【トランプ大統領誕生】

昨年のアメリカ大統領選挙から、早くも2ヶ月が過ぎました。その勝者である「ドナルド・トランプ」氏が、現地時間2017年1月20日(日本時間だと21日)に大統領に就任します。

トランプ氏は、選挙中から「暴言王」と呼ばれ続けており、大統領選が終わっても豹変してはいません。少々マイルドになった感はありますが、相変わらずの暴れっぷりです。

そんなトランプ氏が率いるのは、世界最強の軍隊と経済を持つ「アメリカ合衆国」です。アメリカの行動は、世界中に影響を与えます。日本も例外ではありません。むしろ、日本はアメリカとの結びつきがとても強く、他の国よりも巨大な影響を受けやすい状態です。

トランプ大統領がアメリカを本格的に動かし始めれば、日本はどんな影響を受けるのでしょうか?。

【影響1・防衛&軍事面】

トランプ氏は、「米軍が駐留している国には、更なる負担を求める」「自国は自国で守るべき。アメリカが最初に守るのはアメリカ自身だ」といった発言を繰り返しています。

日本には、神奈川や沖縄などに米軍基地があり、在日米軍が駐留しています。現在でも、日本は多額の駐留費を税金から支出していますが、トランプ氏の出方次第で支出金額が増加するかもしれません。その額は、下手をすれば数千億円規模になります。

交渉の結果によっては、駐留米軍の再編も有り得ます。そうなると、戦略的にも考えを改めねばならなくなり、尖閣諸島や竹島問題、あるいは北朝鮮の核ミサイルなどに対する布陣に影響が出かねません。

【影響2・貿易&経済面】

トランプ氏は、経済面でも大きな公約を掲げています。「アメリカの雇用を回復させる」「アメリカ以外に生産拠点を持つ企業の製品には、高い税金をかける。嫌ならアメリカ国内に生産拠点を置け」という発言に代表される、「アメリカ第一主義政策」です。

特にTPP交渉に関しては、「大統領就任直後に脱退する」と明言しています。日本もTPP交渉に参加しており、調整や説得に大きなエネルギーを割いてきました。実現まであと少しという段階なのですが、トランプ政権になることで、大きな影響が懸念されます。

TPPは、日本語では「環太平洋パートナーシップ協定」等と訳されています。簡単に言えば、「アメリカ・カナダ・日本・メキシコ・オーストラリアなどの太平洋を囲む地域・国で、貿易や経済の共通ルールを作り、お互いが商売しやすくしよう」という協定・約束事です。

TPPは未だ交渉途中ですが、もしTPPが発効・始動すれば、様々な分野に大きな影響があると予想されます。

例えば、日本の自動車業界など「輸出に強い産業」は商売がしやすくなり、業績が伸びるでしょう。逆に、日本の農業分野では「外国の安い製品が入ってくる」という事になるので、苦戦が予想されます。

知的財産分野でもルールが厳しくなります。現在の日本では、著作権違反は殆どが「親告罪」です。これは、違法コピーを見つけても、著作権を持つ者などが訴え出ない限りは裁判にならない…というルールの事。

TPP発効後は、これが「非親告罪」となり、著作権者の訴えを必要とせず、罪を問えます。同人誌を製作したり、ネットで意見を発信したりする方に取ってみれば、かなり怖い状況になります。

TPPが発効すれば、かなり強大な経済圏が誕生し、世界経済の40%くらいの規模になるとされています。影響力は絶大です。

しかし、これがアメリカ抜きになると、世界経済の10%程度の規模に縮小してしまい、「TPPやっても、あまり意味が無い」という事になってしまいます。

【影響3・アメリカvs中国のあおり】

トランプ氏は、ロシアとは仲が悪くありませんが、中国は目の敵にしている節があります。と言うのも、アメリカの貿易において、最大の赤字を垂れ流している先が中国だからです。トランプ氏は、「アメリカの雇用を奪い、経済を弱体化させている最大の国は、中国だ」と考えています。

「アメリカにとって、日本に対する貿易赤字は深刻。だから日本が狙われる」と考える人が多いかもしれませんが、直近では中国に対する貿易赤字の方が大きいのです。

モノの取引に限った貿易相手国・地域別の収支(通関ベース、季節調整前)では、

対日赤字が0.6%減の59億ドル。

対中国赤字は2.0%減の305億ドルだった。

出典 http://www.jiji.com

(2017/01/06付、『時事ドットコム』より。)

上記引用のニュースは、米商務省が発表した「2016年11月の貿易統計」のデータですが、中国に対する赤字は、日本の5倍以上です。金額だけ見れば、トランプ氏が切り崩しにかかるのは、中国です。

中国との関わりが深い国は多く、日本もその中のひとつです。アメリカの対中政策で、「中国からアメリカ資本が逃げる」「中国製品に高い関税がかけられる」となれば、中国経済は悪化します。その影響を、日本も受けるでしょう。

また、トランプ政権は「経済」だけでなく、「軍事面」でも対中強硬路線です。

中国による、南シナ海での埋め立て・軍事基地建設が進んでいます。2016年7月、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海における中国の主張を全面的に退け、「国際法上の根拠がない」と判断しました。しかし、中国は「判決は紙クズ」だとして、開発を止めていません。

オバマ政権の時も、爆撃機や軍艦を派遣して軍事的圧力をかけてきましたが、トランプ政権でも継続されるでしょう。むしろ、圧力が強くなる可能性が高いと言えます。

20日に発足する米国のトランプ次期政権は、中国に対し強硬姿勢を示したことで、安全保障から貿易やサイバー空間に至るまで広い範囲で対決することになった。

出典 http://jp.reuters.com

(2017年1月16日付、『ロイター』より)

