せっかく入ったお店があんまりおいしくなく、それでいて高かったりしたらなんだか損した気持ちになりますよね。そこで、今回はラーメンにしぼり「おいしい店の見分け方」6つを食に詳しいライター・編集者の松浦達也さんに聞いてみました。

1. 店員が目が隠れるよう、頭にタオルを巻いていたら注意

ラーメンについては外野から偏見全開で申し上げますが、イマドキ店員が目にかぶさるようなタオルを頭に巻き、黒Tシャツを着ているような店はナシでしょう。あれはもはやテンプレで、あのスタイルに疑問を持たないこと自体疑問です。最初にあのスタイルをラーメン界に持ち込んだチェーンならともかく、他店舗や他チェーンの人がユニフォームのようにおそろいを着てどうするんでしょう。

確かにラクだと思いますよ。髪の毛も入らないし、黒シャツなら汚れも目立たない。一定の清潔感に男らしさ――が必要かはわかりませんが、男らしさも演出できる。よくできているからマネをしたくなるんでしょうけど、いまとなっては若干古いものを何のてらいもなくやってしまうのは遠巻きに見ていて切ないですよね。目が隠れるほどの丈のタオルを巻いているのを見ると、「前が見えづらそうだから上げた方がいいよ」と余計なお節介すら焼きたくなります。

いい店は他店の要素を取り入れるとしても、必ず咀しゃくして消化し、自分なりのスタイルにアレンジする。少なくともいま勢いのあるラーメン店を見ていると、服装ひとつとってももっと自由で自然なスタイルに進化しています。タオルと黒Tシャツというちょっと古いコスプレ世間の空気を捉えていないどころか、古き慣習に囚われている。お客は本当に喜ぶんでしょうか。

2. 店員が絶叫していたり、魚粉が置いてあったら注意

あとは、客が店に入ってくるとけたたましく「らっっっしゃゃいませぇぇぇぇぇぇ」と絶叫し、ラーメンができた時に「5番さぁぁぁぁぁん、チャーシュー大盛りぃぃぃぃぃ、麺固めぇぇぇぇ、出まぁぁぁぁぁっす!」みたいな掛け声を今でもやっている店。まさかあれはサービスじゃないですよね。

魚粉もそう。一時期はどこの店でも魚粉ばかりで閉口しました。魚粉はスープが粉っぽくなったり、魚臭くなるリスクもある。なのに「流行っているから」「コクが出るから」という理由だけで取り入れてしまう。「魚粉導入」というテンプレで安心したいように見えました。

3. 何か尖った個性がある店には注意

前述したようなユニフォームや掛け声もそうですけど、テンプレを採用した時点で手段の目的化が起きてしまっています。本来、ユニフォーム、掛け声、魚粉などは取り入れる理由や目的があったはず。なのに、黒いTシャツを着て、過剰な掛け声をかけ、とにかく魚粉を使う。魚粉ラーメンチェーンの店舗があちこちにできたようでつまらなかったし、もっと言えば気持ち悪いですよ。

もっとも珍しい出汁材を使う店にも、とにかく差別化ができればいいという店もありました。バブル以降のラーメン店って何かが盛り上がるとそれを尖らせることで、ムーブメントが盛り上がった面もある。ただ、尖らせるということはバランスを崩すことでもあって、当然そこからの調整が必要になります。

4. 尖っていてもちょっとしたチューニングをする店はイイ!

うまく調整している店だと高田馬場の名店Iなどもそうですね。この店は奄美豚を使ったくさみのないとんこつスープが特徴ですが、ふつうのラーメンのほか、ラー油入りの辛いものは、わずかなとんこつ臭を辛味で風味に変えている。客の好みに合わせて、メニューをチューニングしていく店はいいですよね。

5. 店主の「出汁材コレクション」自慢に付き合ってはいけない

対して「無化調にこだわっています」「どこどこの宗田節を使っている」「羅臼の昆布使用」「名古屋コーチンのどうのこうの」とかこだわり系の能書きの多い店は、客の要望をどこまですくい取っているんでしょうか…。いま例に挙げた素材はいずれも素晴らしいけど、この手の情報だけでは店頭はにぎわわないでしょう。世間はこれらが組み合わさった、「まだ体験したことのないスープ」を求めているんです。店主の出汁材コレクション自慢などに付き合ってはいけません。

6. うんちくが多いラーメン屋に感動はない

そもそもラーメンのスープは、他にもさまざまな複雑な要素が組み合わさり、使用している麺や具との相性なども含めて考えなくてはいけません。ラーメンは、麺や具と合わさって、はじめてラーメンになる。店主の勝手な素材へのこだわりを客に押しつけても誰も喜びません。うんちくばかりのラーメン店に感動はないですよ。

いま食べ物のまわりは情報であふれています。食べてホッとできる大衆食であるはずのラーメンでまで過剰なうんちくを語られたら、何を食べて心を落ち着けたらいいんでしょうか。

以上、ラーメン店選びの参考にどうぞ!

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