記事提供:キングコング西野 オフィシャルダイアリー

25歳の頃。

いろんな戦いに勝って、ようやく抜けたトンネルの先にあったのは、白銀の世界ではなく、崖だった。

「聞いていた話と違うじゃないか」と思った。

「ここまで来たら、霧が晴れるんじゃなかったのかよ」と。

しかし、すぐに考えを直した。

そりゃそうか。

僕はあまりにもバカだった。

その場所の霧が晴れたのは、もう8年も、16年も前の話。

時代は変わるのだ。

8年前の16年前の先輩が切り開いてくれた道を、後から歩いてきたただけの男に素晴らしい景色が用意されるわけがないだろう。

そんな甘い話があるもんか。

すぐにハンドルを切って、道なき道を進むことに決めた。

皆は「なんで、そっちに行くんだよ」「空気を読めよ。イタイ奴だな」と囃したが、舗装された道の先にもう何もないことを知ってしまったので、沼に足をとられ、草に足を切られながら、グイグイ進んだ。

すがるようにモノ作りを始めたが、話題になるほどは売れなかった。

絵本を1冊出して、2冊出して、テレビの音はもう随分と遠くの方で鳴っていて、もう戻れない場所まで来ていた。

そして、3作品目となる『オルゴールワールド』を出版する時に、「キチンと売ろう」と初めて思った。

これまで、お客さんに作品を届ける作業は、届けることを生業としている人に任せていた。

吉本興業であったり、出版社であったり。

作ることだけに集中することが、職人のあるべき姿だと思っていた。

純粋な姿だと思っていた。

お金の話は『汚い』と思っていた。

しかし、作品はお客さんの手に届かないと、生んだことにならない。

この世に生まれたことがカウントされないのだ。

そして、僕の1作目と2作目がそうだった。

熱狂的なファンを除いては、世の中からカウントされていなかった。

生むだけ生んで、届けることを他人任せにしてしまった結果だ。

『育児放棄』だと思った。

純粋だと信じていた姿勢は、作り手として、親として、一番みっともない姿だった。

子供を生み、そして育てあげることが親のつとめなのに、それより何より、自分の見た目を気にしていた。

自分の服が汚れることを気にしていた。

作品を作ったのなら、売らなきゃいけない。

売るためには、仕組みを学ばなきゃいけない。

売るためには、お金の話をしなきゃいけない。

お金の本質を知らなきゃいけない。

とてもとても大切な部分で、それこそが親のあるべき姿だと、今は思う。

我が子が美味しいご飯を食べられるのなら、我が子が素敵な服を着られるのなら、親は泥水をすすれよ。

惨めな思いもしろよ。

下げたくない頭を下げろよ。

テメエが生んだ子だろ。

日本は知れば知るほど素晴らしい。

伝統工芸品と呼ばれるものは、どれも輝いていて、見事だ。

しかし、それらを取り巻く環境や、それに携わる人達の姿勢は、すべてがすべて手放しで「素晴らしい」と呼べるものではない。

作品の育児放棄があらゆるところで起こっている。

問屋に任せておけば売れる時代じゃなくなった。

《届ける》ということを、作り手一人一人がもっと自覚していかねばならない。

せっかく素晴らしいものを作っているからだ。

せっかく腹を痛めて生んだからだ。

来年1月に発売される『Discover Japan』で、特集を組んでいただけることになった。

同誌の特集が人物にスポットを当てるのは『空海』以来、二人目だという。

その超ロングインタビューで僕は、《届ける》ことの重要性を、具体的な方法を語らせてもらった。

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いかがでしたでしょうか?

プロジェクトXみたいな内容と口調だったので、まさかとは思われたでしょうが、これ、ステマなんです。

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