保育士として沢山の子どもたちと触れ合い楽しい時間を過ごしてきました。

でも、やはり自分の赤ちゃんが欲しくて欲しくてたまらない。

そう思って、今の主人と出会い結婚しました。

もとから、かなりの生理不順で、年齢にもタイムリミットがあったので、結婚後すぐに不妊治療をはじめました。

しかし、いくら治療しても効果があらわれず、私の肥満にも問題があるということで、頑張って20キロ痩せて、治療にのぞみました。

仕事をやめて、本格的に不妊治療のステップアップをしようと思っていた矢先、待望の赤ちゃんを授かることができたのです。

欲しくて欲しくてたまらなかった赤ちゃん

妊娠中もいろいろあったけど、少し早いクリスマスプレゼントを、私はこの手に抱くことができたのです。

病院を退院後、実家に里帰りして、産まれた娘のお世話をする事に。

私の乳は入院中からなかなか出ず、吸われる痛さと、周りからのプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。

母乳育児が理想。私も母乳育児をしたいと心から思っていたのですが、現実はそんなに甘くは無かったのです。

「お母さんのオッパイは出なくて、悪いオッパイだね」

実母が娘に声かける何気ない言葉に、涙が出て仕方がなかった位、母乳が出ない事に対する罪悪感。

昼も夜も関係ない新生児の時の娘のお世話。

まとめて眠れない事や母乳に対する悩みで、疲労はピークに。

深夜、泣いて起きる娘に、眠い目をこすりながらオッパイをあげてみる。

出ないオッパイで満足できるはずもないので、泣き続ける娘。家族を起こさないように、泣く娘を抱きながらミルクを作りに台所へ。

廊下を歩きながら、ふと思ってしまったこと。

抱いているこの手を離したいな。

そうしたら、きっと軽くなる。

私の心はそこまで疲労に支配されていたのです。

欲しくて欲しくてたまらなくて、ようやく抱いた娘なのに。

そのタイミングで、実父が部屋から出てきて私に言ったのです。

「大丈夫か?今日はよく泣いているな」、あまり多くは語らない父の言葉に、私は我にかえりました。

なんて怖いことを考えてしまったのだろうか?!

私は涙が出てきてしまいました。

「うん、大丈夫。ミルク作って飲ませたら落ち着くと思うよ」

「そうか」、短い言葉を残して、父は自分の部屋に帰って行きました。

ミルクを作り部屋に戻ると、私は娘を抱きしめ泣きながら謝りました。

欲しくてたまらなかったはずなのに、まだ一人では何も出来ないか弱い娘に対して、こんな事を考えた母を許して…と。

なんという絶妙なタイミングで実父が声をかけてくれたのだろうか。

いつも、私の悩みや愚痴を静かに聞いてくれていた実父。

だからこそ、父の存在は私の中で特別なもの。

おだやかで、いつも筋の通った言葉をくれる父。

あの一言で、私だけでなく、娘までも守ってくれました。

育児ノイローゼなんて、私には無縁だわーとか、思っておりましたが、そんな事はありませんでした。

産後のホルモンバランスの崩れなのでしょうか、自分があんな怖いことを考えるなんて信じられませんでしたが、あの時の気持ちは今でも怖いくらい覚えています。

あまり多くは語らない実父でしたが、初孫は特別のようで、会えば娘の名前をたくさんよんで、目頭を下げている、立派なじーちゃんになってくれました。

著者:おとみ

アラフォーの、もと保育士。

一人目の育児のはずですが、みんなから「本当に一人目?」と言われる位大雑把な子育てを楽しんでおります。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

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