記事提供:日刊SPA!

「学校給食の中止」は本当に正しい判断だったのか――。

野菜の価格が高騰するなか、三重県鈴鹿市の教育委員会は予算内で給食の食材を確保するのが難しいとして、12月20日と来年1月12日の合わせて2日間、市立のすべての小学校と幼稚園で給食を中止すると通知。

しかし、末松則子市長は7日の定例記者会見で、教育委員会の方針を撤回する考えを示した。中止への批判が多いことに加え、市教委が市長に相談せず中止を決めていたことが理由だという。

鈴鹿市の小学校と幼稚園では、野菜価格の高騰で予算が赤字になるところが多く出ており、教育委員会によると、給食を中止する日に弁当を持参してもらうか、午前中で授業を終えるかは、学校と園が判断するというものだった。

「給食を中止する日に弁当を持参してもらう」と言っても、共働きやひとり親の世帯が増えている現代では、弁当をつくる余裕がない家庭があることも容易に想像がつく。「給食だけが唯一の食事」という家庭が存在しているのも事実だ。

「給食のない夏休み、体重の減る子がいる」

文部科学省の「平成22年度全国学力・学習状況調査」を見ると、毎日朝食を摂る児童生徒ほど、学力調査の得点が高い傾向があることがわかる。

脳で使われているエネルギーはブドウ糖から補充されるが、肝臓に蓄えられているブドウ糖は約12時間分しかなく、朝食でブドウ糖をはじめとする様々な栄養素を補給して、午前中しっかりと活動できる状態をつくることが大切だと補足している。

一方で、厚生労働省が発表した2012年の「子どもの相対的貧困率」は過去最悪の16.3%で、6人に1人の子どもが「貧困」状態だ。

その現状を伝える一例として、家庭で朝食を食べられず、始業前から給食の残りの牛乳とパンを求めて保健室に行列をつくる子どもの姿が『子どもの貧困連鎖』(新潮社)に描かれている。

大阪府内の公立小学校では、2008年から保健室で朝食を出すようになった。

「“給食のない夏休み、体重の減る子がいる。”と帯に記された『子どもの貧困白書』(明石書店)が発売されたのは2009年で、当時と比べても1日の主な栄養源が学校の給食だけ、という子どもたちが少しずつ増えています。給食というものによってどの子も必要なエネルギーと栄養素が得ることができる、これをまず大切にする給食の仕組みが崩壊してしまっては、将来も貧困のスパイラルが繰り返されてしまうのではないか」(関西在住の公立小学校の教師、40代・女性)

また、小学校と幼稚園での給食中止に対して、自身が母子家庭で育ったという関西在住の公立小学校の教師(20代・男性)も、心配の声を漏らす。

「給食を中止する日には弁当を持参してもらうと言っても、すべての家庭に弁当を準備する余裕があるわけではない。実際に、私の母親は朝から晩まで働いていたため、早起きをしてまで弁当を作る余裕はなく、いつも給食に助けられていた。

もちろん時間的な余裕だけでなく、経済的な余裕があるのかどうか。戦前・戦後の『欠食児童』をなくす目的で始まった学校給食なのに、この時代に再び『欠食児童』の存在を増やしてしまうことになるのではないか」

給食費を「払わない」保護者と「払えない」保護者

さらに、「予算内で給食の食材を確保するのが難しい」という鈴鹿市教育委員会の判断の背景には、一部の保護者による給食費未納の問題が関係しているとも考えられる。

裕福な家庭であっても給食費を「払わない」のか、貧困家庭でやむを得ず給食費を「払えない」のか、その線引きはなかなか難しいだろう。

昨年6月には、学校給食費を「払えるのに払わない」とみられる未納が相次ぎ、埼玉県北本市立の中学校4校が、3か月未納が続いた場合は給食を提供しないことを決めた。

未納額が膨らんだことによる苦肉の策だが、各家庭に通知したところ、該当する保護者43人のうち40人の保護者が納付の意思を示したという報道があった。

こうした、給食費を「払えるのに払わない」保護者が多く存在することは問題だが、「払えない」保護者の未納によって子どもの給食が停止されてしまっては、周囲の子どもからいじめに遭う可能性があることも否めない。

今回は撤回の考えが示された。学校給食が最後の砦になっている子どもがいる、ということを決して忘れてはいけないだろう。

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