ペンシルバニア州のある家で、男性が死んでいるとの通報を受け、駆け付けた家には先に消防車が到着していました。(米国では緊急通報をすると、火災でなくとも必ず消防車が駆け付けます)

その家には、裏庭に犬が1匹いました。それは、オーストラリアン・キャトル・ドッグ(オーストラリア原産の牧牛犬種)の雌でした。

救急隊のイワン・コートニーさんが駆け付けた時、消防士が言いました。「その犬には近づかない方がいい。彼女は人間があまり好きではないみたいだ。」

それは、この家で死亡した男性が飼っていた犬でした。男性が死後どのくらい経っているのかその時点ではわかりませんでした。男性は1人暮らしでした。孤独死でした。

飼い主の死後、犬は誰にも世話をされることなく気づかれることもなく、裏庭にずっといたのだと考えられました。

消防士が近寄るなと忠告してはくれたのですが、犬は危険な様子でもなく、そのままにしておくわけにもいかず、”おいで”と合図すると、イワンさんと同僚の元へ近寄ってきました。

「彼女はとてもフレンドリーでした。彼女は私たちが触るのを喜んでいました。ハグもさせてくれたのです。」とイワンさん。

亡くなった男性の家族は、彼が犬を飼っていたことを知りませんでした。突然、犬がいたことを知り、その家族は犬をどうしていいのか判らなかったみたいでした。

男性が死亡していたこと、そして犬が取り残されたことに関して、家族は頭が混乱していたのかもしれません。

そんな家族は「犬は今日、安楽死させようと思う。」そう言ったのです。

マーサー郡の動物愛護協会のボランティアをしているイワンさんは、それを聞いてこう言いました。「安易に”殺す”という選択肢をとってはいけません。」

そして家族に犬を自分たちが連れて行ってもいいかと尋ねたところ、了承してくれたとのことです。

この犬には”ホープ(希望)”と名前がつけられました。

イワンさんが所属しているエリートEMS(エマージェンシー・サービス)は24時間体制で30名の救急隊員がいます。

そこには、地元の保護施設から救出した保護犬のハンフリーという犬が、すでに救急隊員たちと共に生活していました。

出典 https://www.facebook.com

保護犬のハンフリー

隊員たちは、ハンフリー以外の犬をここで飼うことは一切考えていませんでした。

なので、イワンさんはホープをここで一時預かりをして、里親探しを行う予定でした。

しかし、ホープをエリートEMSに連れて来た瞬間に、ホープはここにずっといるべきだと考えが変わったそうです。

「ホープを連れてきた最初の夜は、隊員たちは、ホープの信頼を得ようと一緒に床に寝たのです。

そして私が24時間シフトで別のステーションに勤務して戻ってきたら、そこにはハンフリーと同じベッドやおもちゃ、おやつなどがホープのためにそろえてあったのです。

隊員たちは、ホープのことを私自身も驚くほど可愛がってくれていました。」

ホープは隊員たちだけでなく、ハンフリーともすぐに仲良くなりました。

しかし、ホープがEMSに来てから隊員たちはあることに気が付きました。

ホープの足は脱臼していたのです。すぐにホープを獣医に診せました。

すると、ホープの前足は肘に複数の骨折をしていました。そして肩からの靭帯が切れていました。

ホープがどうしてこのような怪我をしているのかはっきりとはわかりませんが、”ホープは過去にかなり虐待を受けていた可能性がある”と獣医は言いました。

獣医は最初のうちは、鎮痛剤を与え様子を見ていましたが、ホープの前足は悪化してしまい、切断することを余儀なくされました。

そして、手術は成功しました。ホープはすぐに回復しました。

ホープはまるで最初から3本足だったかのように、1本前足を失っても元気よく活動しているそうです。

出典 https://www.facebook.com

3本足になったホープ

ホープが手術した後、2日間入院していたのですが、その間、ハンフリーはホープを署内で探しまわったそうです。何度も何度もホープのベッドにいってチェックしていたそうです。

ハンフリーは、ホープが戻った時、とても喜んで迎えたということでした。

出典 https://www.facebook.com

もう2匹は離れられないカップルとなりました。

ホープは署内ではいつも隊員の誰かと一緒にいるそうです。彼女はここに来る前に虐待を受け、そのせいで足を1本失ったのに、それでも人間をとても愛しています。

ホープはハンフリーと共に、疲れた救急隊員たちの心を癒し続けています。

出典 https://www.facebook.com

ホープと隊員のことは地元の新聞にも載りました。

とても暖かいお話しですね。

救急隊員の方たちは、常に人の死と向き合うとてもハードなお仕事をされています。ホープとハンフリーは、そんな隊員さんたちの心を癒す役割を果たしているのではないでしょうか。

救急で駆け付けた先では、犬まで助けてしまったイワンさん他隊員の方たちも、素晴らしいと思いました。駆け付けた先では残念ながら、男性の方は既に死亡していました。でも、そこにはホープという命が生き残っていました。その命を殺そうとした家族…。たぶん、パニックになっておられたのでしょうが、それはあまりに惨い判断でした。駆け付けた隊員がイワンさんたちで本当に良かったと感じました。

命の大切さを知っている隊員さんたちだからこそ、咄嗟にできた事なのかもしれません。

エリートEMSの皆さんは本当に心の優しい方たちばかりですね。素晴らしいです!

尚、この記事に関しましては、写真も含めて、エリートEMSに許可を得ています。”ホープとハンフリーのフェイスブックページからも写真を使っていいよ!”とそれらのリンク先を教えてくださいました。本当にとても優しい方たちです。

Dear ELITE EMS, Thank you for providing heartwarming stories and photos!

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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