2017年1月――2016年の流行語にもなったピコ太郎さんの「PPAP」が再度話題になっています。しかし今回は「PPAP」のネタが話題になっているのではなありません。その権利についてが話題になっているのです。

実は「PPAP」の商標を取得するために、ピコ太郎さんとはまったく無関係の会社が出願しているということがわかりました。

この後、商標の出願が認められ登録された場合、「PPAP」という言葉を自分(や自分の会社)だけが特別に使用できるようになるのですが、その権利を「PPAP」を生みだしたピコ太郎さんやピコ太郎さんが所属する「エイベックス・ホールディングス」が取得するのではなく、まったく関係のない第三者が取得してしまう恐れがでてきたということです。

そこで本日は……


・商標っていったいどんな権利?
・赤の他人が商標をとることはできるの?
・商標を他人がとってどうするの?


このあたりをわかりやすくご説明いたします……

1.そもそも「商標」ってなに?

商標には大きく4つの役割があります。


・自他商品識別機能
・出所表示機能
・品質保証機能
・宣伝広告機能


自他商品識別機能は、自分の商品と他人の商品を区別するという機能。単純に自分の「名前」のようなものです。名前をつけることで「商品A」と「商品B」をまったくの別物だと認識させる機能というわけです。

出所表示機能は、同一の商標の商品はかならず一定の出所から流通されていることを示す機能。たとえば「○○株式会社」が商標を持つ「商品A」という商品をどこで見かけた場合も、これはかならず「○○株式会社」が販売しているものだという証明になるというわけです。

品質保証機能は、おなじなまえの商標をもった商品はおなじ品質であることを示す機能。たとえば「全国展開されているファストフードのハンバーガーは、どこで食べてもおなじ味がすることを保証する」という形です。

宣伝広告機能は、商標により自分の商品と他人の商品の差別化をはかる機能。そうすることにより自分の商品を買いたいという意欲を起こさせるための機能です。また商標には以下のような力があります。

商標登録された商品には「登録商標マーク ®」(registered trademark)つけることができ、それによってお客様への信用力をアップさせることができます。さらにこのマークがつくことで他社に対する牽制をすることもできます。

また商標登録をすると商標権のライセンスができるため、ほかの会社がその商標を使用しようとした場合、それに見合った使用料を払わなければいけなくなります。またほかの会社が商標を使用していた場合、それを差し止めることができ、さらには損害賠償請求をすることもできます。

つまり商標登録をすれば「この商品は自分のものなので、どこで使用されても自分の息がかかっている」ということになります。そしてそうすることにより「ほかの商品との差別化をはかり、特別なものなのだ」ということを主張することができるというわけです。そして「使用するならば、自分のところにお金を払え」という主張ができるようになるというわけです。ちなみに……

2.商標権の効果はどの範囲まで及ぶの?

商標権の権利範囲は、商標登録をしたものだけでなく「類似商標」にまで権利範囲が及びます。これはどういうことかといいますと、今回のケースを考えたときに「PPAP」はもちろん「PPAP」に似た言葉などにも権利に対する主張ができるというわけです

ちなみに。
今回、商標の出願をした大阪の会社は、以下のものすべてを出願したそうです。


・PPAP
・ペンパイナッポーアッポーペン
・APPLE
・APPLE・PEN
・PINEAPPLE・PEN
・PEN・PINEAPPLE・APPLE・PEN


PPAPのほか、カタカナ、英語などといった形で全方位から商標権を得ようとしていることがわかります。対してエイベックス・ホールディングスサイドは2017年2月25日に確認できる限りでは「PPAP」のみを出願。「ペンパイナッポーアッポーペン」などでの商標は出願していないようです。

もしこのあと万が一これらが認められてしまった場合にはピコ太郎さんやエイベックス・ホールディングスは、これらの言葉を商標権を持つ会社の断りなしに、これらの言葉を自由に使用することができなくなってしまいます。つまり今まで通りには「PPAP」のネタができなくなってしまうということです。

また侵害を許されない(故意・過失を問わず)権利であり、更新することによって半永久的に保持できるという性質があります。

つまりピコ太郎さんたちが「知らなかった」振りをして「PPAP」を使用することもできなくなるということです。さらにもうひとつ、商標権には大きな特徴としてこんなものがあります。それは……

3.商標権は誰でも取得することができるの?

