昨日は、筆者と愛犬にとって、とても大変な1日でした。

筆者は、約1年前に動物愛護センターで殺処分が決まっていた迷い犬を引き取りました。動物愛護のボランティア活動をしている人から「殺処分されてしまう犬がいて、助けたいのだけど、もらってくれないか?」という話を偶然のタイミングでいただき、筆者が引き取ると決めた時には、その犬との面識はなく一切なく、たとえどんな犬であろうと、殺されてしまう命をなんとか救いたいという気持ちで引き取ったのですが、その犬はとても人懐こく、しつけもちゃんとされていたコーギー犬でした。

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引き取ってすぐに獣医に身体検査をしてもらったところ、”推定年齢は8歳くらいで避妊手術はされておらず、心音に少し雑音があるものの、フェラリア症は陰性でこの犬が抱えている一番の問題はひどい歯周病”ということでした。歯の状態がボロボロでした。

それで、新しい我が家の環境に慣れた頃に、グラグラになっていた数本の抜歯手術を全身麻酔で行ってもらいました。

そちらの方が最優先するべき事だったため、同じく全身麻酔が必要となる避妊手術は見送りました。獣医もそんなに何度もリスキーな全身麻酔を高齢の犬(犬は7歳以上で高齢だそうです)にするべきではないとの判断でした。

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犬には”モモ”という名前をつけました。

モモはその後、我が家の先住猫とも、それなりの関係を築くことができ、元気に暮らしていました。

強いてあげれば、今年の夏に、急に食欲がなくなり、消化不良を起したくらいで、一昨日まで、とても元気だったのです。

食欲も旺盛で、毎晩人気のない公園でボールを追いかけて走り回るくらい元気だったのです。一昨日までは…。

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どこに行くのもいつも一緒でした。

それが昨日、朝の日課のお散歩から帰ってきた約1時間後に…モモの体調が急変したのです。

ちょっと変?とその日、最初に感じたことは、お散歩に出かけようとするといつもなら喜ぶのに、モモが一瞬、眉間にしわを寄せて躊躇した時でした。でも、すぐに歩きだしたので、いつもと同じお散歩コースを約1時間弱一緒に歩きました。

その次にあれ?おかしい?と感じたのは、いつもだったらお散歩から帰ってきたら、朝ごはんのドッグフードを夢中になってパクつくモモが、食事に一切目もくれなかった時でした。

でも、たまにそういう事もあったので、特別深く考えることもなく、気が向いたら食べるだろうとそこにお皿を置いたままの状態にして、モモは庭で遊んでいました。家に入りたがらなかったためそのままにして、私だけが家の中に入りました。モモが家の中に入りたくなったら、いつも玄関の戸をカサカサと前足でこすって報せてくれます。

ただ、この朝は、中々家に入ってこようとしなかったので、数十分後、気になってモモの様子を見ると、庭の隅っこでうずくまって震えていたのです。この時、初めて、これは異常だ!と筆者が認識した次第です。

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確かに外は少し寒かったのですが、こんな風に震えているモモは初めて見ました。慌てて家の中に入れ、暖房をつけて毛布でくるみ、体を温めたのですが、震えは止まることがなく、そのうち息遣いが荒くなってきて、事の深刻さを嫌でも認識させられました。

慌てて獣医に連れて行きました。すぐに血液検査と体温チェック、そして問診が行われ、とりあえずの処置として点滴と、抗生剤の皮下注射、更にペニシリンがうたれました。

血液検査の結果が出るのが夕方ということで、それまで一旦自宅に連れ帰ってまた出直すということになりました。

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明らかにモモの表情も事の深刻さを物語っていました。こんなひどい顔は見たことがないという顔をしていたのです。

獣医はある程度の推定をしていて、この時点で、緊急オペが必要だと判断していたのですが、モモが発熱していなかったため、念の為にと血液検査の結果を待とうと言われました。

家に連れて帰ったモモはまだ震えていました。息遣いも荒いままでした。でも、30分もしたところで薬が効いてきたおかげなのか、それらが止まり、熟睡することができました。

私の傍でモモは夕方まで寝続けていました。でも、具合が悪い証拠に、モモは身動き1つしませんでした。

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モモの顔が明らかに違っていました。

夕方になり、モモを抱きかかえて、動物病院を再来しました。

ところが、血液検査の結果は異状なし。白血球の値も正常でした。それでレントゲン撮影が行われました。

この時、獣医が疑っていたのは、2つでした。1つは卵巣と子宮の異常。2つ目は腰の骨の異常。実はこの時、モモは今年、3回目の生理が来ていました。通常は犬は1年に2回の生理です。それなのに3回も生理が来てしまっていること自体が異常でした。そのため、獣医は卵巣と子宮の異常を疑っていたのです。ですが、白血球の数値が正常であり、尚且つ発熱していないということで、可能性は薄いけれども腰の骨の異常も考慮しなくてはならないということでした。コーギーは腰の骨が弱いという難点があります。

