「ヴィジュアル系バンド…それは化粧というテクノロジーを駆使し、音楽だけではなく見た目から観客を魅せるという、音と視覚の芸術集団である」

なんだか堅苦しい出だしになりましたが、Spotlight編集部で働くわたくしヴィジュアル系バンドをこよなく愛する“バンギャ(ヴィジュアル系バンド愛好者)”であります。

しかし、三十路を間近に控えた先日、一抹の疑問を覚えたのです。

「ヴィジュアル系のメイクってどうやるの?」

一般的な女性がするメイクではないし、何より男性のメイクって難しいはず。私も若かりし頃に真似をしようとしたものの、密輸されたパンダのようになった悲しい過去を持っています。

そこで今回、ヴィジュアル系メイクアーティストを養成するコースがあるバンタンデザイン研究所にお邪魔して、ヴィジュアル系メイクの裏話を伺いつつ、実際にメイクをする様子を見せていただいてきました。

恵比寿の駅前にあるバンタンデザイン研究所

出典Spotlight編集部

こちらがバンタンデザイン研究所。JR恵比寿駅からほど近い場所にあり、ファッション、ヘアメイク、ウエディング、デザイン、映画・映像など、クリエイティブな業界に特化した学校です。

こちらの学校の大きな特徴は、現役のプロが現場で役立つ最新の技術を教えてくれる点で、在学中もインターンなどで現場に行く機会があり、卒業後に即戦力として活躍できるようなカリキュラムが組まれています。

ちなみに今回潜入させていただいたヴィジュアルアーティストメイクのコースでは、1年目に一般的なメイクの基礎を学び、2年目にヴィジュアルメイクの専門的な技術が学べるようになっているそうです。

また、高校を卒業してすぐに入学する方だけではなく、社会人が働きながら学べるコースもあるので、生徒さんの年齢も幅広いとのこと。

出典Spotlight編集部

さすがクリエイターを養成する学校だけあって、看板もスタイリッシュ。

さあ、いざ参らん!

卒業生にお話を伺いました

出典Spotlight編集部

今回インタビューさせていただき、実際にメイクの様子を見せてくださったのは、バンタンデザイン研究所の卒業生であり、現在は有名バンドのメイクも手がけるヴィジュアルメイクアーティストの柴田桃子さん。

何と片道2時間半もかけて通学し、皆勤賞で卒業された優秀な方です。

出典バンタンデザイン研究所提供

こちらは柴田さんの過去のお仕事。

目元にインパクトのあるメイクが特徴です。これはほんの一例ですが、ヴィジュアルメイクの仕上がりをイメージしていただければと思います。

ーーまず一般的なメイクとヴィジュアルメイクの違いについて、お聞きしたいです。

柴田:一般的なメイクは、モデルさんをいかに可愛くきれいに見せるかというのがメインになりますが、ヴィジュアルメイクの場合はバンドの持っている世界観やイメージを、メイクやヘアで鮮明に再現することが重要だと感じています。

ーー単純なイメージですが、ヴィジュアル系のメイクは黒が多いなと感じます。実際によく使う色やアイテムも教えてください。

柴田:そうですね、黒はよく使います。アイテムでいうと黒いジェルライナー(筆でとって使うタイプのアイライナー)と、黒のアイシャドーはダントツで減りが早いです。だから、ストックも常に用意しています。

ーーメイクをする上で男性と女性の違いを感じることはありますか?

柴田:男性の場合、女性よりも皮脂が多いですしライブで汗もかくので、スキンケアをしっかりすることが大事です。あとは、崩れにくいように下地を使った汗対策も欠かせません。

現場は「ヒゲとの戦い」

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ーーヴィジュアルメイクのあるあるエピソードがあれば教えてください。

柴田:やっぱりナチュラルなメイクとは違うので、すっぴんと完成形との差は大きいと思います。

あとは、皆さんそれぞれにこだわりを持っています。例えばアイシャドーを塗る時にブラシではなくチップを使ってください、という指示がある場合もありますね。

ーー男性の場合、ヒゲを隠すのが大変そうですが実際どうですか?

柴田:濃い方の場合は大変ですね。ヒゲが青いだけで、どんなにきれいにメイクしてもイメージが変わってしまうので、慎重に色を重ねて調整しています。ある意味ヒゲとの戦いです。

ヒゲ以外にも、夏はメイクが崩れやすいので乳液を塗った後に、余分な油分をティッシュでオフしてからファンデーションを塗っています。他には、目の下にお粉を乗せた後に、筆でさらにお粉を乗せるとアイメイクのよれが防げるんです。

これは、女性が普段メイクする時にも使える小技なので、ぜひ参考にしてください。

実際にメイクをしてもらいました!

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さて、ヴィジュアルメイクのなんたるかを教えていただいた後は、実際のメイクを見せていただくことに。

こちらが柴田さんのメイク道具一式。所狭しと並べられたアイテムで、様々な世界観が具現化されていきます。

おや?それは何に使うんですか?

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ーーその謎のフィルムは何に使うんですか?

