子犬・子猫たちの可愛らしい姿の裏には、殺処分や悪質ペットショップなど悲惨な運命をたどる命もあります。

Spotlight編集部ではペット業界の闇に迫るべく、殺処分対象となる犬を引き取る活動などをされている、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンのプロジェクト、ピースワンコ・ジャパンのプロジェクトリーダーである大西純子さんに、様々なことをお聞きしました。

なぜ広島で犬の殺処分ゼロにしようと思ったのか

ピースワンコ・ジャパンプロジェクトをなぜ立ち上げようと思ったのですか?

大西:親団体のピースウィンズ・ジャパンでは国内外の大規模災害の緊急支援を行っています。現場では救助犬が活躍する姿を見かける機会もあり、私たちも災害救助犬の育成をしようとピースワンコ・ジャパンプロジェクトを立ち上げました。

手始めに災害救助犬の候補となる犬を探そうと動物愛護センターに行ったら、本来その日に殺処分対象であったはずの子犬が、一匹残っていました。

殺処分されずに助かった生命をなんとかしたいと思い、夢之丞と名付け、彼に頑張って救助犬になってもらおうと決意しました。

出典ピースウィンズ・ジャパン提供

保護されたときの夢之丞

大西:夢之丞を引き取った当時、私が住む広島県でも合計1万頭の犬や猫たちが処分されていることを知り、なぜこんなにたくさんの犬が殺処分されるのだろうと疑問に思っていました。

実は広島は自治体で、「不要犬」「不要猫」と呼ばれているいらなくなった犬や猫たちを回収するシステムがあったんです。

動物愛護センターが運搬業者に委託して、あたかもゴミ回収のように、決まった日、決まった場所へ回収しにいく。

町の広報誌にも引き取り日が書いてあるので、その日になれば飼い主たちが一斉に犬や猫たちを役場に持っていく。役場は、愛護センターが回してくれる車に渡す。

そういったシステムがあったので、県民が犬や猫を捨てやすい環境でした。

実際、広島県はとても殺処分が多い現状があり、まずは殺処分をやめませんか?ということを問いかけ始めました。

殺処分の現実

殺処分はどのように行われるのでしょう?

大西:広島県では、ガス室を使っていました。部屋に二酸化炭素を充満させて、窒息死させるんです。犬たちは息ができなくて、苦しんで死んでいきます。

今でも殺処分が多い都道府県は同じ方法だと思います。

※愛護センターに収容される犬たちは、檻に入れられ、処分まで残り◯日の部屋に毎日移動させられる。そして殺処分当日、最後の部屋から、動く檻により半ば強制的にガス室に移動させられるそう。

出典筆者注釈

大西:犬たちは動物愛護センターに入っても、短い所だと3日、長い所でも1週間しか置いてもらえないんです。

出典Spotlight編集部撮影

動物愛護センターでずっと保護してもらえないのでしょうか?

大西:例えば広島県では、2010年当時で年間3000頭の犬たちが収容されているんですね。3000頭も飼い続けることって、普通の愛護センターはできません。だから殺処分されてしまうんです。

行政が掲げている表向きの理由は狂犬病予防法になります。犬たちが狂犬病を発症するかもしれない、だから処分する。

狂犬病を発症するか否かは、全ての犬たちの脳の組織をとって検査をしなければ分からないのです。

どのように殺処分ゼロを達成したのか?

殺処分が当たり前のように行われる状況で、ピースワンコ・ジャパンプロジェクトは広島県で2016年度に殺処分ゼロを達成しました。どのようにして達成したのでしょう?

大西:多くの方が誤解しているのですが、私たちは「殺処分ゼロ」を達成したとは思っていません。

「殺処分ゼロ」を達成したというよりも、今は愛護センターのガス室を止めているだけなんです。ガス室を止めて、愛護センターにやってくる犬を私たちが全て引き取っているだけなんです。私たちが活動をやめれば、また殺処分は再開されてしまいます。

だから、私たちは「殺処分ゼロを達成」ではなく、「殺処分0を維持している」という言い方をしています。愛護センターにやってくる捨て犬は今でもたくさんいて、根本は何も解決していないんです。

出典ピースウィンズ・ジャパン提供

広島の犬の殺処分を1000日でゼロにするプロジェクト開始の記者会見

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