記事提供:日刊サイゾー

大阪市淀川区十三。梅田から阪急電車で5分ほどの街である。飲食店やキャバレーなどが立ち並ぶ歓楽街で、駅の南側にはラブホテル街がある。

僕はよく十三に飲みに行くことがあり、ぶらぶら歩いているうちに、気づけばそのラブホテル街に足を踏み入れていたりするのだが、中でもひときわ目立つのが「激安ホテル サンパチ」だ。

看板には「世界初 212号室限定 ロングタイム ご宿泊380円」とある。「サンパチ」だから380円。その理屈は理解するとして、380円で宿泊できるというのは、あまりにも安すぎる(※料金は、すべて税別)。

しかも、380円で宿泊できるのが「212号室」限定だというのも、裏に何か事情がありそうだ。もしかして、幽霊が出るとか!?

ということで、「激安ホテル サンパチ」に、その安さのワケを聞いてきた。

取材に応じてくれたのは、「激安ホテル サンパチ」の支配人・中村徹平さん。少しコワモテだが、話しだすと笑顔の優しい、穏やかな人だった。

――あの、380円で泊まれる部屋があるという看板を見たのですが、あれは本当なんでしょうか?

「本当です。オールタイム380円で、フリータイム、宿泊どれでも380円です」

ちなみに、「ショートタイム」は90分間の利用、「休憩」は3時間の利用、「フリータイム」は朝5時から深夜24時までの最大19時間、「宿泊」は20時から翌昼12時まで最大16時間、あるいは深夜1時から翌昼12時までの最大11時間となっており、利用したい時間に応じてユーザーが好きに選べるシステム。

つまり、「フリータイム」の時間帯で利用すれば、380円で最大19時間滞在できるというわけだ。

――安いですね!でも、なぜなんですか?

「やはり、いろいろなお客様にご利用いただきたい、という思いからですね。売り上げ的には赤字ですけど(笑)。お客様に喜んでもらえればいい、という方針なんですよ。380円の部屋狙いのお客様が、“空いてないから別の部屋にしよう”っていうことも、ほとんどないですからね(苦笑)。380円狙いの方は、たいてい380円の部屋だけが目的なんで。その代わり、おかげさまで名前は売れてます。十三では有名なほうだと思いますよ」

――ちなみに、なんでまた“380円”なんですか?

「当ホテルは2012年から営業しているんですが、もともと“サンパチ”という名前を付けた時から380円の部屋を作ろうと考えていたんです。おつまみも飲み物も全品280円の居酒屋さんがあって、それにヒントを得たんです」

――そんなところからヒントを得るなんて…。あの、212号室だけが380円だということなんですが、その理由は…?

「特に理由はありません。あまりほかと変わらない、平均的な部屋になっています」

――えっ!これといった理由はないんですか?何か、言えないような事情は…。

「よく言われるんですよ。『事故物件じゃないの?』とか。逆にそういうことがあったほうが、話題になっていいんちゃうかっていうぐらいで、心霊現象とかね。いっそ、何か出てほしいです。座敷わらしとか(笑)。ほかによく聞かれるのは『テレビがないんじゃないか?』とか『シャワーがないんじゃないか?』とか。ちょっと確かめてみますか?」

というわけで、実際に380円で借りられる212号室を見せてもらった。こちらが212号室のドア。思い切って開けてみると…。

ダブルベッドが奥に置かれており、その手前には革張りのソファ。

ベッドと反対側に大きなテレビが設置され、テレビ台を兼ねた棚に電子レンジや冷蔵庫、電気ポットが収納されている。スペース的に少しコンパクトに感じる部屋ではあるが、確かに別段変わったところはない。

「普通でしょ?びっくりするぐらい普通なんです」

お風呂は少し狭い感じがしたが、シャワーももちろんあった。

これより狭い部屋で、5,000円ぐらいするビジネスホテルを何回も利用した記憶がある。タオルや歯ブラシなどアメニティも一般的なホテル同様で、ドライヤーやカーラーなども、もちろん備え付けられている。

バストイレは別で、トイレは温水洗浄便座付き。どこまでも普通の部屋である。ドアに貼られた避難時用の案内板を見ると、212号室はほかの部屋よりほんの少しだけ狭いようだ。

さて今一度、中村さんにお話を聞いてみよう。

――本当に普通の部屋でした。これで380円となると、競争率がすごいんじゃないですか?

