25歳の頃に大きく舵をきって、そこから、世間の皆様から絵本作家として取り上げていただけるようになるまでには、ずいぶん時間がかかりました。

絵本を作れど、作れど、売れなかったのです。

クオリティー面で負けているとは1ミリも思いませんでしたが、それでも売れませんでした。

世間に受け入れられている作家さんの作品を見て、「なんで、あんなものが売れるんだ。俺の作品の方が絶対に面白いのに!」と思ったことも、一度や二度ではありません。

今、当時の作品をフラットに見ても、やっぱり作品のクオリティーでは負けていないと思います。

ただ、何を持って『クオリティー』とするか、たとえば、その定義を《作品の内容》ではなく、《作品の内容はもちろんのこと、作品がお客さんの手に届くまで》とした場合、僕は圧倒的に負けていました。

当時の僕は、『良いモノを作っていれば売れる』と思っていましたし、『作家が商売に口を出すのは汚いこと』だと思っていたからです。

それゆえ、作るだけ作って、作品を届ける作業…つまり《売ること》を、事務所や出版社に完全に委ねていたのです。

そういうものだと考えていたし、「僕は売り方は分かりません。僕は作るのみです」のスタンスの方がカッコイイと思っていたからです。

そのくせ、売れなかったら「なんでやねん!俺の作品の方が…」と憤り、バチクソに売り上げを気にしているのです。

んでもって、気の合う仲間だけで集まっては、「売れてる奴らなんかより、俺たちの方が真に面白いモノを作っているよね」と互いの傷を舐めあうように酒を呑んだのでした。

ダッセー。

糞ダセー。

意識してんだろ?

人気を。売り上げを。

正直に言えよ。

んでもって、「作るだけ作って、売ることは他人任せ」って、お前、それ、育児放棄じゃねーか!

お前が産んだ子を殺してんのは、お前だ、バカ!

お前が懸命に守ってんのは、お前の作品ではなくて、お前自身だ。

自分にはイイ服を着せてあげて、自分には美味い飯を食わせてあげて、自分が産んだ子はベビーシッターに任せて殺しちゃう。

親なら、子の為に汚れろよ。

子供が成長するまで、面倒見ろよ。

泥水すすれよ。

お前が産んだんだろ。

ビラを配れ。

手売りしろ。

「必死じゃん」と後ろ指をさされろ。

…たしか、2012年の暮れ頃にそんなことを思ってですね、そこから流通の仕組みやPRのノウハウを片っ端から勉強し、誰よりも実践し、身体で覚えました。

今でも年に2度、『デザインフェスタ』というコミケに、ブース代を払って参加しています。

自分で作品を運んで、自分で原画を展示して、自分で絵本を並べ、自分で客を呼び込み、自分で接客をして、自分でレジを打っています。

作品をどのように何個並べたら、お客さんに手に取ってもらいやすいか…たとえば、そういったことを現場で、肌で覚えます。

もちろん心理学の本なども読むのですが、そんなことより現場で覚えた方が早いです。

クオリティーの高い作品を作るのは、当たり前。

プロなんだから、作品の親なんだから、『丁寧に作って、丁寧に届ける』。

これに尽きます。

そして、届けるまでを『作る』と呼ぼう。

昨日、お客様から、「神戸で開催されている『えんとつ町のプペル展』の会場の場所が分からなかった」という声が届きました。

そこで、会場入り口の写真を見たのですが、これが、まぁ散々…。

『えんとつ町のプペル展』は、ここの2階で開催されているようなのですが、通りすがりの人が『えんとつ町のプペル展』を知る要素が1ミリもありません。

「知る人ぞ知る」というやつです。

個展会場の中は丁寧に作られていると聞いたので、これぞ『育児放棄』の代表例です。

『えんとつ町のプペル展in神戸』は、クラウドファンディングのリターンで個展開催権利を売ってしまっていて、僕の手から離れているのですが、とは言え、『えんとつ町のプペル』という名前を使っている以上は僕の作品で、これは僕のミスです。

申し訳ございません。

早急に対応します。

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