子犬・子猫たちの可愛らしい姿の裏には、殺処分や悪質ペットショップなど悲惨な運命をたどる命もあります。

Spotlight編集部ではペット業界の闇に迫るべく、殺処分対象となる犬を引き取る活動などをされている、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンのプロジェクト、ピースワンコ・ジャパンのプロジェクトリーダーである大西純子さんに、様々なことをお聞きしました。

かわいいだけで子犬は飼ってはいけない

悪質ペット業者をなくすにはどうしたら良いのでしょうか?

大西:やはり法改正をするのがベストですが、残念ながら日本の行政は、ペットに対しての動きが非常に遅いです。ただし、飼い主側の意識を変えることでも、悪質ペット業者を減らせます。

飼い主側の意識というのは具体的にどういうことですか?

大西:例えば、「かわいい」だけで子犬は飼っちゃいけません。犬を飼うというのは本当に大変なことなんです。

家庭で犬を飼育することを検討する一番の理由として、年頃の子どもが子犬を欲しがるというのが良くあるパターンです。

子どもの「子犬を飼いたい」という要望にすぐに応える親もいれば、「待ちなさい、ちょっと我慢しなさい」と言える親もいます。

出典Spotlight編集部撮影

それでも子どもが欲しがったら、どうすれば良いのでしょう?

大西:最近読んだアメリカのトレーナーさんが書いた記事では、「子どもが子犬を欲しがったら、まず子犬のぬいぐるみを一個与えなさい」と勧めています。

そして子どもに、こんなふうに指示をするそうです。

このぬいぐるみは君が飼おうとしている犬と同じで、まずは名前もつけなさい。朝起きたら、この子をつれて30分ほど散歩に出かけなさい。雨の日も雪の日も、暑い日も。ちゃんと毎日繰り返しなさい。

帰ってきたら、その子に仮のごはんをあげなさい。体が汚れたら、洗ってあげなさい。

あなたが学校に行っている間その子は一人でトイレにも行けないわけだから、昼休みに戻ってきてね。こんなふうに、毎日犬の世話があなたにできるの?というように、まずぬいぐるみで体験をさせます。

そうすると子どもに、犬を飼うことってこんなに大変なんだなって知ってもらえます。

生きものであることを体験させるんですね。

大西:子犬がかわいいから飼うのであれば、ぬいぐるみで構いません。

生きているものと生きていないものの違いを、子どもにきちんと理解してもらわないといけません。生きているものを扱うには、世話をする義務がうまれます。お金もかかりますし、時間もかかります。

しかしこういったことを言っていると、なかなか犬の譲渡が進まないのではないでしょうか?実際、譲渡してもらうための審査が厳しく面倒なのでペットショップで買う方もいるようですが。

大西:私たちにも審査はあります。しかし高いハードルは設けず、犬についてまず勉強していただくようにしています。

お仕事をしているからダメですとか、共働きだからダメですとか、小さいお子さんがいるからダメです、ではなく、皆さんがお仕事をしている間、犬たちはどうしたら良いのでしょうか?といったところから考えていただきます。

例えば、フルタイムの共働きの夫婦が、まだしつけの出来ていない子犬を飼えるかっていうと、飼えないですよね。だったら既にお留守番ができる成犬はどうですか?と勧めます。

皆さんのライフスタイルにあった犬たちを、マッチングしていく。そうすると、人も犬も無理なく生活できるんです。

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人間のライフスタイルと犬のマッチング

人間のライフスタイルと犬のマッチングですか?

大西:はい。これはすごく重要だと思います。

例えばご年配の方。多くの保護団体では、ご年配の方への譲渡は断っているようです。その多くの理由は、飼い主の方が亡くなってしまうと犬が残されてしまうからというものです。

しかし、仕事を退職していて、時間にもお金にも余裕があるというご家庭であれば、成犬を飼うのは本当にお勧めです。

子犬だとこれから15年生きるわけですよね。飼いたい方が65歳だとすると、子犬が亡くなるときにはその方は80歳になっています。どっちが先に亡くなってしまうでしょう?

5歳ぐらいの成犬ならあと10年、75歳まで頑張れば犬を看取れるな、ということを考えていただきます。

アクティブな生活が好きな人には運動量がたくさん必要な犬を飼っていただくのが良いだろうし、家の中で静かに過ごすのが好きな方であれば、のほほんとした性格の犬を見ていただきます。

人間と同じで犬もそれぞれ性格が違うので、飼育時の生活を見据えたマッチングというのが私たち保護団体にはとても重要です。

本来、こういったことはペットショップで売る際にも同じだとは思いますが、ペットショップは売上を追わなければならないのでなかなか難しいです。

殺処分を減らすために、私たちができることはありますか?

大西:捨てられて殺処分対象になっている犬や、悪質ペットショップにより子どもを生むだけの親犬など、過酷な状態に置かれた犬がいるという現状をまず知っていただきたいです。

その上で、もし犬を飼うことを検討する際には、保護犬という選択肢を加えていただけると幸いです。

また、「飼わない選択肢」があるということも、知っていただけたらなと思います。

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子犬が好きだからこそ「飼わない」という選択肢

「飼わない選択肢」とは?

大西:子犬が欲しいと思ったとき、「私の仕事の状況はどうかな?」「家族の状況はどうかな」とか、「産まれたばかりの子どもにもしかしたら犬アレルギーがあるかもしれないな」と、ご自身のライフスタイルを含めて一旦考えてみることです。

ペットショップでは「抱かせれば勝ち」というように、思わず衝動買いをしたくなってしまいます。しかし安易に動物を購入することで、またちょっとした飼い主の都合により捨て、大量の殺処分に繋がっています。

可能な限り殺処分を減らすためにも、すぐに飼おうとせず、本当に飼えるのかと踏みとどまって考えることがとても大切です。

もし自分に世話ができるかどうか分からなければ、まずはぬいぐるみから始めてみたり、我々のような施設にどんどん遊びにきてもらって犬と触れ合ってみてください。

子犬、子猫が好きだからこそ、「飼わない選択肢」によって救われる生命があることを、どうか心に留めてください。

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