コンビニ業界に詳しいライターの日比谷新太さんが、業界の様々な問題点をレポートする当シリーズ。

年末年始のジンクスを取り上げた前回に続く今回は、コンビニ経営の過酷な実態をレポートする「経営者はつらいよ」の第3弾ということで、コンビニ経営に携わる一家が必ず抱える“休日問題”を取り上げています。

一泊二日の家族旅行も準備が大変

コンビニ店主とその家族は、生活の中心が「コンビニ」です。

朝の家事を終わらせた奥さんが午前・午後と店舗オペレーションを行い、夕方に帰宅。夕食を食べた後には店主(旦那)が出勤し、夜・深夜の店舗オペレーションを行います。またお子さんが高校生になれば、帰宅後に夕方のシフトにも入ったりすることも。

このようなサイクルを、365日間続けているのです。まさに家族経営という感じですが、考え方を変えれば家族がいつも近くにいるので、職住接近の理想的な生活とも言えるかもしれません。

しかしながら、偶発的なイベントや事態に遭遇した場合、スケジュールを確保するのがかなり難しいのが実情。ましてや一家揃っての旅行など、家族総出で店舗運営をしているとなると、相当難易度が高いです。

私の知り合いでコンビニを営むある一家では、一泊二日の家族旅行を計画した際に、店舗オペレーションで重要な仕事である「発注」「現金管理」について、入念な準備を進めていたと聞きます。

まず「発注」に関してですが、毎日発注しなくてはいけない食料品については、事前に発注数量を入力。出発当日の朝にお店へ電話をして、アルバイトさんに「在庫余っている?」「天気予報は?」といった情報を聞き出して、発注修正をしたとのことです。

また「現金管理」については、「旅行後にやるから!!」ということで、釣銭をレジの中と小型金庫に大量に用意してから、出かけて行ったそうです。

万が一、不在中の店舗でアクシデントが起こったとしても、事情を把握している本部の担当者が対応できるため、一泊二日程度の不在であればなんとか乗り越えられます。

本部側としても、家族水入らずで気分転換をしてもらい、また頑張ってもらえれば…ということで、快く協力してくれることが多いのです。

店主が緊急入院…残された家族は?

ところが、家族の入院といった不測の事態の場合は、かなり大変なことになります。私が聞いたことのあるのは、コンビニ店主である旦那さんが急に入院したというケース。

手術も受けるため、1か月間ほど店主が不在になるという事態に陥りましたが、残された奥さんと高校生の娘さん、そしてパート・アルバイトさんとで、その窮地をなんとか乗り越えました。

まず店主不在中の「発注」ですが、おにぎり・弁当・パンといった毎日発注しなくてはならない商品に関しては、本部の担当者に一任することになりました。

本部の担当者は遠く離れた事務所から遠隔で発注をするいっぽうで、1日1回はお店に赴き、在庫確認・廃棄確認を行なったうえで、発注の微修正を行いました。

また、それ以外の商品の発注に関しては、「失敗してもイイ」「欠品させないで」「納品したら何とか売場に出して」ということで、主力のパートさんに任されました。

奥さんと娘さんは、午前~午後そして夕方のそれぞれの時間帯の責任者として、連日お店の運営にあたったといいます。

そんな店主不在の店舗運営でしたが、最初のころはとても大変だったそうで、本部の担当者も自宅に帰れず車の中で寝たり、店主宅に泊まり込みをしていたといいます。

しかし面白いもので、1か月ほど経つと徐々に慣れてきて売上も安定。やがて1か月が経ち旦那さんが復帰しましたが、そのころには店主の仕事が特に無いような状態になっていました。

ちなみに旦那さんの復帰後、奥さんは「私が休む」と宣言し、娘さんとともに旅行に出かけたそうです。

このように、たった1日だけ休むのも大変なコンビニの家族経営。

しかし最近では、どのチェーンも経営者の成り手不足に悩んでいることもあり、これまでの「1店舗1店主」ではなく、各経営者が社員などを雇うことで、ひとりの店主が複数店舗を経営するという形態に移行しつつあります。

過酷な家族経営が、この流れによって解消されることが大いに期待されますし、そうならないといけないと思います。

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