記事提供:サイゾーウーマン

「BIRTHJAPAN(バースジャパン)」石川智之社長。

2016年の世界的な大ヒット曲・ピコ太郎の『PPAP』(ペンパイナッポーアッポーペン)は、曲だけではなく一度見たら忘れられないアニマル柄ファッションも注目された。

この衣装の製造元である不良系ファッション大手「BIRTHJAPAN(バースジャパン)」(新潟県南魚沼市)の石川智之社長に、ブランド設立の経緯やヤンキーファッションのトレンドについて話を聞いた。

同社は不良のためのファッションを積極的にアピールし、『闇金ウシジマくん』をはじめ数々の映画やドラマにも衣装提供をしており、“その筋”では有名なブランドである。

■不良を表現する服を作りたい

――ピコ太郎さんのPV『PPAP』では曲以上にアニマル柄の服のインパクトがすごかったですが、以前から不良の間では「知る人ぞ知る」人気ブランドだったそうですね。あの服でなければ、あれだけヒットしたかどうかはわからないくらいです。

石川智之社長(以下、石川) 実は取材でお問い合わせをいただくまで、あの服がウチの製品とは知らなかったんです。

確認したら、お買い上げいただいていたとわかった次第ですが、(ピコ太郎の所属する)エイベックス・マネジメントは認めていないようですしね。

おかげさまで各方面からご連絡をいただいていますが、当社はPVがヒットする前からインターネットを通じて全国にお客様がいらっしゃったので、今回もそれほどビジネスには影響はないです。

――もともと常連さんたちが、たくさんいらっしゃるということですね。ブランドとしてストレートに「不良」を前面に出しているのは珍しいと思います。会社を作られたのは、どのような経緯からなのでしょう?

石川 私は新潟生まれの新潟育ちで、いろいろありまして高校中退、新聞拡張員、逮捕などを経て、今の会社を作りました。店の公式サイトにも書いた通り逮捕歴がありますが、初犯だったので執行猶予がついて、ムショには行ってないんです。

若かりし不良時代の石川社長。

――なるほど。ファッションブランドを立ち上げられたということは、もともとこうしたデザインがお好きだったのですか?

石川 「不良を表現できるような服を作りたい」というのは前からありましたね。小さい頃からワルガキで、中学からは空手を習っていたのですが、ケンカもよくやっていました。

漫画では『CUFFS ~傷だらけの地図~』(東條仁/集英社)や『今日から俺は!!』(西森博之/小学館)などが好きで、服もそういうのをマネしていたんです。

設立時(06年)はホスト向けの服を作っていたのですが、09年から現在のスタイルにしました。当時はホストのニーズに合わせて作っていて、今は逆に私の方からデザインというか世界観を提供させていただく感じですね。

■仏様や龍をデザインしたTシャツが人気!

仏様と龍をデザインしたセットアップ。

――ヤンキーファッションの最近のトレンドは、どのようなものですか?

石川 トレンドというのは特にないですね。「10年前も10年後も、このファッションで!」ということです。最近は若い人にも、仏様や龍をデザインしたTシャツは人気があります。

ちなみにピコ太郎さんの服はずっと売れ残っていて、「困ったなあ」と思っていたところで売れたんです。それから1年くらいして『PPAP』のヒットで急に注目されたんです。もう増産はしませんでしたけどね。

――製品は、ご自分でデザインされているんですね。

石川 おおまかなデザインは自分で考えて、細かいところは提携しているデザイン会社にお願いしています。型紙づくりや縫製は中国に発注しています。

あとは、ホームページを見て連絡してきたイギリス人の女性デザイナーさんも手伝ってくれています。和風柄のデザインがものすごくうまくて驚いています。日本のことをとても勉強しているのがわかりますね。

ちなみにメールのやりとりは、グーグルの翻訳機能を使っています。

――中国やイギリスの方も関わっておられるのですね。ホームページも、ご自分で作られているのですか?

石川 そうです。技術的なところはプロに頼んでいますが、全体のイメージとか「クールにワルく、男らしく、そして誰よりも粋に…」といったコピーは自分で考えています。あとは、カミさんも手伝ってくれています。

――お客様は、やはり大阪などヤンキー文化のある地域に多いのでしょうか?

石川 そうですね。やはり大阪や福岡、北関東などからのご注文は多いですが、全国からご注文をいただいています。

――年齢層はどのあたりが中心ですか?

石川 スタートした当初は主に10代のやんちゃな層をターゲットに企画していたのですが、意外に年齢層は幅広いですね。30代以上のお客様からもご好評をいただいています。

なので、大人の男性向けに、少しシンプルで落ち着いた印象の「DIAMOND JAPAN(ダイヤモンドジャパン)」というブランドも作っています。

10代から20代をターゲットにした「BLOOD MONEY TOKYO(ブラッドマネートーキョー)」はプリント柄が中心なのですが、「DIAMOND~」は柄を織り込んだ布地などで高級感を出しています。

■「ムショ割」は酒の席で考案

仕事風景。

――社長さんの「逮捕歴」をあえて公開され、「逮捕から12周年だから12%引き」のほか、拘留や服役をされている方への割引などユニークな取り組みも話題ですね。

石川 世の中には女性とかシルバーとかいろいろな割引がありますけど、「ウチでできるのは何かなあ?」と酒の席で話したことがあったんです。それで、「ムショ割」「出所割」にしようとなりました。

「元受刑者の社会復帰の支援」などという高尚な話ではなく、「みんなに覚えてもらえたらいいな」とか、そんな程度の意味合いです。

――本当の意味での「再チャレンジ」ですね。ところで、ヤンキーに人気の「ガルフィ」や「キャプテンサンタ」といったブランドは高価なイメージがありますが、御社は送料を「うざいから無料」にしたり、全体的にお手頃な価格ですね。

石川 ウチは流通の見直しなど、常にコストを抑える工夫をしています。日本の有名ブランドが高いのは、仕入れや流通が複雑なこともあるのではないでしょうか?

――今後はどのようなビジネスを考えておられますか?

石川 作業服は現在もご好評をいただいていますが、とび職など建設現場の作業用に龍や蛇などの刺繍をしたものを作りたいですね。現場で叱られるかもしれませんが(笑)。

あとは、お客様からレディースのデザインのリクエストもいただいています。私は男性なので、なかなか難しいですが、検討課題ですね。これからも新しいことに取り組みたいので、よろしくお願いします。

会社の応接室。

石川智之(いしかわ・ともゆき)

1982年新潟生まれの新潟育ち。「ちょっとやらかして埼玉にいたこともあります(笑)」。2006年に「BIRTHJAPAN」設立。趣味は「生活全般。毎日が楽しいです。写真を撮るのも好き」

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