厳戒態勢の渋谷スクランブル交差点から少し離れた道玄坂付近。ちちくりあいながら歩くカップルの後ろを歩く、うつむきがちな女性。

あの謎の微笑み、あの額縁、あれは…モナリザ?いや…近づいてみると、名画モナリザの顔の部分をくりぬいて自分の顔を出し、ひとりハロウィンをお楽しみ中の朝井麻由美さんだった。

いつもはこのように自ら三脚を立て撮影しているそうだ。

朝井さんは、「ぼっち」、「ソロ活動」「ひとり〇〇」…要するに“ひとりで活動すること”の分野で様々なことを試みている。

今年4月に『「ぼっち」の歩き方 魅惑のデートスポット編』(朝井麻由美/PHP研究所)を出版。現在も情報サイトでソロ活動の連載を続けている。

朝井さんはひとりっ子だ。もともとひとりが好きだったけれど、高校生までは周りの友人にあわせてグループ活動をしていたが、常に仲間の中にいる自分には違和感があったという。

大学生になり、“クラス”という名の拘束を解かれると、朝井さんは初めて“ひとりラーメン店”を決行。学校の近くのお店だった。

「ひとり行動という、自分の中にあった“選択肢”をとるようになっただけ」と語り口はいたってクール。朝井さんにとって「ぼっち」への船出は極めて自然な流れだったようだ。

環境が整い「ぼっち」にGO

そんな朝井さんにも、過去には心の葛藤があった。

「ぼっち=みじめ、みんなの中で浮いてしまうこと=いけないこと」という図式が頭に存在していたからだ。それから、本人の意志とは別に、「ぼっち」が許される環境が整っているかということも重要と、朝井さんは言う。

高校→常にクラス単位で行動→ひとり行動がやりにくい→浮いてしまう

大学→授業ごとにメンバーが変わる→ひとり行動がやりやすい

加えて、これは推測だが、朝井さんが通った大学が、帰国子女を多数受け入れている国際的な環境だったということも「ぼっち」がやりやすくなったことと関係しているかもしれない。

「私は海外で生活したことがないのでイメージでしか言えませんが、日本人はグループ行動をしがちで、海外の人に比べると同調圧力は強いかもしれませんね」

「ぼっち」デビューにはSNS活用を

これから「ぼっち」をしたい人、やってみたいけれど最初の一歩が踏み出せない人もいることだろう。そんな未来の「ぼっち」志願者たちに向けて、朝井さんからアドバイスをもらった。

「そもそも、『ぼっち』をしてみたいのにできない人は、“やってみたい”という気持ちより“みじめだ、恥ずかしい”という気持ちが勝っていて踏み込めないんだと思います。どうしても好きで、たったひとりでもやりたい!と強く思う気持ちが勝れば、やるんですよ」

例えば、某「夢の国」テーマパークが死ぬほど好きな人たちは、誰に何と言われようと全く気にせず、ひとりでも「夢の国」に行く。

そして、遊ぶ。彼女たちの“好きだからひとりでも行きたい!楽しみたい!”の激しい衝動は“恥ずかしい”を完全に凌駕しているのだ。

「そこまでドを超えて好きなものがなかったり、『ぼっち』をするのが不安な人は、ぜひSNSの力を借りてほしい。『ひとり〇〇、なう』って、みんなつぶやくじゃないですか。あれはどうしてできるかというと、そのつぶやきに対して誰かがリツイートやリプライでツッコんでくれるからでしょう。もしそれがなかったら、“ボケ”てるのに“ツッコミ”がなく、ひとりで滑稽なことして“ボケっぱなし”で恥ずかしい…っていうことになってしまうんです」

「ぼっち」を阻む3つの“壁”とは?

本来は複数で行うことをひとりでやろうとすると、いろいろな“壁”にでくわす。朝井さんによると「ぼっち」の“壁”は3つあるという。

(1)「物理の壁」→大がかりな道具が必要な場合、ひとりで持ち運ぶのが困難である。ひとりバーベキューなど。
(2)「金銭の壁」→通常は複数人で負担する経済的負担がひとりにのしかかる。
(3)「技術の壁」→慣れていない、専門的な知識がないことにより技術が未熟である(たとえばバーベキューの火おこしなど)。

「ぼっち」のバリアフリー化をめざして

昨今は、需要の拡大もあり、ひとり行動がメジャーになりつつある。世の中は「ぼっち」を受け入れつつあるのか?朝井さんに聞いてみた。

「ソロ活の連載を始めたときに、自分の行動はマイノリティだと思っていました。でも、記事に対してかなりの反響があったんです。ひとり行動に興味があるのに、みんな言わなかっただけじゃん!って思いました。これからはもっと場を整えてもらって“「ぼっち」のバリアフリー化”が進むとよいと思います。実は、去年から“ひとりもちつき”をやりたいと言っているのですが、杵と臼のレンタル料金が高額で、なかなか実現が難しいです」

目の前に立ちはだかる“壁”にもめげず、さらに「ぼっち」道を究めようとする朝井さん。来年のお正月には“ひとりもちつき”をぜひ実現してほしい。そしてこれからもずっと、挑み続ける「ぼっち」の輝ける星でいてください。

※ご通行中のみなさんの妨げにならないよう、今回は人通りの少ない場所で「ぼっち」活動を実施しました。

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