「はい、競争率はハンパないですよ。宿泊で利用される方もいれば、休憩で3時間という方もいるんで、空いているかどうかは、その時のタイミング次第なんですよ。部屋が空くまで待ちたいというお客さんもいるんですけど、それはご遠慮いだたいています。

――じゃあやはり、かなり運が良くないと利用できないですね。

「でも、サンパチのTwitterアカウント(大阪十三ラブホテル サンパチ)で『もうすぐ空きそう』とか『今空いてます』とか、書いてるんですよ。電話での空き状況の確認はお断りしているので、Twitterをマメに見てもらうのが212号室をご利用いただく近道かもしれません」

――なるほど、ホテルサンパチのTwitterフォローしておきます!ちなみに、こちらのホテルを利用できるのは、男女のカップルだけですか?

「いやいや、当ホテルのご利用は、お一人でもいいですし、男性同士でも女性同士でもいいですし、どなたでも可能です。ただ、212号室だけは、男女のカップル様でのご利用を推奨させていただいています。受付のパネルを見れば、212号室が空いてるかどうかわかるので、気軽に見に来てください」

――212号室を利用できた人は、やはりみなさん大喜びのリアクションで帰っていかれますか?

「そうですね。みなさま満足してくれていると思います。中には、380円だと知らずに利用される方もいるんですよ。以前、会計時に380円という価格を聞いて、フロントのスタッフが会計を間違ってると思ったのか、料金を置いてササッと逃げていく方がいました(笑)」

――まさか、正規の料金だとは思わなかったんでしょうね。212号室に限らず、全室ともフードが1品380円なんですね。スパゲティやカレー、ラーメンとか。

「そういうところまで徹底しているんです。『中途半端なことはしたくない、やるんだったらとことんやる』というのが弊社の方針ですから。部屋料金も、サンパチという名前で3,800円だったら、安いかもしれんけど、それでは普通だと。380円なら、誰にも真似できないだろうという。まあ、いい意味で、ぶっ飛んでます(笑)」

――そのほかの部屋も、3,800円(平日の深夜1時から翌昼12時まで)で宿泊できるし、212号室を除いても十分安い気がしますけど、やはりそのぶっ飛び具合が素晴らしいですね。ちなみに、212号室のほかに、変わったお部屋はあるんですか?

「変わった部屋…ありますよ。お客様のリクエストから生まれた部屋が…。気になります?」

――気になります!

「見てみますか!」

というわけで中村さんが案内してくれたのが、401号室だ。ドアを開けると、先ほどの212号室とは打って変わって、シックなムードの部屋である。壁は赤、柱は黒で統一され、ベッドの脇には赤いロープで縛られた裸像が置かれている。

――これは…!

「SMプレイルームです(笑)。実は十三はSM嬢さんの巣なんです。SM嬢さんが大勢働かれていて、この部屋はSM嬢さんに監修してもらって作った部屋なんです。ほら、これ」

黒い梁に、何カ所もフックのような金具が取り付けられている。

「このフックは初心者用で、プロはもう直接、梁ですわ。すごく丈夫な梁なんです」

どのように利用するのかは想像するしかないが、とにかく頑丈な梁だそうだ。

「しかもこの部屋、SMを理解した一級建築士が設計した、完璧な部屋なんです。完成するまでに、近所のSM嬢さん20人ぐらいに見に来てもらって意見をもらいまして」

――「SMを理解した一級建築士」、なかなか耳に馴染みのないフレーズです。

「お客様がこんな部屋があったらなと思う部屋を提供したいというのが当社の方針です!」

中村さんによれば、「激安ホテルサンパチ」には401号室を含め、3つの“プレイルーム”が存在し、それぞれ、その道の方々に愛用されているという。

思った以上にいろいろと奥深かった「激安ホテルサンパチ」、大阪・十三にお越しの際は、ぜひのぞいてみてはいかがでしょうか?

「激安ホテルサンパチ」

所在地:大阪市淀川区十三本町1‐18‐21

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