読売テレビ「かんさい情報ネット ten.」でメーンキャスターを務める清水健アナウンサーが、同番組のスタイリストだった奈緒さんと結婚したのが2013年の5月。翌2014年の3月には奈緒さんの妊娠がわかり、清水家は大きな喜びに包まれました。

しかし、同年4月30日に予想もしていなかった出来事に襲われます。奈緒さんの左胸に深刻な状況の乳がんが見つかったのです。

「手術」か「出産」か

出産を諦めるのか、諦めないのか
僕たちは幸せの絶頂から一瞬にして、「命の選択」を突きつけられたのだ

出典『112日間のママ』清水健著 小学館

そしてこの時、出した答えは「家族3人で生きること」という事。ほとんどの病院が子供を諦めて治療に専念するように勧める中、ようやく治療をしながら子供を産む事という選択を受け入れてくれる病院に辿り着きます。そして5月19日に手術を受けると、赤ちゃんへの影響を配慮しながら治療を続けました。

3人の戦いは実を結び、奈緒さんは10月に無事に長男を出産。しかし、喜びにあふれたその瞬間からわずか2週間後、あまりに残酷な現実が2人を襲いました。がんは、肝臓や骨、骨髄にまで転移していたのです。そして医師からこう宣告されます。

「もって3カ月でしょう」

『ten.』のキャスターを休むという決断

辛い抗がん剤治療に耐えながら戦った奈緒さんでしたが、病状は思わしくなく、清水さんは奈緒さんの「治療」を「緩和処置」に切り換える決断を下すしかありませんでした。

そして清水さんは更にある決断をします。レギュラーである「かんさい情報ネット ten.」の休養。これはアナウンサーとしては異例の事でした。2015年2月2日から家族の介護」を理由に番組の出演を見合わせたのです

その休養から9日後の2015年2月11日、奈緒さんは29歳で帰らぬ人となりました。

ママでいられたのは、わずか112日

「仕事をしている清水さんを好きだった」という奈緒さん。清水さんは、奈緒さんの通夜・葬儀が終わった直後の、2015年2月19日に仕事に復帰します。

そして清水さんは、2016年2月、妻・奈緒さんの一周忌に奈緒さんの闘病を綴った『112日間のママ』を、今年の2月に出版。わずか1カ月で10万部を突破するなど、大きな注目を集めました。

妊娠中の乳がん発覚、その後の出産、闘病、そして最後の日々までが、悲しみと悔恨を込めて驚くほど克明に記されています。

当たり前の日常が失われていくリアルな記述に「涙で何度も中断した」「自分も妻にちゃんと向き合おうと思った」といった声が数多く寄せられています。

出典 https://www.amazon.co.jp

本の印税でがん撲滅支援「清水健基金」を設立

清水さんは、著書の印税をもとに、がんの撲滅や入院施設の充実への取り組みを支援する「一般社団法人 清水健基金」を設立します。

必要な医療サービスが、必要とする方々に行き渡り、心身ともに豊かな生活が実現されることを目的としています。

出典 http://xn--nyqs8p19rewbi34f.com

多忙な日々で、体重が20キロ減

それからというもの、清水さんは、月~金曜は「かんさい情報ネット ten.」のメーンキャスター、そして週末は「清水健基金」の講演活動と、更に多忙を極める日々。その多忙さは、直近の3カ月で体重が20キロ近く落ちるほどで、視聴者からは心配の声も上がり始めていました。

そんな状況の中、清水さんはある決心をします。

アナウンサーを辞めよう

メーンキャスターを務める番組もある人気アナウンサーである清水さんですが、そのアナウンサーを辞めるという決断をしたのです。

12月26日に放送された「かんさい情報ネット ten.」では、「三回忌を前に、がんの撲滅や、入院施設の充実に取り組む事業を支援する活動に専念させて頂く事になりました」と番組降板と、アナウンサーの職を離れることを報告しました。

息子の前で心から笑えていない自分がいた

多忙の日々の中、体重は落ち、心も体もいっぱいいっぱいになっていたという清水さん。アナウンサーを辞めると決めた理由には、大切な一人息子の存在がありました。

会見で「清水健基金もやっとスタートラインにたどり着いた所」であり、何より「息子の前で心から笑えていない自分がいたことが決めてとなりました」と語った清水さん。何より大切なはずの息子との時間が、犠牲になってしまっていると感じたのでしょう。

「もう、後悔は、したくない」

人の生き方というものは、まさに人それぞれ。会社を辞め、アナウンサーという仕事を離れる事に対して、惜しむ声や驚きの声も数多くあります。

けれど同じくらい子どもとの時間増やしたいよね」「大切な物が何か考えたら、本当に素晴らしい決断!」「寂しなるけど頑張ってほしい」と、応援する声も。

清水さんも「今、やるべき事」を考えて、この決断に至ったと会見で語っています。あの時に心に誓った「家族3人で生きること」を、清水さんは貫き通しているのかもしれません。

この記事を書いたユーザー

Mucoco このユーザーの他の記事を見る

愛犬と一緒に、海を眺めながら暮らしています。

権利侵害申告はこちら