みなさんは「練り込み」という陶芸の技法をご存知ですか?

練り込みとは、色の異なる粘土を練り合わせて模様を作る技法のことで、いわゆる「金太郎あめ」の技法と言えば分かりやすいでしょうか。

普段何気なく手に取って使っている食器類も、その技法を知れば、少し見え方が変わってくるかもしれません。

今回、まぐまぐ編集部では、練り込み技法の魅力に迫るとともに、現代的な練り込み技法の作風が海外でも話題になっている、陶芸家の水野智路さんにお話を聞きました。

模様が現れた時の驚きと感動が人々を惹きつける、練り込みの世界

練り込みの起源は古く7世紀のエジプトや中国だと言われていますが、現在では「Nerikomi」は、日本の陶芸技法のひとつとして、海外でも広く知られつつあります。

練り込みの技法は、色土を重ね合わせている時点ではその完成形は未知なので、仕上がり時の色合いや模様を想像しながら作業を進めていくしかありません。

いかようにも変形する色土を使った練り込みのデザインは、焼き物の上から絵で描くことに比べれば、とても不確かで手間がかかる技法です。

けれど、色土を地層のように練り合わせることによって成形のなかで色土が動いて変化していき断面によって風合いの違いを作り出します。

いわばその不確かさが練り込みの面白さであり、魅力なのです。

最終的に自分の想像通りの作品が出来上がった時の喜びがやみつきになり、多くの陶芸家たちが練り込みの世界に魅了されるのだと言います。

今、SNS上で話題となっているのが、親子3代にわたって練り込み陶芸を継承する水野智路(みずの ともろ)さんです。

ワークショップで練り込み技術を教える水野さん。

MAG2 NEWS編集部が水野さんに取材したところによると、この「練り込み技法」での作陶は、水野さんのおじいさんの代から始まり、水野さんのお父さん、水野さんへと継承されていったそうです。

おじいさんとお父さんは、2人とも瀬戸市指定無形文化財保持者。

そんな2人の「師匠」の背中を見ながら、物心ついたときから、「練り込み技法」を目の当たりにする機会があった水野さんはこう話します。

「父には兄がいますが、今は陶芸をしていません。この技法を父の代でなくすのはもったいないと思いました。現在は、父と同じ工房で背中合わせでそれぞれ作陶しています」。

現在、愛知県瀬戸市にある「水野陶房」で、親子で練り込み技法を使った作品をつくっています。

「父の作品は渋い作品が多く、まさに伝統技法。一方、私は女性や若い方、また小さなお子様まで幅広く日常で使ってもらえるような作品を作りたいと思っています。それが、練り込み技法をもっと知ってもらえるきっかけになると思っているからです」。

自身のInstagramのアカウントでは、さまざまな作品をつくる工程の動画や、出来上がった作品の数々が公開されており、見る人々を魅了し続けています。

シンプルでさりげない可愛らしさ。

海外からも「日本国外でも輸送販売してほしい」との声が。

子どもにも人気の動物デザイン。

こんなポップなデザインが、どんな工程を経て作られているのかを知ると、その魅力が増しますよね。

なんと模様が透けて見えます。

背面を見ただけでは、一体中からどんな模様が飛び出すか、微塵も想像できません。

これは感動!

SNS上で作品の写真や動画を公開していくと、国内にとどまらず、海外のファンも一気に増えたそうです。

忘れもしない、2016年722日の朝。

起床後にInstagramを開いでびっくりしたという水野さん。

寝る前までは、約460名ほどのフォロワーの数が、倍以上900人を超えていたというのです。

現在ではフォロワーが1万8千人超え。

「自分にとっては日常の風景だった、練り込みで作った模様をしっぴき(粘土を切る道具)で切り、一枚はがして模様が見える様子を撮り、それを投稿したのがきっかけです。

小さい頃から見ていたので当たり前の光景だと思っていましたが、当たり前ではないことないんだと、国内外の反応を見てあらためて気がつきました。

動画は言葉が通じなくてもわかってもらえるので、海外の人にもたくさん見てもらえるようになり、とても嬉しいです!」と話します。


「今後も写真や動画で練り込みの魅力を発信し、日本はもちろん、海外の人にも興味を持ってもらえるように、練り込み技法で色々と製作していきたい」。

私も焼き物好きな母の影響で、幼い頃から陶器市に足を運んだりしていたおかげで、気づけば自身も焼き物(特に食器)集めが趣味のひとつとなっていますが、その器の作法などは、仕上がりを手に取るだけはなかなか想像できないものです。

一言に陶芸と言っても多くの技法があり、職人と呼ばれる人たちが何年もかけて培った技を駆使して、一つ一つ丁寧に作り出す作品は、まさに芸術作品と呼べるでしょう。

そんなことを思いながら、今日食卓に並ぶ食器の数々を眺めてみると、すっかり見慣れた食器たちから、新たな魅力が引き出されるかもしれません。

水野智路さんが練り込み作品を作る様子はこちらからご覧になれます!

出典 YouTube

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