記事提供:LITALICO 発達ナビ

1学期の終わりから、毎朝幼稚園へ行くのを泣いて嫌がるようになった息子。その理由は、発達障害の特性からくるものでした。

年長に進級した息子。間もなく登園を渋るようになり…

6歳の息子にはADHDの診断が出ています。これまでは毎日元気に幼稚園に通っていたのですが、登園を渋り出したのは進級後、しばらくしてからのことでした。

幼稚園に行く時間になると私にしがみつき、「ママと一緒にいたい」と泣くようになったのです。1学期の間は、なんとかなだめて登園させたり、時々休ませたりすることが続きました。

「担任の先生が怖い」。それが、息子が登園を渋っている理由でした。

何度か担任の先生とお話しをしましたが、「息子さんを特別きつく叱ったりはしていません」「むしろよくできる方なので叱る原因がありません」という回答でした。

先生とあまり相性が良くないのかな?合わない人と過ごすのも人生経験、そこから何かを学べればいいかな?と思い、息子にもそう言って聞かせましたが、「怒られるかもしれないから行きたくない」と、相変わらず登園渋りは続くのでした。

息子の様子を見に授業参観へ。そこで見えたのは、家庭の方針に応じて対応を変える先生の姿だった

そんな中、幼稚園の授業参観がありました。私は息子の登園渋りの原因を探ろうと、先生とのやりとりを観察することに。

息子は先生の話を一語一句聞き逃すまいと、必死でお話しを聞き、うなずき、返事をしています。

工作の課題を与えられると、自分の行動が間違っていないか必死に周囲のお友だちを見回し、「このやり方で合っている」と確信すると、遅れないように必死に作業を行っていました。

失敗を極端に恐れる、という特性を持っている息子らしい行動だな…と思いながらその様子を眺めていました。

一方、行動がゆっくりなお友だちもクラスにはいて、先生は彼らに声をかけていました。

「いつまでやってるの!?もうみんな終わってるよ!」「早く〇〇しましょう!みんなが待ってくれてるでしょ!」「まだこんなところをやっているの?間に合わないよ!」

そのお友だちのご両親は、「みんなと同じ速度で行動ができるよう、きちんと躾けてほしい」という方針だそうで、事あるごとに先生から注意を受けるのです。

そのお友だちと席が近かった息子は、先生の言葉をずっと聞いていました。私はこの様子を見た瞬間、息子がなぜ「先生が怖い」というのかがわかりました。

お友達が怒られるたびに苦しんでいた息子

発達障害を抱える人の中には、他人との境界が曖昧なため、知らない人が怒られていても、自分が怒られているかのように恐怖を感じ、悲しみ、怒りを覚える特性を持つ人がいます。

わが家の娘や息子も、そのタイプに当てはまります。進級してからずっと、お友だちが怒られる姿を見て、自分が怒られているかのように受け止めていたのです。息子が登園を渋る理由が腑に落ちました。

話を聞いてみると、頭では「自分が怒られているのではない」とわかっているようですが、「次は自分が怒られるかも知れない」「早くしないと怒られる」という恐怖から、必死に気を張って過ごしていたのです。

一日中注意を受けているお友だち、それを隣で聞いている息子…私が想像するよりも、うんと苦しかったのかもしれません。

私は息子の登園渋りの原因を、担任の先生にお伝えしました。

その後、そのお友だちと席を離してもらうなどの策を講じてもらいましたが、息子の登園渋りがなくなることはありませんでした。いろんな習いごとに挑戦し、その中でたくさん怖い先生にも出会ってきましたが、これほどの拒絶は初めてでした。

園をやめることを決意した息子。怒られることがそんなに嫌だった?

2学期に入ると、家を出る足が動かなくなり、ついに息子は幼稚園へ行くのをやめました。毎日家で穏やかに過ごしている息子と、時々幼稚園の話をします。

私「家にいたって、ママにたくさん怒られるのに怖くないの?

息子「そりゃ怖いよ!ママは鬼みたいだもんね~!」

私「幼稚園の先生よりママの方が怖いんじゃない?」

息子「う~ん、ママは僕のことを大好きだって知ってるからいいの。僕のために怒ってくれてるんでしょ?幼稚園の先生はそうじゃなかった。あのクラスにいるのは厳しかった。2度と行かない」

きちんと言葉にはできませんが、息子なりにいろいろと感じていたのでしょう。もし、進級後からきちんと先生との信頼関係が築けていたら、「この先生が言うのなら」と思えていたら、事態は変わったのかもしれません。

レールから外れることは怖い。それでも私が子どもたちの笑顔を大切にする理由

現在、息子はまだ幼稚園に籍を置いています。

幼稚園との交渉はまだ続いていて、先生方はなんとか息子が以前のように幼稚園に通えるようにとあれこれ策を講じ、「今幼稚園を辞めてしまったら、この先どうするんですか!?小学校は?中学校は?」と心配して下さっています。

進学、就職…そのレールから外れずに、何とか耐えていくこと。それが正しい道なんだと、園の先生方は口を揃えておっしゃいます。確かにそのレールから外れた先に何があるのか、私にもわかりませんし、わからないから怖い。

それでも、子どもたちの心を殺してまでもレールにしがみつくことは、私にはできませんでした。先生に請われ、渋る息子を1度だけ幼稚園に連れて行ったことがあります。

笑顔で駆け寄ってきてくれるたくさんのお友だちを眺めていると、この子たちのように息子も幼稚園生活を満喫できたら、どんなに幸せだっただろうと思います。

それでも、教室の片隅に目を向けると無表情で佇んでいるお友だちもいて、息子もきっとこんな風に過ごしていたんだろうと胸を締め付けられる思いがしました。息子は黙って私にしがみつき、俯いたまま顔をあげようとしませんでした。

親の理想と子どもの現実。うまく行かないことだらけ。

それでもきっと、心地よく過ごせる場所が見つかるはず。合わない場所から離れるのは悪いことではない。

笑って過ごせる場所を探していけばいい。それが“自分らしく生きる”ということなんだよ、そう信じて、子どもの笑顔を見守りながら前に進んで行きたいと思います。

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