記事提供:LITALICO 発達ナビ

自閉症スペクトラムの特徴としてよく言われる「こだわり」。長男はたまたま「野菜」でした。悩んだ時期もありましたが、こだわりは活かせる、活かすしかないかなと今は思うようになりました。

ウチの子、母親以外に興味ないの?興味の幅が狭かった乳幼児期

発達障害の診断を受けている長男は、赤ちゃんの時からとにかくぐずりっぱなしでした。

落ち着いているのは抱っこでおっぱいを吸っているときか、胸を触っているときかのどちらかで、テレビも「いや!」、おもちゃにも興味を示しません

食事作りの間はおんぶしていましたが、だんだん重くなってくると足元で遊ばせつつ、「これはニンジン、今からお母さん、ニンジンを切るからちょっと待っててね」と見せたりし、なんとかこなしていました。

そのうちふと、「野菜を触っているときは静かにしている」ということに気がつきました。

母と過ごすこと以外に興味を示さなかった長男です。これは大発見かも!?と思った私は、キャベツや白菜を長男にどんどんむいてもらい、それを味噌汁や煮物にしていました。

活かせるならば、どこまでも!野菜と歩んできた成長

その後、長男は野菜と触れあうことが大好きなんだ!ということがわかりました。

色とりどりの野菜を並べたり、分類したり、「野菜アート」づくりに熱中する長男。野菜フィーバーの始まりです。

絵本で1番気に入っていたのは『やさいのおなか』。夫が「喜ぶかなと思って」と、大人向けの『野菜の便利帳』という野菜図鑑のような本を買うと「ん!(よんで!)」と何度も持ってくるようになりました。

言葉の習得も植物の名前からです。「さといもんもんも(さといも)」「ぶろーりー(ブロッコリー)」、その他いろいろなシーンで野菜の力を借りました。

・電車などの乗り物に乗るときは「これからにんじん色の電車に乗るよ」と緊張をほぐす
・お絵かきでは丸を描けたら、トマトを見せて「トマトかけたね」、線を描いたらゴボウを持ってきて「似てるね」と盛り上げる
・ハサミのときは、紙よりも先にネギを切らせるとすぐに上達
・どうしても眠れないとき、ニンジンを握りながら就寝
・起こすときには耳元で「キャベツ、ハクサイ…」と唱えるとパチっと目を覚ます

図書館や子ども広場では緊張でガチガチになる長男でしたが、スタッフの方が野菜の絵本やおもちゃなら喜ぶということを知ってくださったおかげで、少しだけ行きやすくなりました。ありがたかったです。

とうとう興味は「野菜作り」へと発展。農業から学んだたくさんのこと

3歳になった頃からマンションの庭スペースで家庭菜園を始めました。

1年目は親がリードしていましたが、2年目からは長男が絵本を見ながら、自分で植えるものや配置を決めたがるようになり、任せるようになりました。

自己流で失敗も多かったのですが、目をつぶって好きなようにさせました。

支柱を立てたり紐を結んだりといった作業も、時にできなくてかんしゃくを起こしながらも、こなすようになってきました。公園にはまったく行きたがらなかったので、屋外の活動の動機として活かしました

土を耕すことでずいぶん腰がしっかりしたと思います。

農業を営んでいる祖父母の畑にも、よく長男と遊びに行きました。「よく知ってるなあ」「本当に集中力があるね」と褒めてもらいました。

長男も、見事な野菜をつくる祖父母を尊敬。コミュニケーションや人間関係のベースになったと思います。

好きなことから広がる世界、それは子どもの成長を信じるきっかけにも

その後受けた3歳半検診では「ごっこ遊びしますか?」と訊ねられ、「八百屋さんごっこなら」と答えました。

登園渋りもまれにみる激しさで、気になることは正直ありました。お絵かきについて訊かれたとき、「好きなものは描きます。野菜の絵しか、描かないんです」と相談すれば、もう少し早く発達の凸凹に気づくことができたのかもしれません。

しかし家の中では、野菜を育て食べ、本を読んでいればニコニコ、会話も弾み、知識も技術も伸びるのを感じていたので、多少凸凹があってもゆったり構えることができました。

小学校に入学し、集団生活になじめなくて大混乱したときは悩みましたが、「好きなこと」があるのはやはりいいことなのだ、と捉えるようになりました。

今振り返れば、赤ちゃんのころ知らず知らずのうちにストレスをためていた長男は、野菜で安心を得ていたのかもしれません。

9歳の現在、興味は理科、そして社会一般に広がってきています。

ただ、野菜を作らない人と人間関係を結ぶのはまだまだかなり苦手、これからです。

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