レントゲンの結果、確かに脊髄に1か所、異常が見られましたが、それは過去の腰のダメージを示していました。それが今回、モモの急激な体調不良の原因とは考えにくいとの獣医の見解でした。それより腹部に空洞があることから、卵巣と子宮に何か異常が起きている疑いが強まったということでした。もうこれは獣医の勘だそうです。

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そして、獣医は言いました。

「子宮と卵巣が今回の原因になっているとは断言はできません。その証拠となるものは今回の検査では見つかりませんでした。ただ、これは私の勘に過ぎないのですが、その可能性が一番高いと感じています。

でも、弱っているこの子に全身麻酔が必要な開腹手術をすることは、大変なリスクとなります。今の状態では、麻酔死する確率が大変高いと思います。だからといって、内科的処置のみで済ませていたら、たぶんこの子は1週間もたないと感じています。それはこの子の表情が物語っています。ただならぬ状態は、この顔に現れています。

麻酔死のリスクが高いということを十分に飼い主さんが理解され、それでも開腹手術をすることに同意されますか?これはイチかバチかの手術になります。」

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もうそれは究極の選択でした。

検査で何も結果がでなかったことで、内科的療法で薬だけで様子を見ていたら、もしかしたら手遅れになるかもしれない。でも、全身麻酔で開腹手術をしたら、体力がもたないでそのまま死んでしまうかもしれない。さぁ、どっちを選びますか?という選択だったのです。

もちろん、獣医はもっと詳しい説明をしてくれましたが、それはここに書ききれないので、省略しています。要点だけ書けばそういうことになります。

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その結果、筆者は、開腹手術を選択しました。獣医の勘を信じた上での決断でした。

そして、手術は成功しました。モモは高齢で弱っている体に負担となる全身麻酔に耐えることができました。

今回の原因は、獣医の最初の勘のとおり、子宮と卵巣の異常でした。モモは、子宮蓄膿症卵巣嚢腫を起こしていました。3回目の生理はその結果起きていたものでした。

術後、恐れていた麻酔からも無事目が覚め、点滴をしていると昨夜、獣医から電話で報告がありました。悪い所はすべてとったので、あとは本人の回復力次第だと言われました。まだ、完全に大丈夫だとは言い切れないが、難関の八割がたはこれで終わったと。

術後のモモとは今日、夕方面会できることになっています。

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右腕の紫の包帯の下には点滴用の針が刺さったままになっていました。その日の夕方の緊急オペのための血管確保でした。午前中の最初の診察から一時帰宅した時の写真です。

今回は、前日まで元気で食欲旺盛で、公園も走り周っていた元気だったモモが、その翌朝に急変しました。

でも、獣医に言われました。

「動物病院に駆け込んでくるペットの飼い主さんがよく言われることは、”さっきまで元気だったのに、急に具合が悪くなったんです”という言葉です。でも、けして急変したわけではないのです。

動物はたとえ体調が悪くても、それを隠そうとする本能を持っています。これは、自然界では、弱さを見せると命取りになるという名残です。たとえペットであろうとも、その本能は残っています。

でも、それが裏目に出てしまいます。飼い主さんがペットの異常に気が付いた時は、もう体調不良が隠せない限界を超えた状況になった時が多いのです。本当はそれまでに異変を少しずつ出しているはずなのですが、それを飼い主さんが見過ごしてしまうことが多いのです。」

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そう言われて良く考えてみました。そういえば、確かに、見過ごしていた小さな異変が繰り返されていたことにやっと気が付いたのです。それはこうなったから判ったような本当に小さな異変でした。

この夏、モモは体調不良を1度起こしていました。突然、食事を食べなくなったのです。それですぐに獣医に診せましたが、その時も発熱しておらず、血液検査にも異常が見られず、モモも元気だったため、胃腸薬だけ処方されて様子を見ることになりました。

その時も、獣医は子宮蓄膿症を疑っていました。でも、その兆候が何も見られなかったため、リスキーな全身麻酔と開腹手術をすぐにするのは見送ることにしたのです。幸いこの時は、胃腸薬ですぐに食欲も回復したため、やはり消化不良だったのだと筆者は安心していたのですが、あの時、避妊手術をしておけば…と今回のことを思うと、後悔しています。

その後も、何度か食事に対する食いつきが悪いことがありました。でも、お腹が空けばまた食欲旺盛になったため、特に異常だとは思いませんでした。

他には、散歩を嫌がることが数度ありました。その時は短い散歩にしたり、庭だけで用を足すことで、解決していました。

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最近、急に食事に対する好みが変わったこともありました。それまで好きだったイモ類や魚類を一切食べなくなったのです。でも、肉類であれば、喜んで食べていたので、好みが変わっただけ、飽きただけと受け止めてしまいました。