政権移行顧問はロイターに対し、南シナ海への2隻目の空母配備ならびに駆逐艦、攻撃型潜水艦の追加投入、ミサイル防衛システム用の電源拡充、さらには日本やオーストラリアでの基地増設などを検討していることを明かした。

北朝鮮と国境を接する韓国で、米空軍に「長距離打撃爆撃装備」を配置することも考えているという。

出典 http://jp.reuters.com

(2017年1月16日付、『ロイター』より)

中国の国営英字紙チャイナ・デイリーは、トランプ次期米大統領による「一つの中国」原則をめぐる挑発的発言に中国はこれまで自制を働かせてきたが、就任後も同じ発言を繰り返すならば中国は「本気で立ち向かう」構えだと警告した。

出典 http://jp.reuters.com

(2017年1月16日付、『ロイター』より)

【影響4・テロ増加懸念】

トランプ氏は、難民政策やムスリム(イスラム教徒)に対する政策を口にしており、その多くは否定的なものです。「彼らをアメリカに入れない、もしくは追い出す」という発言もあり、関係者が危険を感じています。

この流れを受け、イスラム過激派のテロが、ますます酷くなる事も予想されます。日本も、他人事ではありません。

トランプはこれまで、「イスラム教徒のアメリカ入国を禁止する」「イスラム教テロリストの家族を皆殺し(take out)にするべき」「アメリカのイスラム教徒はテロリストを警察から隠している」などといった発言や示唆を繰り返してきた。

トランプの発言の数々は、第二次世界大戦で日系アメリカ人が強制収容所に入れられた暗い歴史の復活を思わせる。現在、排斥のターゲットになっているのがイスラム教徒だ。

出典 http://www.newsweekjapan.jp

(2016年8月1日付、『Newsweek』より)

2020年には、東京でオリンピックが開かれる予定です。トランプ大統領の任期中であり、オリンピックは世界的イベントです。何かしらの影響は不可避でしょう。

【敵は米国内にあり…?】

他にも、ロシアとの交流・メキシコとの経済問題・中東問題等もあり、トランプ政権の関わる範囲は広いでしょう。問題が山積みです。それらに加え、トランプ氏は「足元に大きな不安を抱えた状態」で、新大統領に就任する事となります。

トランプ氏の国内支持率は、就任前から厳しい数字が続いています。50%以上の国民が「トランプ不支持」と答えている…との調査結果もあります。

また、議会多数派の「共和党」との関係も順風満帆とはいかず、スムーズな政権運営が疑問視されます。野党「民主党」との関係は言わずもがなで、就任式に欠席する民主党議員が多数出ています。

トランプ次期米大統領の政権移行へ向けた仕事ぶりを支持する人は国民の40%と、歴代大統領の中でも目立って低い割合にとどまっていることが、CNNと調査機関ORCによる最新の世論調査で分かった。

2009年の同じ時期、就任式を目前に控えたオバマ大統領の仕事ぶりを支持すると答えた人は84%に上っていた。

01年に就任したブッシュ前大統領、1992年に就任したクリントン元大統領の直前の支持率はそれぞれ61%と67%だった。

出典 http://www.cnn.co.jp

(2017.01.18付、『CNN』より)

20日に行われるドナルド・トランプ次期米大統領の就任式について、ボイコットを表明する民主党の下院議員が50人以上に上った。

議員の多くは、欠席を表明した公民権運動の闘士、ジョン・ルイス下院議員(民主党)をトランプ氏がツイートで攻撃したことなどに反発している。

また就任前の大統領としては記録的な低支持率が相次ぎ発表されたが、トランプ氏は「仕組まれた結果だ」と反発している。

出典 http://www.bbc.com

(2017年1月18日付、『BBC』より)

就任式翌日の21日にはワシントン中心部でトランプ次期政権に抗議する集会「ワシントン女性大行進」が予定され、約20万人の参加が見込まれている。

同集会には、大統領選で民主党のクリントン候補を支援した歌手のケイティ・ペリーさんら有名人も出席を表明している。

出典 http://www.nikkei.com

(2017/1/14付、『日本経済新聞』より )

【まとめ】

ひとつの節目として、2017年4月30日が挙げられます。この日は、トランプ氏が大統領に就任してから、ちょうど100日になります。

トランプ氏は、選挙中に「大統領就任後100日以内で、いくつかの公約を実現する」と発言しています。

・犯罪者で非合法の移民200万人以上の国外退去の手続き開始
・犯罪者の帰還を拒否する国に対しては、査証なし渡航を廃止
・オバマ大統領による大統領令をすべて撤廃
・連邦議会の議員任期を制限
・国連の気候変動に関する計画への資金拠出を停止
・浮いた資金で国内インフラの修理を賄う
・中国を為替操作国と認定

出典 http://www.bbc.com

(2016年11月9日付、『BBC』より)

正直言って、これらの公約が100日で実現される可能性は低いでしょう。

そうなると、元々支持率が低かった事に加え、公約実現を期待していた支持層からも反発が強まり、窮地に立たされる疑いがあります。

100日経過して公約が実現していないから、いきなり政権消滅…なんて事にはならないでしょうが、政権の弱体化が始まる事は避けられそうにありません。そうなった場合、対外的な圧力にも変化が出て、日本への影響も増減するでしょう。

可能性がひとつあるとすれば、「トランプ氏は経営者としてのスキルは天下一品だが、政治家の経験がほとんど無く・スキルは未知数である」という点が挙げられるでしょう。

政治家経験が乏しい為、逆にしがらみや前例に囚われない大胆な手法を取るかもしれません。そういうパワーが発現した時、新しい展開が見えてくる可能性はあります。

どちらにせよ、激動の時代が始まることは、間違いないでしょう。

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