記事提供:CIRCL

眠る前になると喉が渇くので、水やお茶を飲むのが習慣になっているという人も多い。お風呂に入ったので喉が渇くのだろうと思っていたが、どうもそれだけではないようだ。

眠る前に喉が渇くのは、体に水分が不足したので水分補給するという理由ではなかった。睡眠中に体の水分が不足するのを予防するために、脳が水分を摂取させていたのだ。

寝る前になると喉が渇く

カナダのマギル大学医療センターで、脳の修復と総合神経科学を研究しているチャールズ・ボーク氏らは、睡眠前の喉の渇きと脳の神経システムに関する研究を科学雑誌ネイチャーのオンラインで発表した。

ボーク氏らの研究によると、睡眠前に喉が渇き水を飲みたくなるのは、睡眠前に脳の体内時計が喉が渇いているように感じさせるためだ、ということが明らかになった。

睡眠前に実際に水分不足に陥っているためではなく、睡眠中に水分が不足するのを防ぐために、脳が睡眠前に喉の渇きを感じる神経を刺激して水を飲むように仕向けているようだ。

げっ歯類たちが睡眠前に水分を摂取するのはなぜ?

科学者たちはこれまでにも、哺乳類のリスやネズミ、ヤマアラシなどのげっ歯類は、睡眠前の2時間の間は、水分摂取量が急増することを知っていた。

ボーク氏らの研究では、この行動は脱水などの生理的な理由によって引き起こされているのではないことを、明らかにした。それならば彼らは、なぜ水を飲むのだろうか?

マウスの睡眠前に水の摂取を制限してみた結果は…

その理由を調べるため、マウスの睡眠前に水の摂取を制限してみた結果、睡眠から目覚める頃になると、マウスがかなりの脱水症状を起こすことが分かった。

睡眠前に水分をたくさん摂取するという行動は、健康に必要な水分量を維持して、睡眠中に脱水症状を起こさないための予見行動だったのだ。

喉の渇きのメカニズムを解明

次に研究者たちは、起きているときに喉の渇き反応を起こすメカニズムを探した。脳には、喉の渇きのセンサーとしての役割を果たしているニューロンがある。そのニューロンと概日周期を制御する脳の領域が、通信し合うのではないかと研究チームは考えた。

それには、脳の部位であるSCN(視交叉上核)が生成する神経ペプチドのバソプレシンが、重要な役割を果たしていた。脳の体内時計を刺激した結果、その部位でバソプレシンが放出されていることが確かめられたのだ(※1)。

就寝中のために水分をしっかり補給しよう

この研究はマウスでの研究だが、ヒトの睡眠前の喉の渇きの理由を説明できる、と研究者らは考えている。この発見が、時差ぼけや体内時計の調整に応用できる可能性もあるようだ。

そして何よりも、就寝前に喉が渇くのは気のせいではないことが、はっきりした。水が飲みたくなるのは、脳からの睡眠中の脱水を防止するためのシグナルだったのだ。

人は、就寝中には約コップ1杯の汗をかくとも言われている。就寝前には、就寝中の脱水防止のためにも、忘れずに水分をしっかり摂取するようにしよう。

※1:MNT

出典:nature(http://www.nature.com/nature/journal/v537/n7622/full/nature19756.html)

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