今年もたくさんの不祥事が起こった。某タレントとミュージシャンの不倫に始まり、最近では築地市場移転問題など、挙げればキリがない。

謝罪会見を開けば言い訳ばかりの釈明で、余計に腹立つこともあった。あれは何の茶番だったのか。読者も誰かを怒らせたとき、必死に謝っているのに、なかなか許してもらえなかった経験があるはずだ。

私だってそうだ。今日も現場で怒られて、家に帰って半泣きでこの原稿を書いている。『仕事の危機を乗り切るための謝る技術 よい謝罪』(竹中功/日経BP社)の著者である竹中功氏によると、謝罪にも技術が存在するらしい。

本書は、吉本興業入社以来、35年間謝罪し続けてきた“謝罪マスター”竹中氏による正しい謝罪の行い方が紹介されている。「よい謝罪」を実現し、企業の業務から家庭生活まで、あらゆる不祥事を平穏に戻すまでのプロセスが以下の6つだ。

(1)命や身体に関わることがないかを確認

(2)経緯・事態を時系列で整理して完全に把握

(3)謝罪シナリオを書く

(4)原因を究明し、再発防止策をまとめる

(5)直接の被害者に、直接の謝罪をしに行く

(6)必要があれば、対外的に発表をする

この6つの順番を守って謝罪すれば、平穏が取り戻せるという。順番を間違えてはいけない。

いきなり(5)の直接謝罪を行えば、準備不足で火に油を注ぎ、目も当てられない事態が起こる可能性がある。また、この作業は必ず複数で行う。正確性を期し、スピードアップを図るためだ。

少し補足しよう。事態の全貌を知らなければ100%の謝罪はできない。(2)では、「いつ」「どこで」「誰が」「誰に」「なぜ」「何を」「どうやって」「なぜ」でおなじみの「6W1H」を使って情報を完璧に収集していく。

(3)の「謝罪シナリオ」とは、ドラマの脚本のごとく、常に最悪を想定しながら、謝罪するときのセリフや各人物の動作などを書いていくことだ。本書では、竹中氏の書いた謝罪シナリオが載せられている。

(5)の直接謝罪に行くときは「加害者から謝罪の弁を述べる」「被害者の言葉を聞く」「再発防止策を伝える」の3つを必ず行う。

竹中氏は「誰に」「どの順番で」謝罪するかということも大事と説いている。最近ではSNSが普及し、世間やネット社会の目も気にしなくてはならなくなった。彼らは話題に合わせて変幻自在に怒る人々である。Twitterでの炎上がまさにそうだろう。

まずは被害者に謝罪する。その後に関係先へ謝罪する。最後に世間に謝罪する。最初に世間に謝罪すれば「誰に謝っているんだ」と世間は怒り、世間に謝らなければ某タレントとミュージシャンのように信頼が失墜する。生きづらい世の中になってしまった。

竹中氏は本書で様々な謝罪テクニックを説いているが、一番大事なのは誠心誠意謝ること。そして、いざというときに助けてくれる人脈を作ることだそうだ。

本書を読んだ私の感想としては、いかに人として正しく生きるかだと思う。相手を怒らせない。怒らせてしまったら、きちんと謝る。人として正しく生きていたら、自然と仲間ができ、何かあっても助けてくれる。

その人が謝罪する姿勢は、その人の心の姿勢でもある。よい謝罪をするため、正しく人生を生きたいところだ。

この記事で紹介した書籍

権利侵害申告はこちら