メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者・吉田武さんが、現職の交通機動隊員Sさんに生の声を聞く人気シリーズ。

今回は、自転車泥棒の話題を中心に、無灯火運転の危険性や、自転車窃盗の特徴、さらには、意外にやってる人が多い自転車の「トンデモ」防犯対策に至るまで、現役警官だけが知っているあれやこれを思う存分語ってもらっています。

警察官はなぜ無灯火の自転車ばかり職務質問するのか?

吉田「バイクやクルマ以外でも自転車乗りに対しても待ち伏せしてますが、あれって時間を無駄にしているだけのような気がするんですけど、警官の職務としてあれでいいんですか?」

Sさん「それって自転車乗りの職質に対してか?」

吉田「ええ。僕は幸い自転車は乗らないんですが、特に夜なんですけども信号のある交差点の脇で待ち構えていて、警官が2人して自転車乗りの人を囲むように職質している姿がどうしても腑に落ちないんです」

Sさん「夜…特に23時以降かな。駅周辺から自転車を盗難して帰宅する者に対して網を張っているんだよ」

吉田「それっていわゆる待ち伏せと一緒じゃないですか。待ち伏せする暇があったらもっと別のことに職務を費やしてもらいたいですよ」

Sさん自転車の窃盗は微罪ではあるが、特に金曜土曜の夜なんかには多々発生するんだよな。飲みに行っての帰り際に勢いで自転車を盗む者がいたり、コンビニの買い物客が止めている間に盗む者もいたり、酒飲んでいると気が大きくなって微罪と分かっているからなのか知らないが鍵が掛かってないのを確認したらそのまま乗っていってしまうケースが多い。俺が警らしていた時のことだけど、今もそんなに変わらないと思う」

吉田実際に盗難自転車乗りは捕獲できるもんなんですか?

盗難チャリは1ヶ月に何台捕まるか?警官が明かす驚きの数字

Sさん「これがまた難しくてな、盗んだ自転車を乗っているヤツは周囲を警戒しながら走っているもんだから、警官の姿を見たら途中で横道へ移動したりと小賢しいわけよ」

吉田「そういう時は当然見逃さないんすよね?」

Sさん「怪しい自転車の運転手を発見したと無線使って応援寄越したり、もちろん俺らだけで追いかけたりもする」

吉田「で、捕まえられるもんなんですかね?」

Sさん「正直話すと…逃げられることが結構多いな。怪しい自転車乗りと俺ら判断なだけで追走するんで捕まえられなくても仕方がない。実際盗難自転車じゃなかったりする可能性もあるし、その辺は臨機応変に(苦笑)」

吉田「うーん、なんかハッキリしない回答な気もしてきましたが、結局のところ自転車泥棒はそう簡単に捕まえられないってことでいいんですよね?」

Sさん場所によりけりだよ。俺が警らしてた管轄は全然捕まえられない…っていうよりも盗難自転車を乗っている運転手がいなかっただけだな。どこのエリアかは言えないけど、深夜の職質で1ヶ月に30件以上の盗難自転車を捕まえたって話を聞いた」

吉田「それって多いんですか?少ないんですか?」

Sさん多いね。1日1件自転車泥棒を捕まえている計算になるだろ。それを考えるとかなり多いはず。意外に繁華街での盗難よりも、住宅街への帰宅時に盗んだ自転車で帰るケースが多いから待ち伏せ職質ではなく、無灯火で走っている自転車を呼び止めようとしたら逃走応援呼んで捕まえたら盗難自転車だったっていうことが何回かあったかな」

吉田「やっぱり夜の無灯火は徹底的にうるさく注意するもんなんですね。クルマ運転していると正面から走ってくる自転車が無灯火だと気づきにくいこともありますから、対自動車向けに無灯火の取り締まりが厳しいとか?」

