気が付けば、お世話になっている家庭も多いのではないでしょうか?
我が家では、母から二世代に渡って折々に購読していた『オレンジページ』((株)オレンジページ)。私も初めての一人暮の際には、家庭料理の基礎から学べる連載『お料理一年生』に世話になった記憶が…と思ったら、今年で31周年を迎え今や三世代に渡る読者もいるとか。

31年前といえば、ケータイ・スマホの元祖、電電公社から民営化されたNTTのショルダーホンがやっと流通し、DCブランドや太眉が流行った時期。世代も時代も越えた人気の秘密は何なのか? 昨年30周年の節目に編集長になった鈴木善行さんに話を伺いました。

オレンジページの31年間

―― 記念すべき第一号の『ステーキ特集』から31年。やはり、ライフスタイルの変化とともに、編集方針も変わっているのでしょうか?

「90年代に節約がブームになり取り入れたことがあるのですが、それほど反響が無くて最近はやっていません。オレンジページの読者の方は節約というよりは、ひと手間かけて家族に喜んでもらうという考えの方が多いので、それは編集方針として30年以上変わっていないですね。今は時短料理などが流行していますが、人気企画は“つくりおき”です」

――雑誌も読者もコンセプトがブレない。それが長続きの理由かもしれませんね

「そうかもしれません。もともとはスーパーのダイエーの消費者サービス事業として始まり、出版社であっても当初は、売り場の店員さんと同じネームバッジをつけていたんですよ。なので、現場のお客様の声、つまり読者の声を大事にするという視点は今も変わっていません。新しい情報はどんどん取り入れていますが、時代に流されずに、読者が今何を求めているかを一番大事にしたらそうなったという感じですね」

―― 読者の立場になって、どのような工夫をしたら喜ばれるかが大切なんですね。

「はい。例えば他社に先駆け、わりと早い時期からレシピ特集などの小冊子を付けていますが、文字を大きくしたところ完売するほどの大人気でした。実際に声を聞いてみると、料理初心者の若い女性からも「見やすい」と評判が良かったんです」

――わかります!初心者は細かい文字を見ながら作ると、一工程間違えたりするんですよね…ここからは弱火だったのか!強火のままにしちゃった!のような(笑)そんな読者の声を聞き続けた長い歴史の中で、一番ヒットしたと自負する企画・レシピなどを教えてください。

「やはり『フライパンひとつで何でもできる』シリーズですね。1991年から始めたので、もう25年になります。鍋や道具類を使い分けるのは意外と面倒だという読者からの声がありまして、オレンジページが先駆けだと思います」

出典 http://magazinesummit.jp

※写真は『フライパンひとつで何でもできる』シリーズ“フライパングラタン”のつくり方

―― そういえば、うちの母もあるときから突然「揚げ物はフライパンで少しの油で出来るのよ!」なんて自慢気に言っていましたが、オレンジページを見たのかもしれません。

「それはうれしいです。最近だと『ちぎりパン』。読者から「オーブンはあるけれど、ふだんはあまり使わない」と声があり、フライパンひとつでパンができてしまう!という手軽さから生まれました。あとは『パエリア』。家庭料理としてレシピを特集したのはオレンジページが初めてかも知れません。今でもときどき掲載するのですが、やはり毎回好評なんですよ」

―― 確かにパエリアは専用の大きい鍋でつくるイメージで、スペイン料理店などに行かないと食べられなかったです。今やすっかりフライパンでつくれる家庭料理ですが、それをオレンジページが提案していたとは!

「“ウチが最初”と自負しているレシピや企画、結構あるんです」

包まれる多幸感 オレンジページ編集部の裏側とは…!?

―― レシピは必ず編集部で試作してから掲載するのがモットーだと伺ったのですが、週にどの位つくるのですか?

