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TBS系連続ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で夫婦共演を果たした(左から)藤井隆、乙葉。(C)ORICON NewS inc.

好調だった前期に続いて、2017年1月期の連続ドラマがスタートする。

“ドラマ復権”とも言えるほどの盛り上がりを見せた昨年のドラマシーンだが、振り返ってみるとここ最近ではキャストが“実生活を投影した役”を演じることで、現実世界とドラマ世界をリンクさせる演出が目立っている。

そこからの話題性の喚起のみならず、ドラマのストーリーにリアリティを生み出しつつ視聴者の共感を得るなど、作品にもキャストにもプラスになっている面があるようだ。

本人の“地”と役柄をリンクさせる演出からの高評価も

黒木メイサ、テレビ朝日系『ドクターX~外科医・大門未知子~』第10話(12月15日放送)に妊婦役でメインゲストとして出演。(C)テレビ朝日

昨年のひとつのムーブメントにもなり、NHK紅白歌合戦での星野源の「恋」歌唱と新垣結衣の“照れちょいダンス”も話題になった『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)。

10月からのエンタメシーンを席巻していた感もあるが、その最終回に津崎平匡(星野)の同僚役として出演していた藤井隆の妻役として、リアルでも藤井の妻である乙葉が“サプライズ出演”して大きな話題となった。

また、実際に第二子を妊娠中の黒木メイサも『ドクターX』(テレビ朝日系)に“リアル妊婦”役として登場するなど、出演者の現実世界とドラマ世界がリンクする演出が目立っていた。

この“実生活に近い役を演じる”ということ自体は、ドラマの話題作りの手法としても以前から定番である。

最近でもドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(フジテレビ系)では、整形美女ばりの美貌を見せる(そんな都市伝説もある?)菜々緒が整形美女という設定の猟奇殺人犯を好演し、「よくぞその役を受けた!」「最高のハマり役」などと高評価を受け、悪女役の女優としてもひと皮むけたといえる。

今期のドラマでは、『嫌われる勇気』(フジテレビ系)主演の香里奈が「組織になじまず」「周囲の意見に耳を貸さない」=嫌われる勇気を持った“アドラー女子”に扮する。

一昨年の週刊誌報道後、メディア露出が極めて少なくなっていた香里奈の久々のドラマ出演が同役というのも、まさに視聴者のイメージ上における香里奈本人の“地”とリンクさせる狙いがあることが想像できる。

「確かに以前から本人役としてアイドルが出演したり、原作の漫画家や小説家のカメオ出演(映画やドラマにほんのわずかだけ登場すること)はありました。

また、ママになった女優さんやアイドルが実子と一緒にCMに出演するのも、その派生形と言えるでしょう。

その典型のひとつが、2001年に放映された『スタアの恋』(フジテレビ系)じゃないでしょうか。

この作品で藤原紀香さんは、国民的人気女優を演じるという、当時一世を風靡した藤原さん“まま”の役柄を演じました。

最近ではこうしたド直球な本人役は少ないですが、『ファースト・クラス』(フジテレビ系/2014年)では、世間から当時かなりのバッシングを受けていた沢尻さんを主演として8年ぶりに抜擢しました。

賛否両論ありましたが、壮絶ないじめやマウンティング(女性内での格付け)、さらに沢尻さんの“地”をいく成り上がりストーリーを描き切って、続編も作られるほどの人気になりましたし、そこから沢尻さんも完全復活しました」(エンタメ誌編集者)

話題性だけではない。ドラマに生み出されるリアリティと共感

俳優の実生活の“地”を視聴者に思わせることは、俳優にとっても作品にとってもリスクがありそうな気がするが、結果を見るとその逆になっているケースが多く見受けられる。作品はうまく話題に上り、そこに体当たりで臨んだ俳優は評価を受けている。

「ママになった女優さんやタレントがママ役を演じるママタレもそうですが、黒木(メイサ)さんのように、それまで生活感や庶民っぽさがなかった人ほど視聴者の意表をついて好感度が上がったりします。

逆にプライベートでパブリックイメージを損なった役者さんが、そのイメージのままの役をあえて演じて見せることで気概を買われたり、カッコいいと思われたりする場合もあります。

『嫌われる勇気』の香里奈さんなども、作品のできによってはそこから再ブレイクしていく可能性もあるのではないでしょうか」(前出・編集者)

かつての俳優やタレントは、基本的には実生活の側面はベールに包まれていた。

その後、先鋭化したメディアの取材によるスクープ、SNSの普及によるそうしたスクープ情報の共有化、さらには俳優やタレント側からのプライベート情報の発信など、今や俳優やタレントたちのイメージは、ドラマ作品の内容と本人のプライベート情報とのインタラクティブな関係性によって目まぐるしく変わるようになってきたようだ。

言ってみれば、本来はスキャンダラスな情報であっても、かならずしも本人の仕事にとってマイナス要素になるとも限らず、作品の演出によってはリスクもあると同時に親近感や好感度のアップにもつながることがあるということだ。

一方、作品にとっても話題性だけではなく、本人が演じることによるリアリティが生まれるほか、キャストと役柄のシンクロによってその感情や心境が視聴者に共感されやすくなるプラスの面もある。

評価を受ける良いドラマには、そこに視聴者の感情を動かす“なにか”がある。

完全なる作り物の世界から一歩踏み込んだ、俳優の実生活の延長線上にある設定でのドラマ出演は、その“なにか”になりうるプラスαの効果を生み出すひとつの手法になっているようだ。

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