知ってるようで知らない、だけど気になるあの職業をSpotlight編集部が深掘り取材する連載企画「シゴトペディア」

今回お話を聞いたのは、鶏などのひなの雌雄を鑑別する「初生雛(ひな)鑑別師」。世間一般では「ひよこ鑑定士」として知られる仕事の実態に迫ります!

取材に答えてくれたのは、国内唯一の初生雛鑑別師養成所を運営する「公益社団法人畜産技術協会」に所属し、自身も鑑別師である鈴木さん。まずは、仕事の認知度についてお話を聞いてみました。

初生雛鑑別師と日本で会えたらラッキー!?

――では、ひよこ鑑別師のお仕事についてお話を…。

鈴木:ひよこ鑑定士ではなく、「初生雛鑑別師」が正式名称になります。ニワトリや七面鳥、ウズラなどをひなのうちにオスとメスに分ける専門職ですが、職業名にしても、ネットなどで見かける紹介内容にしても、あまり正しく認知されていないのでは…?というのが、正直な感想ですね。

――いきなり失礼しました!今まで噂でしか聞いたことのないお仕事だったので…。

鈴木:いえいえ。国内で初生雛鑑別師として就業している人は98名しか(※2016年11月現在)いませんから。私自身、友人からは『都市伝説の仕事の人だ』と言われることがあります(笑)。

国内の仕事は少ないので、仕事のために渡航する人も多く、68名の鑑別師がヨーロッパを中心に就業しています。国内では、鑑別師一本で食べていけるのはごく一部の人に限られていて、他の仕事と兼業したり、年金をもらいながら仕事を続けたりというケースが多いようです。

――ちなみに年収はおいくらほどになるのでしょうか…?

鈴木:国内だと本当にピンキリになるので回答が難しいですが、海外では総収入で500〜600万円くらいが平均だと思います。

数秒でオス・メスを鑑別するプロのテクニック!

出典 YouTube

――どういった流れで仕事依頼がくるのですか?

鈴木:孵化場で仕事が発生すると、地域のリーダーに連絡がいき、そこから鑑別師に仕事が割り振られるパターンや孵化場から直接雇用されるパターン、海外では鑑別師同士で会社を立ち上げるパターンもあるなど、さまざまですね。

――鑑別師としての必須道具はあるのでしょうか?

鈴木:仕事に必要な道具として、電球、爪やすり、調光用の紙などがありますが、一番大切なのは自分の手と目。ひなを傷つけることなく、素早く雌雄を分けていくには、優れた視認力と繊細な指先の動きが必須です。

――指先の動きはどんな時に必要なんですか?

鈴木:最近では、羽毛の伸び方や羽毛の色の濃淡で雌雄を見分ける方法もメジャーになってきていますが、初生雛鑑別師といえばやはり『肛門鑑別』です。ひなの肛門の内部を指先や爪で開いて鑑別をするので、ひなを傷つけてしまわないための技術も必要になります。

鑑別作業の動画を見ると、1羽あたり2〜3秒くらい鑑別しているようですが、あの一瞬に鑑別師の技術の粋が結集されているのですね。

鑑別師に必要な能力とは?

――こんなことを言うのは失礼かもしれませんが、世間一般の認知度は低い仕事だと思います。皆さんどういった理由で鑑別師を目指すのですか?

鈴木:認知度が低い職業であるのは認めますが(笑)、世界の養鶏産業を支える大事なお仕事なんですよ!

一番多いのは、手に職をつけたい人、海外移住に興味があるという人ですね。定年がないので長く働き続けられるのも魅力のひとつだと思います。

――人数も少ないだけあり、鑑別師になるのは狭き門なのではないでしょうか?

鈴木:養成所で脱落する人はほとんどいませんね。ただ、5カ月間ひたすら実技練習を繰り返すので、集中力がない人やおしゃべりが好きな人には辛いかもしれません。

脱落者が出やすいのは、研修期間。孵化場さんで、1年から3年かけて仕事と鑑別の練習をこなさないといけないので大変です。それでも、現行の試験制度では半分以上の人が資格取得できています。

――どんな人が優秀な鑑別師として活躍できるのでしょうか?

鈴木:集中力と正確さ、スピード、そして繊細な観察力を備えていることですね。種類や生まれた場所、状態によってもひなの雰囲気は変わるので、技術に加えて、微妙な違いを感じる洞察力や経験も必要とされます。

ひよこをオスメスに分けるだけの単純作業とかと思いきや、職人仕事にも似た奥深さがあるのですね。日本に100人もいないという初生雛鑑別師というお仕事。職人気質の方、人とは違うおもしろい資格を取りたい方はチャレンジしてみては?

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