記事提供:女子SPA!

私たちの身近なあれこれを弁護士に聞く、この連載。今回は、夫婦共に子供がほしくて結婚したのに、旦那のほうが行為を拒否し続けている場合、妻のほうから離婚できるか、というお悩みです(回答はアディーレ法律事務所)。

◆【相談】夫の“子づくり拒否”は離婚理由になりますか?

結婚2年になる夫との夫婦生活に悩んでいます。私も夫も子供が好きで、結婚前のブライダルチェックも2人とも問題はなく、「3人は欲しいね」などと話していました。

しかし、いざ結婚するとその直後から「仕事で疲れているから」などという理由でまったく相手にされず、結婚して半年後には完全にセックスレスになってしまいました。

私としてはもう32歳なので、年齢的なこともあり、何度も夫に話をしたのですがのらりくらりとかわされている状況です。

私はどうしても子供を生んで育てたいと思っているので、夫が変わらなければ離婚して再出発することを考えています。子作りに協力してくれないという理由で、離婚することは出来ますか?

◆【回答】セックスレスは離婚原因として認められる可能性はあります

裁判上、離婚が認められるためには以下の5つのいずれかに該当する必要があります(民法770条1項)。

①配偶者に不貞行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

セックスレスを理由に離婚を請求する場合には、⑤に該当するといえるかどうかが問題になります。裁判上は、最高裁が、夫婦の性生活について、「婚姻の基本となるべき重要事項」と述べています(最判昭和37年2月6日)。

地裁レベルでも、「そもそも婚姻は一般には子孫の育成を重要な目的としてなされるものであることが常識であって、夫婦間の性交渉もその意味では通常伴うべき婚姻の営みであり、当事者がこれに期待する感情を抱くのも極当たり前の自然の発露である」と述べています。

つまり、夫婦の一方が、相手にセックスを求める感情は自然なことであるということです。

地裁判決においても、「婚姻中の夫婦にとって性生活は、お互いの愛情を確かめ、子を持つことにもつながる極めて重要な要素であり、夫婦の一方は、それぞれ他方に対し、性交渉を行うことに協力すべき一般的義務を負うということができる。したがって、夫婦の一方が性交渉を開始したにもかかわらず、他方が合理的な理由もなくこれに応じないことは、上記協力義務への違反であり、不法行為を構成する」として、セックスの重要性やセックスを行うことへの協力義務の存在を示しています。

そして、同じく地裁判決において、「婚姻が男女の精神的・肉体的結合であり、そこにおける性関係の重要性を考慮に入れると、病気や年齢などの理由から性関係を重視しない当事者間の合意があるような特段の事情のない限り、婚姻後長年にわたり性交渉のないことは、原則として、婚姻を継続し難い重大な事由にあたるというべきである」と判断されています。

つまり、セックスレスの期間や理由、セックスに関する配偶者の言動、婚姻時に子供を希望していたかどうかなどのさまざまな事情により、セックスレスが原因で夫婦関係が破綻し、回復の見込みがないと認められる程度に至っていると認定されれば、セックスレスのみを理由として離婚が認められる可能性も十分にあります。

◆セックスレスの証拠を出すには何が必要?

セックスレスを示す証拠としては、普段から継続的に書いている日記や、夫婦間の会話(夫がセックスを拒否する発言をしているなど)の録音、夫婦間のメールやLINEのやり取りなどが考えられます。

日記については、セックスレスに関する記述しかない場合、裁判のために事後に作成されたものと疑われる可能性があるので、日常的に使用している手帳や日記帳に記載することが望ましいでしょう。録音については、秘密録音でも構いません。

◆慰謝料はもらえるものなの?

夫から合理的な理由なくセックスを拒否され、セックスレスが原因で離婚に至った場合は、妻としては精神的苦痛を被ったとして慰謝料を請求することができます。

慰謝料は、精神的苦痛を金銭的に評価したものなので、その額は個別の事情によりさまざまですが、おおむね数10万~300万程度が相場になるかと思います。

日本は、世界でも有数のセックスレス大国と言われており、日本の多くの人が、「子作りをしたいのにパートナーがセックスに応じてくれない」「愛情を確認するためにセックスがしたいのに応じてくれない」といった悩みを抱えているかと思います。

しかしながら、セックスレスが常態化している日本においては、パートナーにセックスを求めることが、あたかも悪いことや恥ずかしいことのように感じられてしまう風潮があり、そのため夫婦間の性生活に関する法律問題については、相談をすること自体躊躇してしまう方も多いように思います。

上述したとおり、セックスの不当拒絶は、不法行為や離婚原因に該当する可能性がある行為ですから、辛い思いをしている方は、躊躇することなく、まずは私たち弁護士にご相談いただければと思います。

【吉岡 一誠氏】

弁護士法人アディーレ法律事務所弁護士(東京弁護士会所属)。関西学院大学法学部卒業、甲南大学法科大学院修了。

友人がとても困っているのに、相談に乗ることしかできない自分自身に憤りを覚え、弁護士になることを決意。現在は悩んでいる方のために、慰謝料問題や借金問題などを解決すべく、日々奔走している。

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