米・カルフォルニア州のクリフォード・ジェームズ・ハーバートさんは、かつては農業を営んでいました。しかし2006年に、突然の病に侵されてしまいます。

心臓と気管切開の手術を受けたクリフォードさんでしたが、術後の合併症により障がいをかかえ、職を失い、収入も途絶え、路上で暮らすホームレスとなってしまったのです。

そんなクリフォードさんの唯一の家族が、生後10ヶ月の愛犬・ベビー。ベビーは、心ない人から懐中電灯で殴られているところを、クリフォードさんが救いだしました。そして辛い日々の中、一人と一匹はかけがえのない大切なパートナーとなっていったのです。

まさかの余命宣告にクリフォードさんは…

しかし、運命はどこまでも残酷でした。クリフォードさんは、癌に侵されており、脳への転移のため余命数週間だと告げられてしまいます。

米カリフォルニア州に住むジェニーンさんが、クリフォードさんを見かけたのはそんな時。昨年の12月、それはとても寒い夜でした。道路で白い犬を抱きしめているホームレスに気がつき、思わず話しかけた相手がクリフォードさんでした。

そして話をするうちに、クリフォードさんが余命わずかなことを知り、大きなショックを受けました。

最後の願いは「ベビーに安心できる家を与えてあげる」こと

しかし、ジェニーンさんが更に衝撃を受けたのは、クリフォードさんが最も心配しているのは自分の命ではなく、自分亡き後のベビーだという言葉でした。

「ベビーは親友で、そしてどんな時にも私を守ってくれた大切な存在なんです。私にとって、ベビーが全てなんです」そして、ジェニーンさんにこう訴えました。「ベビーが安心して暮らせるような新しい家族を探して欲しい』

唯一の家族であり、かけがえのないパートナーであるベビーを手放すことになるその願い。余命わずかの自分では、ベビーを幸せにしてあげることができない。犬と暮らしたことのある人ならば、その選択がどれほど苦しく切ないものかは想像がつくでしょう。

ジェニーンさんは、クラウドファンディングでクリフォードさんとベビーを救おうと呼びかけました。

クラウドファンディングには多くの人が協力し、クリフォードさんはモーテルの部屋に泊まることができるようになりました。屋根のある暖かな部屋で、くつろぐクリフォードさんとベビー。とても幸せそうです。

ベビーは耳が聞こえていなかった

ベビーは、新しい家族を探すために獣医で検診を受けました。すると、ベビーは耳がほとんど聞こえていないということがわかりました。そこでジェニーンさんは、ベビーにトレーナーをつけ、ハンドサインでコミュニケーションを図りながら、家庭で暮らせるようにレッスンを受けさせることにしました。

ジェニーンさんの働きかけにより、クリスマス直前のある日、すべての事情を理解して受け入れてくれた新しい家族が見つかりました。先住犬と小さな女の子のいる賑やかな家庭で、新しい飼い主さんは、ベビーのために一緒にハンドサインのレッスンを受けてくれる優しい人です。

まるでクリスマスプレゼントのように、ベビーは安心して暮らせる新しい家を見つけ、クリフォードさんの切ない願いは叶ったのです。

切ない願いではありましたが、自分亡き後、大切なベビーがどうなってしまうのか心配をする必要がなくなったクリフォードさんは、安心してこれからの日々を過ごすことができるのです。

そしてベビーも、新しい素敵な家族と共に、自分を救ってくれたクリフォードさんのことを一生忘れないでしょう。

クラウドファンディングのページでは、寄付してくれた人たちが見られるページで、新しい家族に囲まれたベビーや、穏やかな表情でギターを楽しむクリフォードさんの姿を見ることができます。

路上で寒さと不安に押しつぶされそうになっていたクリフォードさんを救ったのは、たまたま通り掛かった見ず知らずのジェニーンさんでした。忙しい12月、見て見ぬ振りをすることもできたでしょう。励ましの声ををかけるだけで去って行くこともできたでしょう。

けれど、ジェニーンさんはそうはしませんでした。見知らぬホームレスのためのこの行動は、クリフォードさんとベビーの人生を大きく変えただけでなく、多くの人の心に感動を与え、それぞれの人生を改めて考えるきっかけとなった事でしょう。

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