コンビニ業界に詳しいライターの日比谷新太さんが、業界の裏事情を包み隠さず語る当シリーズ。前回の深夜作業の話題に続く今回は、コンビニ経営の過酷な実態をレポートする「経営者はつらいよ」シリーズの第一回目をお届けします。

経費を1円でも抑えたいFC加盟店主たち。彼らがやむなく行っているという“奥の手”とは、一体なんでしょうか?

家族総出でのコンビニ経営

皆さんが日ごろ何気なく利用しているコンビニですが、それらの経営形態は多くがフランチャイズ・チェーン方式(FC方式)をとっており、その多くが個人によって経営されています。

コンビニ経営はFC本部と加盟店が一体となって行います。加盟店はFC本部から、店舗運営に必要なレジや冷蔵庫、情報システムなどを借、効率的な経営や売上の最大化に向けたチャンスロスの撲滅を図ります。

加盟店主は、これらの高度なシステム・設備を利用して経営を行ういっぽうで、これらのリース(レンタル)料金として、FC本部に「本部チャージ」を支払う義務を負っています。

契約形態により利率は異なりますが、おおよそ商品販売によって稼ぎ出した利益の30%~45%ぐらい。売上に占める比率としましては、約10%程度でしょうか。

簡単にP/Lをイメージしてみますと、例えば1000万円の売上があり、粗利が300万出たとすれば、そのうち90万円を「本部チャージ」としてFC本部が持っていき、経営者が手にする利益総額は210万円となります。

加盟店はこの利益総額から、アルバイトの人件費、商品廃棄ロスの負担、電気光熱費などの諸経費を支出していくことになります。

これらの諸経費の中で、もっとも大きなウエイトを占めるのがアルバイトの人件費です。経営者はそれを削減するため、自分やその家族が店に立つ時間を増やしていくわけです。

経営者夫婦でシフトに入る場合、もっとも典型的なのが「午前中~午後:経営者の奥さん、夜~深夜:経営者」というパターンです。この場合、夫婦が一緒になれる時間は夕食時間帯のみとなります。

また、お子さんが高校生ぐらいになると、夕方のシフトにお子さんが入るケースもあります。まさに一家総出でコンビニ経営をしているのです。

競合店出現で苦境に立たされた店舗での出来事

このように、血が滲むような努力を日々続けているコンビニ経営者の皆さんですが、それでも経営が立ち行かなくなってしまうこともあります。

あるコンビニ店での出来事です。その店舗は開店以来売上が低迷しており、経営者夫妻がシフトに入り続け、コスト削減の努力を続けてきました。

しかしある時、その店舗の近所に競合するチェーンが出店。その影響で売上が大幅に下がり、もはや店舗運営を継続することができないほどの状態まで追い詰められてしまいました。

徹底的なコスト削減を迫られたその店舗が、まず最初に行ったのが、深夜勤務アルバイトに全員退職してもらうことでした。その後、深夜時間帯は経営者(旦那さん)が一人で担当することになりました。

また、それと並行して近隣の金融機関に日参し、緊急融資の依頼を行いました。

他の借入もあったため交渉は難航しましたが、FC本部が徹底的にサポートすること、実現可能性が見込まれる事業計画を策定すること、経理の透明性を図るために「法人成り」を行うことなどを条件に、なんとか融資を受けることができました。

これらの経営努力により、その店舗はなんとか経営危機を乗り切ることができました。ただ当面の危機を乗り切った後も、本格的な業績回復を目指して、発注や売場の改善といった手を打たねばなりません。

このようにコンビニ経営者の試練の日々は、終わることなく続いていくのです。

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで:u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

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