わたしが家族経営の中小企業で事務員をしていた頃の話です。

社長の娘でもある上司がとにかく陰湿な性格で、トラブルの絶えない職場でした。就職当初5人いた同僚の女子社員は上司にいじめられ全員辞めていきました。

その中で、わたし一人だけどうにか頑張り抜き、嫌がらせを受けたりしながら5年が過ぎた頃、当時お付き合いしていた彼との間に子供を授かりすぐに入籍となりました。

小さな会社なので、妊娠初期にすぐ社長や上司に報告し、妊娠9カ月頃まで引き継ぎした後、退職する事になりました。

「ご迷惑おかけすることもあるかと思いますが、退職まで宜しくお願い致します」と挨拶をすると社員の方たちは祝福してくださいました。

が、その時の上司だけはあからさまにひきつり嫌な顔をして目を合わせてくれませんでした。それが、少し風変わりなマタハラの始まりでした。

それからも妊娠の話題に一切触れられる事はなく、わたしも何事もなかったかのように仕事を続けました。つわりが辛くても、辛そうにすると「さぼっている、クレームが来ている」と嘘を重ねて社長に言いつけトラブルの濡れ衣を着せられます。

今までの人間関係のトラブルを見てきて対処法を学んでいたわたしは、上司のいじわるに気付かないふりをしながらひたすら我慢し、かわしていました。引き継ぎがきっちり終わるまでは無責任に辞めたくなかったのです。

今思い返すと意地になっていたと思います。

10キロ以上ある商品を上の階に階段で運ばなくてはいけない作業をわざと頼まれたりしても、無理してこなしていました。

仕事を通常通りこなしつつ、つわりで吐きたい時は別の階のトイレに駆け込み、すぐに戻る。お昼休憩は外食のふりをしてコンビニの駐車場で仮眠して戻っていました。

社員で昼食を食べなくてはいけない時は平然を装って食べました。お腹は膨らんでなくても体は確実にどんどん変化していて、体力も格段に落ちていました。

妊婦だからと特別扱いしてほしいわけじゃないけど、気遣いや配慮が一切ない職場に心も体も疲れきっていました。しかし、少しでも妊婦っぽさを匂わせてしまうと上司の陰湿ないじめが増してしまうのです。

お腹には赤ちゃんがいるのに、まるで存在しないかのように過ぎて行く日々。何とも言えない切なさと悲しみに襲われ、お腹を撫でながら泣いたこともたくさんありました。

辛い日々の中、わたしを支えてくれたのは赤ちゃんでした。機嫌の悪い上司に八つ当たりされている時、クレーム処理を押し付けられ怒鳴り散らされている時など、「いやだな」という気持ちになっている時に必ずポコポコポコと胎動を感じました。

「ここにいるよ、見守ってるからママがんばって!」

と、赤ちゃんが励ましてくれているように感じ、いつも勇気をもらっていました。

主人と家族の支えもあり、どうにか妊娠初期から9カ月の退職まで頑張る事ができました。

何より、わたしの精神的状況がストレスまみれの良くない中で、無事に産まれてきてくれた我が子には感謝しかありません。

上司には退職の時までも、「あの旦那じゃ幸せになれない、これから大変な思いをする」だの何だのグジグジ言われました。

一番びっくりしたのは「旅行に行きたいから退職後に期間限定で仕事しに来てほしい」と頼まれたこと。その日程は、まさかの出産予定日2週間後!!もちろん丁重にお断りしました。(笑)

最後に「産まれたら子供の顔を見せに来て」と言われたけれど、わざわざ子供の悪口を言われるのをわかっていながら行く人いませんよね。

退職後は完全絶縁し、楽しく子育てしながらストレスフリーで幸せな毎日を送っています。

著者:めめ
年齢:27歳
子どもの年齢:1歳

授かり婚で第一子を出産。仕事は辞めて、現在は家業を手伝っています。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

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