記事提供:LITALICO 発達ナビ

娘は小2から中2の現在までずっと不登校です。このため性教育を受けたことがありません。親の会で性教育が話題になったのをきっかけに、「あなたはどう思う?」と本人へインタビューしてみました。

悩ましい子どもへの性教育。他の家庭ではどうしてるの?

発達障害児の子育て、特に多感な思春期の頃というのは、いろいろ苦労されている方も多いと思います。その中でも親として悩ましいことの1つは、性教育についてではないでしょうか。

そもそも子どもたちは、自分たちの性についてどう考えているのでしょうか?

先日、発達障害の親の会で性教育について話し合う機会がありました。

そこでは、発達障害や知的障害のある子どもに対し、どうやって「自分の身を守ること」「人を傷つけないこと」を教えるか?ということが話題になりました。

私たち親の世代は小学校5年生頃に男女別に分けられ、スライドや映画を視た後に先生からの話を聞く、というのが性教育でした。

なんだか通り一遍の話で本当に知りたいことはわからないという感じ。それがきっかけで友達同士でコソコソと情報交換し合って、徐々にいろんな知識を得ていくというパターンが典型的なものでしたね。

しかし、アスペルガー症候群の診断が出ている娘は小2から不登校で、中2の現在まで学校には通っていません。

これでは性教育を受ける機会もありませんし、発達障害を持った子どもたちは、友達同士でそういう情報交換をするのが苦手な傾向にあるように思います。

親の会ではいろいろな情報や体験談を聞くことができましたが、「こうしたらいい」という明確な答えは出ませんでした。

娘は性について、どこまで知っているのだろう

我が家の場合、小4で娘にパソコンを与えたときに「これで性についても知ることになるだろうな」という覚悟がありました。

自由にネットの世界を楽しんでほしかったのでフィルタリングもしませんでしたし、プライバシーを尊重するために娘が何を見ているかということには一切関知しませんでした。

ただ、「ネットに書いてあることが本当とは限らない」「女の子は被害に遭いやすい存在である」「ネットの中の人の性別や年齢は信じてはいけない」ということは最初に言い聞かせ、もし不安なことがあればすぐに相談することを約束していました。

娘は自由にいろいろな情報を取り入れているようで、性についても「ああ、ひと通りのことはわかっちゃったみたいだな…」ということは何となく日頃の会話で理解できました。

だけど、生理が始まったときなどは信頼できるサイトの情報をプリントアウトして私から渡したりしましたし、直接手当てのアドバイスもしました。そうしているうちに、自分の身体の変化が気になるときは直接相談してくれるようになったのです。

「フィルタリングについてどう思う?」とあるとき聞いたら、「どんなことでも信じちゃう子にはいいかもしれないね」と言ってました。なんか大人な意見ですね。

娘に直撃インタビューしてみることに

そうは言っても、娘に正しい情報を伝えるためにはきちんと性教育をする機会が必要だなと感じていました。

「そうだ!直接本人に聞けばいいのでは?」とあるときふと思って、娘にインタビューしてみました。

私「性教育って学校でやるんだよね」

娘「行ってないから知らん」

私「じゃあ、誰から教えてほしい?」

娘「親だけは絶対に嫌。ママ、おばあちゃんと性について話したい?」

私「それは嫌すぎるな。じゃあ誰ならいい?」

娘「人からは嫌。ちゃんとした知識が書かれた本で、生々しくないデザインのやつを読みたい」

私「それは本棚に並べておけばいいのかな?」

娘「嫌。だってマンガ読もうかなぁと思って本棚を見たら性教育の本が並んでるなんて、エロ本が本棚に交じってるみたいだから。別の部屋にある本棚に入れておいてくれたら読むよ」

私「トイレに置いておくっていうのは?」(そういう意見をどこかで読んだのです)

娘「トイレしながらそんな本読むなんて嫌」

親からそんな話を聞きたくないというのは想定内でしたが、性教育の本が娘の中ではエロ本扱いということにビックリしました。

目につくところにおいてほしくない、ましてや読んでるところを人に見られるなんて言語道断という娘に、「思春期の子どもというのは好奇心と恥じらいが混じり、難しいものだな」と感じました。

さまざまな誘惑や犯罪に巻き込まれないよう、私の経験から知ってほしいこと

私が娘に望むことは、

・自分は唯一の大切な存在であると知ること
・自分を傷つけるものに対しては「No!」と意思表示できること

です。

そう確信しているのには理由があります。

同じアスペルガーと診断を受けている私は自己肯定感が低く、自分のことが大切な存在だと意識したことがありませんでした。

そして性被害に遭っても、なかなか「自分はひどいことをされたのだ」と意識できず、「私の勘違いなのかな?」と思っていました。

その場でとっさに逃げられなかったり、その後も「考え過ぎなのかな…」と自分の考え方のせいにしたりし、その結果フラッシュバックに悩まされるようになったからです。

娘には、私と同じ苦しみを味わってほしくはありません。

子どもが自分の身を自分で守れるように。CAPのススメ

フラッシュバックに悩んだとき、私が受けたのがCAPというプログラムでした。

その内容は、

・自分の大切さを知る
・自分を守るためのにはどうしたらいいのかを知る

というものです。それまで「自分を尊重する」ということを知らなかった私ですが、プログラムを受講後は「私は尊重されていいんだ」ということを知りました。

人にはそれぞれ人権があり、自分を犠牲にしてまで周囲のために頑張らなくてもいいんだということを理解できるようになったのです。

CAPには知的障害を持った子どもたちのためのプログラムもあります。

もし、私が子どもの頃にこのプログラムに出会っていたら、性被害に遭ってもすぐ大人に相談できたと思います。また、逃げるための実践的な訓練もあるので、防げていた被害もあるでしょう。

娘にもいずれ、また全ての子どもたちにもぜひ体験して欲しいな、と思っています。

子どもワークショップでは、最初に「権利」(基本的人権)について学びます。「生きるために絶対に必要なもの」と説明します。

さらにその中でも特に大切な“子どもの特別に大切な3つの権利「Safe(安心)、Strong(自信)、Free(自由)」”について学びます。

大切な自分を守るための行動の選択肢は、「No(イヤという)」「Go(その場を離れる)」「Tell(誰かに話す)」です。

自分は大切な存在と思う感覚(人権意識)があってこそ、「いや」と感じることができ、自分を守るための行動を選ぶことができるのです。

出典 http://cap-j.net

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