ASKA 覚醒剤で再逮捕

驚きのニュースが飛び込んできました。歌手の「ASKA(あすか)」氏が、覚醒剤取締法違反容疑で逮捕されたのです。

彼は「CHAGE and ASKA」での活動で知られ、『SAY YES』『YAH YAH YAH』などの名曲・ミリオンヒット曲に関わった、とても有名な人物です。

ASKA氏は、2014年にも覚醒剤や合成麻薬に関する罪で逮捕され、懲役3年・執行猶予4年の有罪判決を受けていました。今回の容疑が真実であれば、執行猶予中の再犯となります。

逮捕までの経緯

2014年の有罪判決から約2年、ASKA氏は病院やダルク(薬物治療をサポートする施設)に通ったり、新曲や著書を書いたり、前向きに活動していた模様です。

しかし、2016年11月25日の夜に、自ら110番通報します。その理由は「誰かに監視・盗聴されている」。

駆けつけた警官がASKA氏と話したところ、「ASKA氏の言動がおかしい」となり、任意で尿検査を実施しました。その結果、覚醒剤の陽性反応が認められました。

これを受け、警察は逮捕状を裁判所に請求。ASKA氏は、11月28日に「覚醒剤取締法違反(使用)容疑」で逮捕されます。本人は、容疑を否認している模様です。

歌手、ASKA(本名・宮崎重明)容疑者(58)が覚せい剤取締法違反(使用)容疑で逮捕されてから一夜明けた29日、同容疑者が「前回逮捕されて以降、薬なんか見ていない。絶対にやっていない」と供述していることが警視庁への取材で分かった。

出典 http://www.sankei.com

2016.11.30付 産経ニュースより。(見易くする為の改行・朱入れなどは筆者によるもの。以下同)

このニュースに対し、マスコミ各社の取材合戦が過熱し、大きな騒ぎになっています。

報道は「情報を集め、分析し、伝える事」です。とても大変な仕事であり、かなりの熱意やエネルギーが必要とされます。
加えて、「ASKA逮捕」というニュースは、世間の注目を集める大きな話です。取材陣がヒートアップするのも仕方ないのかも知れません。

しかし、連日のニュースの中に「世間の常識からかけ離れた行動」が見受けられ、「いくら何でも、それはやり過ぎだ!」との声がネット等で多数出ており、議論を呼んでいます。

【問題点1】タクシーのドラレコ映像が流出

ASKA氏が逮捕される前、彼は一般のタクシーを使い、外出先から自宅に戻ってきました。この時に録画された「タクシー車内のドラレコ映像」が、テレビのニュース番組等で放送されました。
(ドラレコとは、「ドライブレコーダー」の略。交通事故や車内トラブルなどがあった場合に備えて、証拠となる画像を録画する装置)

映像の内容は、今回の薬物事件と関係無さそうなもの。本人に許可をとったかどうかも、どこからマスコミに流れたのかも十分伝えられないまま、テレビで放送された模様です。
映像を見た視聴者から、「個人情報の扱いとして、不適当なのでは?」「事件に関係あるのか?」との声があり、騒ぎになりました。

この問題に関し、専門家が意見を述べています。一例として、『ハフィントンポスト』の記事を引用させて頂きます。法律の専門家である「小林正啓 弁護士」の意見です。

——車内で撮影されたビデオが公表されたことに法的な問題はあるでしょうか?

明らかに違法だと思います。


——どのような法律違反でしょうか?

勝手に写真を撮られて公表されない権利である肖像権と、私生活上のプライベートな行為を公表されないという権利、プライバシー権の両方を侵害していると言えますね。


——報道目的であれば例外的に公益性が認められる場合もあります。今回の件はどうでしょうか?

