同じ日本に住んでいても、エリアによって“ジョーシキ”はさまざま。一部の地域では当たり前のことが、他の地域ではまったく知られていないケースもあります。そんな地域限定のジョーシキをご紹介する、その名も「地域のジョーシキ!ヒジョーシキ?」。今回は、とある地域の一風変わった「結婚式の風習」をご紹介します。

大人になると意識し始める結婚。友人・同僚を呼んで、愛する人と一生を誓い合う結婚式は、きっと忘れられないイベントになるでしょう。その中でも、新潟県十日町市松之山町で行われる結婚式には、「婿投げ」という伝統行事があるんです。

崖から婿を落とす…!?

果たして「婿投げ」とは一体なんなのか。Twitterには、こんな声がありました。

雪の谷に婿を投げる…?

えっ、崖から…?

何だか身の危険を心配してしまうこの「婿投げ」という行事。実際、読んで字のごとく
婿を急な崖から投げるのが特徴です。

お婿さんにとってはハラハラドキドキ

「急な崖」といっても、あくまでお祭りなのだから、それほど急ではないだろうと思うでしょう。いえいえ、そんなことはありません。婿を落とす崖は、高さ5メートルほどはあろうかというもの。

ただ、過度な心配は無用です。5メートル下に落とすといっても、何もない地面にドーンと叩きつけるわけではありません。この十日町は、雪の多い豪雪地帯で、さらに婿投げが行われるのは1月中旬の小正月。まさに雪が一番降り積もっている時期であり、崖下は新雪が広がり、フカフカのクッションの役目を果たします。

雪のクッションがあるとはいえ、なかなかスリルのありそうな婿投げ。どのように行われるのか説明しましょう。

まず、ホラ貝で開始の合図が鳴ると、対象の婿は薬師堂(薬師如来を本尊とする仏堂の呼称)まで担がれて登っていきます。その後、頂上までたどり着くと、婿は合図と共に投げられ、雪の斜面を転がり落ちます。そして、下で見守っているお嫁さんのところまで降りる、という流れです。

婿投げの由来は、村の若者たちの「腹いせ」だった?

前年に地区女性が結婚した場合、翌年の小正月に夫婦で松之山に帰省して、この行事に参加するというこの婿投げ。

今となっては当たり前のように行われていますが、どのようにして、この地域に婿投げが伝わってきたのでしょうか。一説には、略奪結婚の名残で、よそ者に村娘をとられたという地元の若者の腹いせが、形を変えて婿投げになったと考えられています。

婿投げの後は炭で顔を真っ黒に?

婿投げは、地域の人々にとっては、まさに小正月の風物詩。実は、婿投げが行われる日の松之山町は、もうひとつ変わった伝統行事を行います。それが「墨(すみ)塗り」です。

みなさんは「どんど焼き」という行事を知っているでしょうか。だるまや門松、正月飾りをやぐらにくくりつけて燃やし、大きな火柱が立つ様を見ながら、新年を迎えるというものです。

この行事はいろいろな地域で行われており、もちろん松之山町でも開催されます。ただ、他と違う習慣がここにはあります。どんど焼きによって出た灰を集め雪と混ぜると、それを近くにいる人たちの顔に塗りつけるのです。

ここでは、新郎新婦などの指定はありません。とにかく近くにいる人が誰彼かまわず塗りつけるので、みんな顔が真っ黒。墨塗りは、なんと約600年前から伝わっており、「無病息災」と「家業繁栄」を祈る風習となっています。

新郎新婦にとってスリル満点のイベントであり、地域の人たちからの手荒い祝福でもある「婿投げ」。そして、地域住民がみんなで笑いながら顔を真っ黒に塗る「墨塗り」。松之山町の小正月は、こんな独特のイベントで彩られています。こんなイベントが、地域のつながりを深めていくのかもしれませんね。

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