Sさん「自転車乗ってる人たちは無灯火で何が悪いって感覚が多いんだけどさ、今吉田が言ったように自動車から発見されにくいわけね。特に夜の無灯火は。自転車のリアフェンダーに必ず装着しなきゃいけない反射板がない自転車も積極的に職質対応するし、自転車だからって気楽に運転している人には厳重注意することもあるんだよ。リアフェンダーの反射板がない自転車も結構あってさ、夜に後ろからクルマが接近した場合、気づかれなくて接触するケースも意外と多い」

吉田「そういう場合でもクルマのほうが一方的に悪くなって前方不注意になるんですよね?」

Sさん「ああ、そうだな。自転車の整備不良なのに誰もが納得行かないところであるが…」

意外とあるある?自転車のトンデモ防犯対策

吉田「Sさんが警らしていた頃の自転車窃盗の特徴ってどんな感じでしたか?」

Sさん「俺ん時は、パチンコ屋の前に止めて置いて盗難の被害届を出す者や、ゲームセンターのところから盗まれたと連絡が入って届け出を出す人が結構いたね。盛り場などの繁華街で盗られる時の特徴はさ、大抵自転車に鍵をかけてないケースが多かった。持ち主に聞くと鍵かけたかかけてないかうろ覚えだったりするので、持ち主側にも不用心な問題があるよね。ああいった繁華街だと簡単に自転車を盗む輩が多いので、防犯対策にサドルを最初から外して駐輪する者もいたっけなぁ

吉田「え?サドルってあの自転車の椅子部分ですよね?」

Sさん「そうそう。椅子がなければ運転できないだろうし、立ち乗りしてまでわざわざ自転車を盗まないだろうって考える自転車乗りもいてそれなりにしっかりとした防犯対策へ繋がっていたよね。あのアイデアは凄いと思った(笑)」

吉田「それって両足のペダルを外しておけば自転車が走れないのと似てますね」

Sさん「実際、サドルだけではなく、ペダルを外して防犯対策している者も何人かいたよ。サドルを持参して移動するのはデカすぎるからって両方のペダルを外して盗まれないよう工夫していたっけな。サドルからの進化形だろね」

吉田「へー、自転車ユーザーも頑張ってますね」

Sさん「たださ、自転車を止めておいてなくなっただけで盗難されたと決めつけて被害届を出す人が今も昔も変わらず多いんだよ」

「自転車が盗まれた!」は思い込みの可能性も!?

吉田「それっていうのはもしかして…放置自転車扱いで区や市の行政側がトラックで運び出し保管場所へ勝手に移動させられたことに気が付かないってパターンですか?」

Sさんまさにソレ!鋭い。盗まれたと思い込みで被害届を出してくる

そんで結局保管場所へ盗難の被害届があるからと防犯登録されている自転車であればチェックしてもらい、その後持ち主に移動費込みの保管料を支払ってもらい、直接引き取りに行かせる…ってなケースが実に多い。

今もそんな状態が続いているから、路上へ勝手に自転車を気軽に止められるからってホイホイ置いておく持ち主も問題だと思うんだよな。

放置自転車扱いされるっていうのもちゃんと警告板の立て看板を行政がそのエリアには必ず出しているはずだから、自転車ユーザーは文句言えない…んだけど、文句言って難癖付けてくる者もいる

高額の自転車だったのに、勝手に大量の自転車に紛れて積み重ねられて移動されたから傷が付いたじゃないかって怒る人もいることはいる。

バカバカしい。お前が止めるなって書いてあるエリアに止めたんだから、高い自転車かなんかは知らんが、お前の自己責任だろよって(笑)」

吉田「あはははは(笑)。そんなことで難癖付ける奴もいるんですね。そんなに高額で大事だったら駐輪場に止めないアンタが悪いって僕が警官だったら言ってしまいますよ。バイクだってクルマだってお金払って止めてますからね」

Sさん「そう考えると自転車ユーザーは違反などに関しても考え方が軽薄なんだよ」

吉田「遂に来ましたね。僕はそこに激しく物申したいんですが…」

<次回へ続く>

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