一般論として、権利の侵害を覆すほどの公益性があれば形式的に違法でも例外として公表が認められる場合があります。ただし、今回のビデオを見る限り、それほどの公益性はありません。

出典 http://www.huffingtonpost.jp

2016年11月30日付 『ハフィントンポスト』より。赤字部分が、小林弁護士の意見。

小林弁護士は公表されることを承知で提供したタクシー会社、そして実際に放送したテレビ局も違法行為をしたと言えます。」とも述べています。

この騒ぎの中、映像を流出させた本人から、謝罪の意が示されました。謝罪したのは、「チェッカーキャブ」という都内最大手のタクシーグループです。

このグループに加盟している会社のひとつが、独自にマスコミへ提供してしまった…とのこと。グループのHPやFacebook等に、謝罪文を掲載しています。

上記リンク先にある謝罪文を、筆者なりにザックリまとめると、以下の様になります。

チェッカーキャブ加盟各社は、ドライブレコーダーで車内外の様子を記録している。その目的は「防犯」「事故の原因解明」「安全策の強化」など。

記録映像は、担当者が厳重に管理している。基本的に、外部等には出さない。例外として、「捜査など法令に基づく場合」「事故・トラブル発生時の原因究明」「社員の安全教育」等の場合に、映像を関係機関に提出したり、教材として使ったりする。

●現在、マスコミ各社にて放送されている映像は、グループの1社からマスコミへ提供されたものだが、これは上記「例外」に当たらず、ルール違反の行為。

●映像提供を行った社に対して、グループとして厳罰をもって対応し、記録映像の管理徹底を図らせる。

謝罪文の末尾には、「関係者やお客様に対し、重ねて謝罪します。」との文言があり、平謝りに徹しています。

なお、小林弁護士に違法性を指摘された「映像を流したテレビ局」に対し、『ハフィントンポスト』が問い合わせたそうです。テレビ局の返事は「広報担当者が不在」。

【問題点2】車のエンブレムを破壊

「ASKA氏が逮捕される」との情報が入ってから、ASKA氏の自宅周辺に報道陣が殺到。もみくちゃな状態の中で取材陣はヒートアップし、我先に映像を撮ろうとします。その結果、ASKA氏の愛車が破損してしまい、その模様が流れました。

一斉にフラッシュがたかれる中、ガレージ前にタクシーで乗り付けたASKA容疑者とみられる人物は足早に勝手口から自宅へ入った。数分後、報道陣がインターホンを押したが、反応はなかった。

約20分後、ガレージの扉がゆっくりと開く。隙間から関係者の運転するASKA容疑者のベンツと思われる車が見えた瞬間、報道陣が正面を取り囲んだ。

「危ないですから、下がって、下がって!!」。碑文谷署員らが何度も叫びながら報道陣を車から引き剥がそうとするが、離れない。カメラマンと車が衝突し、ベンツのエンブレムが外れた。

出典 http://www.sankei.com

2016.11.28付 産経ニュースより。

特に注目を集めたのは、ガレージから出ようとしたベンツにあったエンブレムだった。

TBS系の情報番組「Nスタ」では、ボンネットに付いていたはずのエンブレムが地面に落ちている様子を伝えた。おそらく混乱の中で折れてしまったのだろう。

さらに同番組では複数の人々がエンブレムを踏んでいく場面も映していただけに、ネット上では、
「人様のベンツのエンブレム折って踏みつけるのはどうかと思う」
「エンブレム破損って器物破損じゃないのか」
といった厳しい声も相次いだ。

出典 http://www.j-cast.com

2016/11/29付 J-CASTより。

上記J-CAST記事では、

「ガレージ開いた瞬間に報道陣がなだれ込んでて、なんか異常...」
「下手したら、公務執行妨害やがな」
「何より気持ち悪かったのは、そこに押し寄せてたマスコミ。あの光景はひどい」

という声がネットから出た…とも報じています。

なお、これに関して「警察が、器物損壊容疑で動いた」等という話は、現時点で報じられてはいません。

【問題点3】未発表の音源を、テレビで放送

「ASKAが逮捕される」とのニュースを受け、逮捕前に、とある番組で特集が組まれました。その中で、「ASKA氏が製作した、未発表の曲」が流れました。

この事を、どうもASKA氏は知らされていなかった模様です。彼は電話で「あの曲、流しちゃだめだって」と番組出演者に注意しており、その場面がテレビで流れました。

上記記事では、事の詳細と併せて、ネット上の声を紹介しています。その内容は、
「ASKAの音源流してるけど、これってアリ?」
「未発表のデモ音源を流すとか…著作権を知らないのか?」
「さすがに、これは駄目だろう」
といった疑問の声が多かった様子です。

