物議を醸した、多摩美術大学の「葬儀パフォーマンス」

11月6日、多摩美術大学の学園祭でゲリラ的に行われた、デザイナー佐野研二郎氏の葬儀と称するパフォーマンス。その様子がTwitterやYoutubeを中心にネットで拡散され、その行為が「不謹慎」「アートではない」と批判を呼びました。

佐野研二郎さんと言えば、数々の代表作をもつ人気デザイナーであり、2020年東京五輪・パラリンピック公式エンブレムのデザインを担当するも、盗作疑惑から白紙撤回となったことで連日メディアを賑わせていた人物です。

この佐野研二郎さんと、多摩美術大学には実は関係性があったのです。

多摩美術大学の教授も務めていた佐野さん

出典 http://www.tamabi.ac.jp

佐野さん自身も多摩美術大学を卒業しており、2014年には同大学に新設された総合デザイン学科の教授に就任しました。本職のデザインの仕事をしながら、大学では特別講義などを行っていたようですが、オリンピックエンブレムの騒動後は大学を休職しています。

しかし、当然ですが今も佐野さんは生きています。佐野さんが所属するデザイン事務所も、メディアの取材に「事実関係を把握しておらず、コメントできない」と応えており、今回のパフォーマンスは本人の許諾なく行われたもののようです。

情報番組のコメンテーターの間でも賛否両論、意見が割れる

8日、TBS系情報番組「白熱ライブ ビビット」で、このニュースが取り上げられ、番組MCである真矢みきさんを始め、コメンテーターとして出演しているタレント達が、自身の意見を語りました。そこで展開されたのは、一方的な批判ではなく、それぞれ出演者によって異なる視点から考えられたものでした。

千原ジュニア「アートとしてクオリティが低い」

レギュラー出演している芸人・千原ジュニアさんは、自身もアート番組に出演している立場から「アートとしてのクオリティはだいぶ低い」とバッサリ切り捨てました。そして、風刺にすらなっていないと持論を述べています。

ネガティブなことをネガティブに表現したら風刺にならないと思うんですよ。ネガティブなことをポジティブにやるから笑いになったり風刺になるわけで。だからこういう(ネットの意見の)『風刺こそアート』っていうのはちょっと分からないですね。

出典 http://www.nikkansports.com

真矢みき「センスのいい想像をしてほしい」

番組のMCを務める女優・真矢みきさんは、風刺パフォーマンスを行った学生の気持ちを慮りながらも、「美大生なら想像力を働かせてほしい」と苦言を呈しました。

多摩美イコール佐野さんみたいなイメージになってきたって彼らは思ってるから、風刺画ならぬ風刺パフォーマンスをしたいんだと思うんですけど、彼らが一番才能があるのは、想像力でしょ。人より長けてるから美大に行くんでしょ。だったらセンスのいい想像をしてほしいですよね。

生きてるものを、ああやって葬式をだすっていうのは、本当に一番ひどい非常識だと思います。

出典TBS「白熱ライブ ビビット」2016年11月8日放送分より

倉田真由美「葬式ごっこなんて、イジメの典型」

番組のコメンテーターを務める漫画家・倉田真由美さんは、本人不在のなか葬式を模したパフォーマンスをすることは「イジメの典型」であると批判しました。

学校内のイジメで、いじめられてる子の机の上にお花を置いて葬式ごっこみたいなことってわりとよくある、イジメの典型ですよね。だから、やられた側の気持ちを考えてなさすぎるし。

出典TBS「白熱ライブ ビビット」2016年11月8日放送分

テリー伊藤「大学って治外法権で、自由でいいと思う」

コメンテーターを務める演出家・テリー伊藤さんは「遺影を本人の写真ではなく、(話題になった)エンブレムにすればよかった」とフォローをし、大学という特殊な空間で起こったパフォーマンスについて「大学の自由さ」を支持しました。

学校の構内って、治外法権でいいと思うんですよ。例えば、政治闘争をしても警察官は、そこに入れないんですよね。やっぱり学生の主張でもあるわけで。

これ、インターネットで流されてるでしょ。流されてなかったら、例えば昔だったら、学内でこれやってたんなら、僕は成立してると思う。学校って実はそういう自由なところもあっていいと思うんです。

出典TBS「白熱ライブ ビビット」2016年11月8日放送分

自身も学生時代には、学生運動を行っていた経験から「大学の自治」を支持したテリーさん。一方で、多摩美術大学の教師も務める佐野研二郎さんへの批判も飛び出しました。

佐野さんが(五輪の)トラブルのときに、学生たちにちゃんと説明していたのか。

ここも実は大きなことで。今現在も(大学講師は)休職中であられるんですけども、学校の先生もやっているわけですよね。そうなると名前がある以上、ちゃんと学生に説明責任が本当はすべきだったと思う。彼はそのあと沈黙を守っているんですよ。

それは、学生さんから見れば、冗談じゃないよという気持ちもどっかにあると思うので。

出典TBS「白熱ライブ ビビット」2016年11月8日放送分

パックン「アメリカの大学生は、これより何千倍えげつない」

コメンテーターの芸人・パックンは「もちろん日本人感覚でこれが不謹慎っていうのはよく分かります。」としたうえで、大学生と芸術家は「別のくくりにある」と、アメリカでの大学事情を語りました。

少なくともアメリカ人の大学生がやっていることは、これよりも何千倍もえげつない。これはアメリカでいうとすごいかわいいものです。

アメリカでは、基本的に大学生は社会人じゃない、しがらみも常識もないというふうに見られています。さらに芸術家は価値観のギリギリのところを攻めるものですから、僕らから見て『品がないな、センスが悪いな』と思っても、それをやるし、自由はあるんですよ。それに対して僕らも批判する自由がある。それが言論、議論の生まれるところで、すごく大事だとされます。

出典TBS「白熱ライブ ビビット」2016年11月8日放送分

Twitterでも賛否両論…

スタジオでも意見が分かれていたこのニュース。テレビを見ていた視聴者も、人によって受け止め方は様々なようです。出演者のコメントを支持する人、「違う!」と反論する人、いろいろな意見がTwitterではつぶやかれていました。

大学には無許可で行われたパフォーマンスだった

袈裟を着た坊主姿の人物や、黒服の集団、棺に遺影など、周到に準備されたパフォーマンスであることがうかがえますが、学園祭スタッフのコメントによると事前登録のないゲリラパフォーマンスであったようです。

学園祭の実行委員は日刊スポーツの電話取材に「事前登録のないパフォーマンスだったので、別の実行委員が『やめてください』と止めに入った。事実関係の詳細は、大学と協力して確認している」と話した。

出典 http://www.nikkansports.com

学園祭スタッフですらも把握していなかったゲリラパフォーマンス。大学関係者も、全く把握していなかった事態であると思われます。

実行委から連絡を受けた同大の担当者は、「このようなことが起きて残念。学生が関わっているか調べ、対応を考えたい」と話している。

出典 http://www.yomiuri.co.jp

多摩美の学園祭中に行われたパフォーマンスですが、どこまで多摩美大生が関与しているのかもまだ分かっておらず、大学側も事実の把握に動いていることがうかがえます。

パフォーマンス中に読み上げられた弔辞では

佐野研二郎先生を殺したのは、
 紛れもなく、日本の社会であり、
 2ちゃんねるであり、デザイン業界であり、
 私たち本人なのです。」

と語っていた、この集団。

表現の自由とは何なのか。まだまだ議論は続いていきそうです。

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