柴田:これはクリアファイルをくりぬいたものなんですけど、ヘアスプレーをかける時に顔にかかってしまわないように使います。ハードスプレーを使うこともあるので、目に入ったり肌についたりしてはいけないので。

ーーその発想はありませんでした。でも、これは普段の生活でも真似できそうですね。

では、今回変身していただくモデルさんを紹介しましょう。

モデルさんも卒業生です

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柴田さんと同期生で、ヘアメイクアーティストコースの卒業生である中田(なかだ)吉彦さん。現在はヘアメイクアーティストとして活躍されています。

ロックなイメージとは程遠い好青年の中田さんですが、この後ご本人もびっくりな姿になるのです。

ちょっとだけよ…

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ビフォーアフターをちょっとだけ。どんな変身を遂げたのか、順を追ってご覧ください。

1. スキンケア

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まずは化粧水で潤いを与えます。この工程は、女性も同じですね。

2. 眉毛を整える

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自眉を生かしつつ、きれいに整えていきます。

「まさかこんな形でメイクする側、される側になるとは思わなかった」と柴田さんと中田さん。同期生の共演の始まりです。

3. 乳液でマッサージ

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乳液を塗りながらマッサージをしていきます。

ーーなんでマッサージするんですか?

柴田:顔のむくみを取るためにやっています。せっかくメイクをしても、むくみの有無で仕上がりが変わってしまうんです。まぶたのむくみも取ることで、アイメイクがきれいに仕上がります。

4. コンシーラー、ファンデーションを塗っていく

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乳液マッサージの後に下地を塗ったら、今度はコンシーラーとファンデーションを塗っていきます。

ーーヴィジュアル系メイクのイメージだと、割と色白な仕上がりをイメージしますが何かポイントはありますか?

柴田:私の場合は、少し暗めの色に調節しています。そうすると白浮きしないので。一番明るい色と一番暗い色のファンデーションを使って、その人に合った色に調節しているんです。

仕上げの粉は多めにはたくことがポイントですね。

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ちなみにヒゲ隠しの現場も見ることができました。

中田:今日ちゃんとヒゲ剃って来たんです。

柴田:あまりヒゲ濃くないね(笑)。

5. いよいよアイメイクに突入!

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ヴィジュアルメイクの真骨頂とも言えるアイメイク。眉毛、鼻筋を整えた後はジェルライナーからスタートします。その後、徐々にアイシャドーを乗せていくと…

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だんだんすっぴんから変身し始めました。今季はボルドーカラーが流行しているので、アイメイクに取り入れられています。

ーー季節ごとの流行カラーもあると思いますが、やはりそういったアイテムも取り入れるんでしょうか?

柴田:はい。春夏は明るいパステルカラー、秋冬はダークな色など、トレンドをさりげなく取り入れる事も大切にしているんです。

中田:カラコンとか入れた方がいいかな?僕、付け方わからないけど。

柴田:なにスイッチ入ってんのよ(笑)。

ーー中田さん、メイクで目覚めたようです…。

6. 完成までもう少し…ヘアメイク開始!

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顔のメイクがほぼ完成の状態までいったら、今度はヘアメイクです。

中田:僕、今日この後仕事だから手加減してね(笑)。

柴田:じゃあ、エモい感じにしましょう!シューッ…(スプレーの音)。

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逆毛を立てるだけでも、雰囲気がだいぶ変わります。

中田:いつも髪の毛適当だから、なんか不思議です。

ーーいつもどんなオーダーを受けることが多いですか?

柴田:最近は髪の毛が短い方も多く、どちらかというとK-POPよりなヘアスタイルが増えてきています。前髪を重めにしていたり、後ろを刈り上げていたり。やはり流行によって変わってきます。

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…顔つき、変わってません!?

7. 締めはリップ

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締めはリップ。鮮やかな赤系のリップと、ブラックのリップを混ぜていきます。

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真っ黒なリップを躊躇なく塗られていく中田さん…最終的にどんな仕上がりになるのでしょうか?

柴田:はい、完成です!

8. 完成!

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メイク後の中田さん。完全にヴィジュアル系バンドマンに変身しています!

…ジーザス。

出典Spotlight編集部

もう一度、元の姿をご覧ください。

出典Spotlight編集部

純粋そうな青年が…

出典Spotlight編集部

こんな変身を遂げました。メイクの力ってすごい…。

ヴィジュアル系メイクを間近で見て思ったこと…それはメイクの基礎がきちんとできていないと成立しないものであり、基礎ができた上での応用的な表現であると強く感じました。

ニッチな分野だと思われがちですが、高度なテクニックが必要ですし、その最先端で活躍する技術を会得していくのは、やはり並大抵なことではありません。

バンタンデザイン研究所では、入学を希望している方を対象に随時イベントを開催していますので、興味のある方はぜひ遊びに行ってみてください。

<取材/黒川沙織 横田由起 文/横田由起>

<今回ご協力いただいた柴田桃子さんプロフィール>
柴田桃子 2014年バンタンデザイン研究所ヘアメイク学部ヴィジュアルアーティストメイク学科卒業。フリーランスとして、Kra、FANTASISTA、歌ってみたの本など様々なアーティストのヘアメイクを手がける。

【告知】柴田さんが講師を担当するイベントが開催されます

2017年1月29日(日)に、ヴィジュアルメイクアーティストの柴田さんが講師を担当する体験イベント(参加無料)の開催を予定しています。

詳細は、後日バンタンデザイン研究所のHPにて公開されるので、チェックしてみてくださいね。

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