記事提供:サイゾーウーマン

衣料品通販サイト・ZOZOTOWNを運営する株式会社スタートトゥデイが千葉マリンスタジアムの命名権を取得し、12月から「ZOZOマリンスタジアム」に変更することが決定した。

それだけ聞くとアパレル業界は絶好調のように見えるが、アパレル小売業界に詳しい人々は「今は業界全体で経営が最悪な時期」と口を揃える。

「2015年頃はメンズブランドの経営状態が逼迫していましたが、16年はミセスブランドも苦しいですね。最近、同じショップで買い物をする親子をよく見ませんか?年齢によるブランドのすみ分けがなくなっているから、いい商品を扱っていない、もしくは売れ筋を見極められなかったブランドはどんどん淘汰されているんです」(ブランドスタッフ)

多くのブランドのオフィスが軒を連ねていた東京・千駄ヶ谷も、売り上げ不振で次々と撤退して寂しい状況になっているという。そんな中、16年のトレンドキーワードとしてファッション業界が挙げていたのが「オケージョン」だ。

「ここでいうオケージョンとは冠婚葬祭などの特別な行事、儀式というシチュエーションを指しています。要は結婚式用のドレスや、喪服などのフォーマルウェアですね。楽天市場で『オケージョン』とか『パーティードレス』で検索してみてください。どれだけ多くのブランドが参入しているかわかりますよ」(ファッション誌ライター)

そうした動きは今年から始まったわけではなく、14年には大人の男のカジュアル&スポーツウェアを発信していた『junhashimoto(ジュンハシモト)』がフォーマルウェアに参入、さらに、15年1月には通販カタログの『ディノス』がフォーマルウェアに特化したカタログを発行している。

各メーカーも15年初め頃から積極的にオケージョンに参入し、洋服が売れないと嘆かれている中、ネットショッピングを中心に売れ行きは好調だという。

しかし、すでに17年には供給過多で飽和状態による売り上げ低下も予想されている。そんな中、目端の利くブランドが注目しているのがブラックフォーマル、喪服だ。そして、喪服が売れるという根拠に「団塊世代」というキーワードがある。

「団塊世代とは第一次ベビーブームといわれた1947年(昭和22年)から49年(昭和24年)に生まれた人たちを指します。広義ではその後数年の間に生まれた世代も含まれますね。

経済効果が数10億円といわれるファッションブームには、必ずといっていいほど団塊世代が絡んでいるんです。

まず、彼らが青春時代を迎えた60年代にはヒッピー、アイビー、その後70年代にさしかかる頃にはモッズ、ロッカーズ、ロカビリーなんかもありましたね。

彼らが社会人になる頃にはメンズ・ビギなどトラッドがブームでした。今でも60年代、70年代はファッションのお手本になっています。そうしたスタイルは海外発信ではありますが、日本でそれを確立したのは団塊世代の人たちです」(デザイナー)

時が流れて団塊世代の人々も親に。そして、第二次ベビーブーム(71~74年)が訪れ、その世代がファッションに敏感な年代になったときに起きたのが109ブームだ。

「109ブーム、いわゆるギャル系ファッションの流行は95年頃にピークを迎えますが、その中心にいたのは第二次ベビーブームで生まれた、いわゆる『団塊ジュニア』です。

ギャル服だけでなく、この頃はファッション産業の最盛期で、次々と新しいブランド、雑誌が生まれました。大人気だった『浅ヤン』(テレビ東京『浅草橋ヤング洋品店』92年4月~96年3月)なんかはまさにそのブームに乗った番組でしたよね。

そして、団塊ジュニアも親になり、入学式や冠婚葬祭でフォーマルウェアを着る機会も増えてきます。我々はオケージョンの売り上げが好調な理由はそこだと思っています」(前出ブランドスタッフ)

しかし、それ以外のアイテムの売り上げは下降の一途をたどっている。売り上げに差が出る理由は、簡単に言ってしまえば洋服を買う絶対数の違いだ。

厚生労働省の調査によれば、出生数のグラフは第一次ベビーブームを起点にすると右肩下がりのいびつなW字を描いており、ピークの第一次ベーブームでは約270万人、次に上がる第二次ベビーブームでは約200万人、しかし、それ以降は下がりっぱなしで、100万人を下回る日も近いとされている。

子どもができれば、ほかにお金がかかるようになり、団塊ジュニアの人々も洋服に使う金額は減る。そして、1年ごとに子どもの数も減っているのだから、洋服全体の需要が減るのは必然といえるだろう。

では、なぜ今後はオケージョンの中でも喪服だけが引き続き売れると予想されているのだろうか?

「団塊世代の人たちはすでに仕事をリタイアし、70代にさしかかり、亡くなる人も出てきます。その子どもである団塊ジュニアにあたる30代後半~40代の中には、これを機に喪服をそろえようという人もいるでしょう。

店に行くよりネットショッピングで探す方が早いから、楽天、ZOZOTOWNなどの通販サイトで商品を販売しているブランドは、こぞって参入していく可能性は高いです。しかも、人気のあるブランドが普段使いもできるデザイン性の高いものを発売すれば、もっと需要は高まるでしょう」(同上)

そうした流れを受けてか、楽天市場などで礼服をレンタルするビジネスを展開する企業も好調だという。しかし、「人が亡くなることで売り上げを伸ばすなんて」と、眉をひそめるファッション関係者が多いのも事実。

できることなら、こうした局所的なブームではなく、ファッション業界全体が盛り上がるトレンドが押し寄せてほしいものだが…。

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