前足を舐め続けて、脱毛してしまい、皮膚まで向けたことがありました。その時も獣医で治療をしてもらっています。アレルギーが原因だろうと診断されていますが、この時、既にモモの体には異変が始まっていたのだと、今になって思います。

そのほか、あくびを何度もしたり、水をいつもより多く飲んだり、ペロペロと舌なめずりを何度もしたり、そんなことが数えきれないほどありました。これ、みんな体調異変を示していたそうです。

でも、毎晩、公園でボールを追いかけて夢中で走り周るモモに、まさか異常が起きているとは深刻に考えたることはありませんでした。

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口にくわえているのは、さんざん噛んで表面がはげてしまったテニスボールです。

野生動物は弱さをけして他には見せない。それはペットも同じだということを、今回痛感しました。モモも、ギリギリになるまで、元気を装っていたのです。時折見せていたサインは、本当に見過ごしてしまいそうなものばかりでした。そうでないものも、獣医に診せていましたが、血液検査ではいずれも異常は出ず、それで開腹手術までするという結論に、至るものではありませんでした。発熱すら1度もしていなかったのですから…。

自然界では、それが寿命に繋がります。野生動物は、人間が行う医療を受けることはなく、我慢の限界を超えて”弱みが体に出てしまう=死”なのです。

でも、人間が管理する環境で生活をしているペットは事情が大きく違ってきます。ペットたちには自然界での寿命は与えられることは少ないでしょう。その代り、良い意味でも、悪い意味でも”生かすも殺すも人間次第”というルールが与えられてしまいます。

それは、”まだ、生きれるのに殺処分する”という事でもあり、”もう寿命なのに医療で生かす”という事でもあります。

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今回の事に関しては、賛否両論あると思いますが、筆者はこのモモの他愛ない笑顔を再び見ていたいと願い、そして素直にモモを助けたいと思い、イチかバチかの開腹手術をしていただきました。その結果、モモは再び生き延びることができそうです。(まだ100%助かったと言える状況ではありません。)

約1年前、どういう事情があったのかはわかりませんが、前の飼い主さんとはぐれたモモは迷い犬として動物愛護センターに保護されました。でも、飼い主さんが現れることはなく、推定年齢が8歳以上の高齢犬として譲渡対象になることもなく、殺処分が決まりました。

それを筆者が偶然知り、命を救いたいと引き出しました。本来であれば、モモは元飼い主さんとはぐれた(あるいは捨てられた)時点で彼女の寿命が来ていたのかもしれません。それは、ある意味人間によって殺されるという運命の寿命でした。道路を彷徨っていた彼女には、交通事故もしくは飢え、あるいは細菌感染による死の危険が忍び寄っていたはずです。

幸い、彼女は動物愛護センターで保護されたのですが、そこで決められた規則に従って、命の期限が来てしまいました。本来であれば、これが2度目の彼女の寿命でした。自然の法則に逆らって人間によって殺されるという寿命でした。

でも、彼女は偶然、筆者によって救い出されました。でも、3度目の寿命が襲ってきました。まるでファイナル・ディスティネーションのように。今回に関しては彼女の本当の意味での自然界での病気という寿命でした。しかしながら、それを大事なペットとして生かしたいという筆者の飼い主としての思いから、人間の行う医療の力で彼女は再び生かされることになりました。

筆者の正直な気持ちは、「助かって本当に良かった!生きてくれてありがとう!」です。そして同時に「いくつものあなたのサインを見逃してしまってごめんなさい!」です。

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モモは「待て!」を前の飼い主さんにちゃんと教育されていました。

これをどういう風に世間は受け止められるのかはわかりませんが、筆者が何を本当は伝えたかったのかを読み取っていただけたら、幸いです。

今回に関してのモモの医療費は約10万円かかると言われています。検査と手術費、入院代も含めるとこの値段の制定を行ったこの獣医さんは好意的だと受け止めています。そして、10万円でモモの命が助かるのであれば、安いものだと感じています。

とはいえ、10万円は今の筆者の懐具合にとっては、とてつもなく大きく響く額です。それでも命にはかえられないからと、モモの命を助けるための必要とされている処置を獣医さんにしていただきました。

まだ、モモは入院中なので、100%これで助かるとは言い切れない状態なのですが、万が一、それで急変して助からなかったとしても、それはモモの寿命だと覚悟はしています。まだぬか喜びできる段階ではないので…。

でも、やるだけのことはやったというそれは飼い主としての、人間としてのある意味、傲慢なのかもしれません。

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日本生まれですが、米国に30年間住んでいた米国籍のライターです。2014年に家族で日本に移住してきました。どうぞよろしくお願いします。

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