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いまドイツでは、心ない人々による落書き行為が問題になっています。

問題となっているのは、かつてナチスがシンボルマークとして採用していた「鉤十字」の落書き。欧米では人種差別的な意味をもつ記号として理解されることもあり、タブー視されています。

そしてこのシンボルマークが、人目に触れることの多い街中の様々な場所に書き殴られているのです。

そんな困った“ネガティブ”な落書きを一風変わった方法で“ポジティブ”なものに変えてしまうひとりのおばあさんが注目を集めています。

赤いハートで落書きを…

その人物は、ドイツのベルリンに住む70歳のイルメラ・シュラムさん。

シュラムさんがこうした落書きを消すために行っていることは、とてもシンプルかつユニークな方法です。

彼女は、街中に書かれた鉤十字の落書きを赤いハートの型にスプレーで塗りつぶすことで、ポジティブな意味を持つ落書きへと変えているのです。

シュラムさんはこの“除去作業”を30年前からやっており、このような方法の他にも、差別的な内容が記載されたステッカーやポスターを剥がす作業も行っているといいます。そして、これまでに除去してきたものを合算すると、実に約13万個にも及ぶそうです。

シュラムさんは、こうした活動を始めたきっかけについて、「私はかつては、街中に描かれた心無い落書きを目にしたとき、『なんて恐ろしい落書きなのでしょう…』と言ってそこを通り過ぎるだけでした。そして他の人たちも、特に何も行動を起こそうとはしませんでした。他の人が行動するのを待つよりも、自分で行動したほうがいいと思ったのです」と語っています。

そうして、30年前に近所のバス停に貼られていた差別的な内容の張り紙を家の鍵で剥がしたことを皮切りに、この活動をスタートさせたそうです。

いまでは外出の際、張り紙を剥がすヘラや落書きをハートに塗りつぶすためのスプレーを持ち歩いており、街中でそれらを見つけるたびに除去しているというシュラムさん。

その一方で、ドイツの人権研究所の発表によると、2015年の統計では1万件以上のヘイトクライムが摘発されたそうで、これは前年比77%増の数値だといいます。

そのように人種間の溝が深まるなかで、彼女が行う活動に対して一部の人々は、ネガティブな意見を表明する「言論の自由」も存在すると主張し、彼女の除去作業が「それを侵害する行為ではないか?」という指摘を受けることもあるそうです。

シュラムさんはこのような考えに対して、「言論の“自由”にも限度があります。そこに人々に対する憎しみと軽蔑があれば、それは自由ではないのです」とCNNの記事のなかで反論。

そして、70歳になったいまも街中にあふれる落書きを消し続けているのです。

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