先日、原稿を書いてメール添付で送信したら、若い担当編集者からさっそく電話がかかってきて「これでほぼほぼOKです!」と返事をもらった。

私は違和感を覚えたが、「言葉に調子が出るくらい、出来に満足してくれたのだろう」と聞き流した。

別の若い編集者との打ち合わせで、「ほぼほぼ、このスケジュールでいきたいと思っています」と言われたときに確信した。「あ、『ほぼほぼ』って世間的に使われている言葉なんだ」と。

調べてみると、「ほぼほぼ」という表現が誕生したのは、この数年のようだ。誰がどのような意図で使い始めたのか。

「ほぼほぼ」「いまいま」?!クイズ おかしな日本語(光文社新書)』(野口恵子/光文社)は、おかしな日本語(本書によると「日本誤」)をクイズ形式で紹介しているが、日本語に精通した著者も、「ほぼほぼ」が誕生した背景については不明なようだ。

ホボホボ完成しておりますので、明日にでもお届けできると思います。

出典「ほぼほぼ」「いまいま」?!クイズ おかしな日本語(光文社新書)

本書は、上記の「ほぼほぼ」の日本誤例を挙げつつ、この表現では本当の意味がわからないとツッコミ始める。「ほぼほぼ」とは、「ほぼ」の強調なのか、それとも婉曲表現なのか。

「ほぼ」以上に確定的という意味なのだろうか。「ほぼ」は程度をぼかす意味を持っているので、「ほぼ」が「ほぼ」…つまり単体の「ほぼ」までは確定的ではないという意味なのか。

日本語には「畳語」がある。「火が赤々と燃える」の「赤々」のような表現だ。畳語は、語を繰り返したり重ねたりすることによって複数や強調を表す。本書は、「ほぼほぼ」はビジネスの世界で誕生した新畳語だと分析している。

本書では、「イマイマ」という表現についても触れられている。

では、イマイマは特に問題ございませんでしょうか。

出典「ほぼほぼ」「いまいま」?!クイズ おかしな日本語(光文社新書)

保険会社の係の人から上記の日本誤を聞いた著者は、意味の想像はついたものの、確認のために「『イマイマ』ってどういう意味ですか?」と質問したという。

係の人の答えは「今現在の意味でございます」。やはり、強調の意味で使われていた。ちなみに、「今現在」は、「日本に来日」「頭痛が痛い」「一番ベスト」のような重複表現。ビジネスシーンで使う言葉ではない。

本書で興味深いのは、次の考察だ。

立派な社会人が「ホボホボ」「イマイマ」のような新畳語を、内輪の会話の中ではともかく、外部の人間に無思慮に、まして得意げに使うというのは、「強調をしたい」以外にも理由があるのかもしれない。

「ほぼ」「いま」という二音の語では短すぎて物足りないと感じた人が、「ホボホボ」「イマイマ」を使うのでは、というのだ。

本書によると、「お遊戯」「お片付け」「わんわん」などの幼児語で、二音の語は敬遠される。「お歌」「お耳」「お鼻」「あんよ」は三音だからいいが、「お手」「お目」は「お手手」「お目目」と三音にする。

「ほぼ」「いま」の二音を三音以上にしたがるのは、幼児語と関係があるのかもしれない、と推測している。

私が「ほぼほぼ」を聞いた冒頭の若い編集者は、どちらも教育系出版社の人間で幼児教育も取り扱っており、園に日常的に出入りしている。…こじつけなのかもしれない。

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