この件に関し、新たな動きは無い様子です。続報に注視したいところです。

「いくら取材でも、やり過ぎ」という話は、昔からある

こういった「取材陣の過熱」については、過去に何度も話題になりました。これは、有名人であろうが一般人であろうが、容疑者であろうが被害者であろうが、あまり関係の無い問題だと言えます。いつでも・どこでも・誰でも関係なく、直面しかねない話なのです。

更に言えば、こういった騒ぎは「犯罪報道」に限った事ではありません。「災害報道」に関する事も、よく耳にします。

最近の例としては、2016年4月に起きた平成28年・熊本地震が思い浮かびます。マスコミの行き過ぎた行動が、多数話題になりました。

この視聴者は、熊本在住の友人から現地の模様を聞いたという。FAXには、「余震で崩れそうなお宅の前でテレビ局がずっと待機しているのだそうです。どこの局かは分かりませんが、ご当人にとってはすごく失礼なことではないでしょうか?」と、震災時におけるマスコミの対応を批判する言葉がつづられていた。

出典 http://news.livedoor.com

2016年4月18日付 Livedoorニュースより。NHKの「あさイチ」という番組内で、熊本地震に関するFAXを紹介した時の記事。

熊本県益城町の避難所からボランティアの受け入れ状況について生中継していたところ、リポーターの背後からあらわれた被災者と思しき男性から、「見世物ではない」「車、邪魔、どかせよ!」などと怒鳴られたのだ。

出典 http://diamond.jp

2016年4月27日付 『ダイヤモンド・オンライン』より。生中継のテレビ番組内で放送されてしまったので編集ができず、多くの人が目撃する騒ぎになりました。

この他にも、熊本地震に関するマスコミ問題として、

●テレビの中継車が、ガソリンの給油待ちをする被災者の列に割り込みをし、Twitterで拡散されて騒ぎになってから謝罪した。

●この「ガソリン列に、テレビ局が割り込み」を指摘した被災者のTwitterを、系列局の人間が「あんなのはデマだ」と決め付ける発言を流す。その系列局社員は、ネットユーザーにより身元を割られてしまい、謝罪に追い込まれた。

●生中継で、レポーターが店の主人に取材をしようとして、雨の中で並んでいた子どもを追い出す形でインタビューし、批判された。

●取材ヘリコプターの音がうるさすぎて、大事な連絡の放送が聞こえない。「下手をすれば、助けを求めてる人の声がかき消されるのでは?」と心配の声があがる。

●被災した自治体などが「取材禁止」としている地域や施設に、許可も無く勝手に入ろうとする。

…などなど、とても多くの話があります。

何ともおかしな話が並んでいます。が、熊本地震のマスコミ話は、まだマシな方かも知れません。直接の死者が出ていないからです。

過去には、悲しい話が起きています。今から25年前の1991年、長崎県の雲仙普賢岳が噴火した際に、マスコミの取材熱が災いし、数の死者を出す騒ぎになりました。

マスコミが被災地取材でトラブルを起こすのは、今に始まったことではない。1991年の雲仙普賢岳噴火の際には「迫力のある絵」にマスコミが固執した結果、関係のないタクシー運転手や消防団員、警察官も巻き込んだ死者を出す事態が起きてしまった。

出典 http://diamond.jp

2016年4月27日付 『ダイヤモンド・オンライン』より。

災害は、いつ・どこで起こるか分かりません。2016年だけを見ても、熊本をはじめ、各地で大規模地震が多数発生しています。決して他人事ではありません。

まとめ

今回の様な騒ぎを見た時、皆さんはどう思いますか?。

「自分には関係の無い話」
「有名人は、取材される義務がある」
「犯罪者は、プライバシーなんて関係無い」
「報道の為なら、モノを壊すのも仕方ない」
「もし自分が巻き込まれたら、嫌だな」

…など、いろいろな意見があるでしょう。

ただひとつ、注意したほうが良い事は、「こういう騒ぎには、誰でも巻き込まれる可能性がある」ということです。
当事者でなくても、「たまたま近所に住んでいた」「知り合いだった」などの理由で、取材される側になってしまうかもしれません。

もしそうなった時、どうしますか?。取材協力の為に、少々の事には目をつむりますか?。取材であっても不快ならば、断固拒否しますか?。

対応法は人それぞれでしょうが、このニュースをよい機会だと捉え、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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