「隔週で発行していますが、毎号につき50から70品ほどのレシピを掲載します。全品試作するので、月に100品は超えますね。毎日何かしらつくっています。そして試作品がそのままスタッフの昼食や夕食・夜食になったりもします」

――100品とは、すごい(笑)

「レシピは実際に家庭でつくれるかどうかが重要なので、ガスがちゃんと使えて試作できるかを第一に物件探しをして引っ越したくらいですから。ちなみにこのビルは以前、飲食店が入っていました」

―― 読者もスタッフも女性ばかり…というなかで男性として苦労した点はありますか?

「それが、ないんですよ…女性スタッフが多い中で「顔を覚えてもらいやすい」など得してこそ、困ったことはないです」

―― えーっ!

(ここで、「それでもまだ歴代の編集長で“メンズ色”が強いほう(笑)」という声が、傍にいたスタッフから聞こえてました。というのも男性女性問わず、新人から編集長・役員クラスまで“暮らし”に興味を持って入って来るので“女子力”は元々高いとか)

「ここでは入社してすぐの研修で「今から5品つくってみて」なんて普通ですからね」

―― しかも上司や先輩が見守る中で…ってすごい緊張感ですよね。女の私でも無理です!!

ここ数年“女子力”という言葉が定着しています。『ちょっとしたひと手間で、みんなが喜ぶ』企画は、まさに女子力アップに効果がありそうです。例えば『割りばしの袋で可愛い富士山の箸置きの作り方』を載せるなど、レシピ以外にも生活を楽しむ、ちょっとした工夫や発見があるのがオレンジページ。その女子力の高さはスタッフの皆さんにあり、といったところでしょうか。

オレンジページの30年後、未来

―― 最後に、31年続けてきたオレンジページのこれからを教えてください。

「日本の家庭料理というものを支えてゆきたいですね。自分自身も母親は忙しく働いていたので祖母の味で育ちました。その恩返しではないですが、『家庭でご飯をつくる』という文化を支えてゆきたい。もちろん、家庭の味はお母さんや女性ではなく、お父さんや男性が支えてもいいと思います。「オレンジページが我が家の味でした」と言って下さる方がいると嬉しいですね」

―― まさに我が家がそうです。母の『フライパン料理』といい、私の『お料理一年生』といい、考えてみれば二世代に渡って“オレンジページが家庭の味”です。

「本当ですか!? それは嬉しいですね!実は、今年で5回目になる『ジュニア料理選手権』という中高生向けの料理レシピコンテストを行っているんです。2000通を超える応募いただいていて、おかげさまで大変好評なんですよ」

―― 少子化の中で、すごい数ですね!

「ゆくゆくは料理の『甲子園』みたいな位置づけにしたいですね。こうした企画を通し、若い世代から、家でご飯をつくる喜びを知ってもらうことが、我々にできる社会貢献だとも思っています」

日本の未来は『オレンジページ』が救う!?

取材中、キッチンや編集部にも案内していただきましたが、どこも我が家以上に我が家に帰ってきたような、とてもアットホームな雰囲気が漂っていました。
こうした皆さんによって、楽しく丁寧につくられているからこそオレンジページには、誌面を開いた時に何とも言えない多幸感があるのか!と、またひとつ納得。

出典 http://magazinesummit.jp

※写真は編集部キッチン。見えませんが、冷蔵庫が5台ありました!

「家庭と仕事の両立」「育児ノイローゼ」「女子力が足りない」「イクメンの在り方がわからない」…家庭を取り巻く悩みは尽きないモノ。しかし鈴木編集長をはじめ、編集部のみなさんのイキイキとした姿に、その解決方法はあるのかもしれません。

鈴木編集長、編集部の皆様。突然の訪問にもかかわらず、あたたかく迎えてくださり、どうもありがとうございました!

鈴木善行 すずき よしゆき
新潟県出身。高校時代はボクシング部に所属。青山学院大学を卒業後、1993年(株)オレンジページ入社。『オレンジページ』『きれいになりたい』を担当後『オレンジページ』に戻る。副編集長、デスクを経て2015年、編集長就任。

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