」と上司。

「前例がないから無理ということはないと思います。こういった職場の流れを変えるためにも、私は働き続けたいんです」とつい熱くなる自分がいました。

そして自分の意志を貫き通し、職場初の産前産後育児休暇を取得。「無理して働かなくてもいいのに」など、周囲の目は決して温かいものではありませんでした。私と同じ立場の人がいないため、気持ちを理解してもらえないことが辛かったです。

でも今だから良かったと思えることがあります。

それは職場で働く女性社員に大きな影響を与えたことです。結婚や妊娠、出産をしても働ける。そういった雰囲気に変えることができたのが、頑張って仕事を続けた甲斐があったと思います。

私に続き2人目、3人目と次々と制度を取得するようになりました。そういった背景から、結婚後も働きやすい職場環境づくりが行われるようになりました。昔から変わらなかった職場が、今変わろうとしています。

上司への妊娠報告。あのとき思い切って自分の気持ちを伝えたからこそ、今の職場環境があります。自分が起こした行動に、自信を持つことができた体験でもありました。

著者:ビロード
年齢:36
子どもの年齢:5歳と3歳

やんちゃ盛りの5歳男児とおっとりした性格の3歳女児を育てています。子どもが何歳になろうと、育児の悩みは尽きないものだな~と感じる毎日を送っています。

2人目の出産直前までフルタイム勤務をしていたため、仕事と育児の両立の大変さも経験。現在は専業主婦であり、働くママと専業主婦両方の大変さを身に染みて感じています。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

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