記事提供:日刊SPA!

※写真はイメージです

スマートフォンの影響によって、我々の生活スタイルは激変した。それは「子育て」においても例外ではないようだ。スマホで子どもを遊ばせたことがある母親のことを“スマ放置ママ”と揶揄するだけでは見えない、母親たちの苦悩もある。

玩具メーカー・セガトイズのアンケート調査によると、4~8歳の第1子を持つ20~49歳の母親800人のうち、自分の時間を確保するために「子どもにスマートフォンで遊ばせたことがある」と回答したのは63.3%だった。

スマホで遊ばせる理由として最も多かったのが「自分の時間を確保するため」で73.3%、次いで「電車やバス、自家用車での移動中」が49.0%、「ごほうびとして使わせてあげたい時」が23.7%、「子どもと話題を共有したい時」が23.5%の順となった。

さらに「スマホで遊ばせたことがある」と答えた母親のうち、「よくないことだと思う」と「ややよくないことだと思う」が合わせて76.3%に上り、罪悪感を感じている母親は4人のうち3人を占めることが明らかになった。

ただし「スマホ子守」の背景は、そこまで単純ではないようだ。

◆ベビーカーの赤ちゃんにスマホを触らせる母親の葛藤

電車内でベビーカーに乗っている赤ちゃんが、母親のスマホを触って動画を見ている――「スマホ子守」という言葉が広がりつつある今、これは珍しくない光景だ。

幼少期からスマホになじんで育った世代には、家庭にあるテレビの画面を思わずスワイプしたり、ピンチしたりする子供もいるというから、携帯電話すら存在しなかった世代にとっては驚きだろう。

しかし、子供にスマホを触らせて子守をしている親に対して、世間の目はそれほど印象のよいものではない。

電車内に響きわたるスマホの音と子供の叫び声、こんな状況に遭遇したら、冷たい視線を送ってしまったり、眉間にしわを寄せて嫌な顔をしてしまったりする人は少なくないはずだ。

スマホに子守を任せきりにする「無責任で、非常識な親」といった批判が投げかけられることもある。

実際にこうした光景を目にした20代・会社員の男性は、「手っ取り早く子供を黙らせるのには便利だろうけど、将来のことを考えると他人とうまく会話ができない子供になって、のちのち苦労するのではないか。子供をスマホで遊ばせると視力も低下するでしょうし、悪影響しかない気がします」と疑問を抱いている。

この男性が見かけたのはアジア系外国人の親子だったといい、日本だけでなく海外でも「スマホ子守」が広がっていることもわかる。

あなたは、電車内でスマホに子守をさせる親をどう感じるだろうか?

確かに、ベビーカーに乗っている赤ちゃんにさえスマホを触らせてしまうのは問題があるかもしれない。

しかし、泣き叫ぶわが子を前に「泣く泣くそうせざるをえない」と罪悪感を抱き、一人で苦悩している親も少なくない。

周りからの冷たい視線、迷惑そうにしている顔からは「泣いている子供を早く静かにさせろ」という空気感や見えない重圧が伝わってくるとある母親は話す。

◆「スマホ子守」をする母親の本音、同情する声も

「スマホ子守」に批判的な意見が目立つ一方で、子育てを経験したことのある母親や既婚の男性からは、共感や同情の声も聞かれた。

「子供にスマホを見せたら放置ママ、赤ちゃんが泣いたらうるさいから黙らせろ、混雑した電車でベビーカーを使ったら邪魔だから周りに配慮しろ、こうした見えない重圧は私が子育てをしていた当時にも強く感じました。そんな世の中で『少子化対策だ』なんて叫んでも、母親たちは我慢を強いられるだけです。仕方なく『スマホ子守』をしてしまう母親の気持ちがわかるだけに、場面を想像するだけで胸が苦しくなってきます」(40代・公務員の女性)

かつては批判的な立場だった男性も、結婚して子供を授かったことをきっかけに考えは変わったという。どうしても当事者でないと理解できない行動はあるようだ。

「結婚して自分の子供ができたら、絶対にスマホは触らせないようにしようと思っていました。独身の時なんて、子供にゲームやスマホを与えている親を馬鹿にしていましたが、いざ父親の立場になると、スマホの動画を見せて静かにしてくれるなら、外出先くらいは…という気持ちが痛いほどわかります」(30代・メーカー勤務の男性)

実際に「スマホ子守」の経験がある前出の母親は、こう悩みを打ち明ける。

「いくら私が頑張っても、子供が言うこと聞かないこともじっとできず泣いて暴れてしまうこともあります。そのときは本当に大変で、横で呆然と立ち尽くしてしまう自分を想像すると、スマホを見せるのは良くないと思いつつ、電車では怖くて仕方なく見せてしまいます。この思いが、周りの方にも理解されたら救われるのですが…」

“他人に迷惑をかけない”最善の策として、スマホを子供に触らせてしまうことがあるという。

たまたま見かけたときは「子供の成長によくない、非常識な親だ」と決めつけてしまうかもしれないが、それは子供にどうしても静かにしていてほしいときの緊急策という親も多いというのは事実である。

周囲の見えない重圧によって、母親の肩身が狭くなってしまう現実がそこにはあった。

そして「子供にとって悪影響」という考えは、テレビやゲームに対しても以前に散々言われてきたものだ。

しかし、そのように断言できる根拠はどこにあるのだろう。いずれにせよ、子育てに息苦しさを感じて過ごしている親がいる。

その人がなぜその行動をとったのかに思いをめぐらせ、他人に対して寛容になることこそが、子育てしやすい環境をつくるのではないだろうか。

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