そもそもピコ太郎さんに関係のない「赤の他人が商標を登録することはできるの?」という疑問ですが、結論からいえば、これは可能です。

商標登録の基準はとても単純で、赤の他人であろうと誰でも商標を取得することはできます。この単純な基準とは以下のもの……


商標権は早いもの勝ちの権利



商標権は取得しやすい半面、今回のようなケースではこれが少々やっかいな部分にもなってきてしまいます。

また商標権を取得できないといったケースは以下の3つの場合のみです。

1.自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの
2.公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの
3.他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいもの

出典 https://www.jpo.go.jp

つまり、今回のようなケースだと「PPAP」という言葉は個性的な固有名詞であるため1にはあたりません。そして、とうぜん公共の機関の標章とはまったく関係ない単語というジャンルですので2にもあたりません。また以前に「PPAP」という単語や「PPAP」に似た単語が登録されていないため3にもあたらないというわけです。

こうなってくると「PPAP」という言葉を先に使用していたのがピコ太郎さん(とうぜんですが)だったとしても、先に出願した人にこの商標権の権利がいってしまうというわけです。ちなみに、大阪の会社が「PPAP」などを出願した日は以下のものです。


・2016年10月5日出願(商願2016-108551)


それに対しエイベックス・ホールディングスが出願したのは以下の日付け。


・2016年10月14日出願(商願2016-112676)


本家のエイベックス・ホールディングスが出願したのはなんと大阪の会社の9日もあと。このままですとルール的には先に出願をした大阪の企業が商標権を得てしまうということになります。ちなみに……

この企業は過去にもおなじようなことが……

実は、この大阪の企業は過去にも流行語となった言葉を登録申請しています。
そのため、ネットなどでは「またこの会社か」というような声がきこえてきています。

過去に登録申請をした言葉では以下のようなものがあります。


「STAP細胞はあります」
「民進党」


どちらも話題になった有名な言葉ですよね。
こういった言葉の商標申請をしている貴重であり、商標登録界では「やみくもに申請する企業」ということで有名な企業ということがわかります。では……

結局、大阪の企業は「PPAP」の商標をとれるの?

特許庁では現在「審査待ち」という状況にあるようです。商標の申請が許可されるまでには約半年の期間を要するからです。しかし商標登録が早い者勝ちの権利である以上、ルール的に状況としては大阪の企業が有利ということがいえます。

しかし一方では「PPAP(とそれに付随する言葉)」という言葉はピコ太郎さんが流行らせた言葉で、彼ありきのものであるということは周知の事実です。

また商標の申請には1万200円の費用が発生し、さらに審査がおりた場合登録をする段階でさらに費用が発生します。

こういった様々な面を踏まえると、大阪の企業が果たして「PPAP」の商標を最後まで登録するかどうかというのは微妙なところです。

前述の通り、この企業は話題となったワードなどを片っ端から申請している会社であるため、実際にその商標を取得することが目的ではないのかもしれません。

しかしながら単なる話題づくりのために商標の申請をしているとも思えません。
あくまで予想ですが、手あたりしだい申請したなかから、今後ライセンスなどでさらなる利益をうむダイヤの原石のようなものを探しているのではないかと予想されています。ちなみに、これに対するネットの反応は……

この問題に対するTwitterでの声は?

ファンの方は、こういったやり方には不満を隠せない様子です。また、申請している大阪の企業は……

商標のことではかなり有名な企業のようです。しかし……

大阪の企業は片っ端から商標登録をしつつも、未払いも多いことから今回はエイベックス・ホールディングスに軍配があがるような予想がたっています。

まとめ

商標に関しては上記のような様々なルールがありますが、今回もやはり大阪の企業は「とれない」というのがほとんどの人の予想のようです。

その理由は「未払い」ということが大きいのだろうと思います。
もちろん、今後「PPAP(ならびにそれに付随する言葉)」が今以上に大ブレイクしダイヤモンドのようになれば、出願の料金を支払い商標をとり、その商標を売る(あるいはライセンス契約)などして利益を得るという目的もあるのだろうと思います。

なにはともあれ、日本の商標が「早い者勝ち」というシステムが問題なのかもしれません。かなり古い法律のようですので、そのあたりも見なおしていく時代になってしまっているのかもしれませんね。

商標……

難しい問題です。
うのたろうでした。

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