記事提供:LITALICO 発達ナビ

発達障害児の息子は、親もびっくりするほど巧妙な嘘を次から次につきます。あまりに巧妙で、騙されていたことすら気付かないことなどしょっちゅうです。なぜこんなに平気で嘘をつくのだろう…と頭を抱えていたとき、私はあることに気付きました。

障害の特性で多弁な息子。困ることも多いけど、私は信頼していて…

発達障害のある息子は、「思ったことをそのまま口に出す」という特性があります。

道を歩く人に「お母さん、この人太ってるね~!」「あのおじさん、洋服が破けていて汚いね!」などと、指をさしながら大声で言ってしまうことがよくあるのです。

私が慌てて「そんなこと言っちゃダメ!!」と叱ると、「どうして?本当のことを言っただけだよ」とキョトンとした顔で言うのです。そんな息子を見て、私はよく「この子は正直で嘘がつけない子なんだ!」と思ったものです。

そんな調子で息子を「正直な子」と信用しきっていたある日のことです。息子が、

「幼稚園で自転車を10台ぐらい買ったんだよ。それでみんなで自転車大会をやった。みんな補助輪がない自転車に慣れていなくて転んでいたけど、僕だけは転ばずに乗れたんだ。それで先生に褒められた!家でも練習したいから自転車を買ってくれる?」と言うのです。

この話に私は大喜び。自信を失いがちな息子が何かに興味を持ってくれるのは大歓迎だからです。その後すぐに自転車を買いに行ったのでした。

あれ?この子嘘をついてる…?

その数週間後のことです。

幼稚園の先生と立ち話をしていたときに、「幼稚園で購入した自転車に上手に乗れたとかで、すごく喜んで帰ってきたんです」という私の言葉に対し、先生はこう言いました。

「…幼稚園で自転車なんて購入してませんよ?

そのとき私は、「あれ?」と思いましたが、まさか息子がそんな巧妙な嘘をつくはずがない…と思い、そのときはそのまま流していました。

その後も、息子との会話の中でちょこちょこと「これは嘘かな?」ということが何度かありました。何かが欲しいときに、作り話をすることが多かったので、私のほうもあまり過剰反応しないようにしていました。

息子がとうとう嘘を認めた!その決定的な瞬間

そのうちに、息子がこんなことを言い出しました。

「お母さん、今日ね、幼稚園で○○先生が僕のことを指さして『あなたは発達障害なんだよ』ってみんなの前で言ったんだ。発達障害ってなに?」それを聞いた私は真っ青になりました。

幼稚園の先生方には発達障害のことはお伝えしてありましたが、まさかそんな無神経な形でみんなの前でそれを言ってしまうなんて…とビックリしたのです。

「どういうこと?お母さんちょっと今から幼稚園の先生に確認してみてもいい??」と言って私が電話を手にした途端、息子が大慌てで止めに来ました。そして、「お母さんごめんなさい、今の話は嘘です。先生に電話したりしないで…」と言うのです。

そのあと息子に話を聞いてみると、私が見ていたテレビ番組で「発達障害」という言葉を知ったと言います。その時だけではなく、息子は私が「えっ??」と動揺するような嘘を平気な顔をしてつくようになりました。

なぜ嘘をつくようになったの?2つあった、その背景とは

私も場数をこなしているうちに、「あ、この子嘘をついているな?」というのがだんだんわかるようになってきました。

どうやら息子の嘘には、2つのパターンがあるようなのです。1つは被害妄想的な嘘、もう1つは叱責から逃れるための突発的な嘘です。

被害妄想的な嘘に関しては、コミュニケーションが苦手な息子のことを気にかけるあまり、私が過剰反応していたことが原因だと思います。

息子の「○○くんにいじめられちゃった」という一言に、「どうして?どうしたの?なんでそんなことになったの??」と私はいちいち動揺していました。そして、息子が辛そうなことを言うたびに「かわいそうに、頑張ろうね」と息子を励ましたのです。

これを繰り返していくうちに、息子の話はどんどん大きくなっていきました。

子どもは意外に親を見ています。息子は、私に可哀想と言ってもらうため、ありもしない作り話を次々と考えてくるようになっていったのです。

もう1つの、叱られることから逃れるための突発的な嘘。

これは息子が、多動多弁で小さい頃から叱られてばかりだったことが影響していると私は思います。

とにかく息子は突発的な行動が多いため、私は1日中叱っていました。発達障害だとわかる前は、自分が甘やかしているせいでこんなに我儘なったのだと思い、怒ってばかりいました。

いつしか息子は、私の叱責から逃れるため、後になればすぐわかるような嘘をつくようになったようです。

発達障害の子は後先のことを考えるのが苦手な場合が多く、息子もそのタイプです。

嘘をついた後にどうなるのか?想像ができません。

ストレスが強くかかったときには、その場の不快なことから逃げるのに必死なのです。

嘘が増えたときは、子どもに何が起きているのかを知る

その後、幼稚園の先生からの助言もあり、息子が被害妄想的な嘘をついたときは過剰反応しないこと、そして息子の失敗を叱らないように心がけたところ、嘘をつくことが徐々に少なくなってきました。

そうした息子の変化を見てわかったことがあります。

それは、発達障害児だから嘘をつくわけではなく、嘘をつくようになった背景があるということでした。

子どもの嘘が増えたときにはすぐ叱らず、その背景を探り、嘘をつかなくても済む安心できる環境を提供していくことが、大切なのかもしれませんね。

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